13.銀蒼は全てを貫いて
side.ドラン
「敵艦隊、全軍突撃!?」
「クソ、止められてねぇ!さっさと防衛に回せ!」
「やらせてるさ!クソが!連携が取れてねぇ!結構な艦が衝突を起こして機能不全になってやがる!」
「さっきの領主のガキの演説にビビってやがるんだ!」
「くそ、向こうの士気は最高だってのに!」
旗艦、サンダーブリッツの艦橋は、最早軽い恐慌に陥っていた。
「落ち着けてめぇら!」
その騒がしさを彼らのボスが一括し、鎮める。
「敵戦力は俺たちの五分の一以下だ。…解るな?」
コクリとその場の全員が頷いた。
「…つぅことは、だ。…あのガキを墜とせ。…直掩の用心棒共を差し向けろ。そして…クルス、お前も出ろ」
敵の士気が上がったのはアルクスの演説が切っ掛け。つまるところ奴らの支柱的存在であるアルクスを殺せば後は有象無象と成り下がる。
…軍事面はからきしであるドランだが、それは最大級の宇宙海賊団の長。勝機を見る目は備えていた。
「アイサー。…まさかこのアタシが出る羽目になるたァね」
クルスは脱色されたボサボサの髪をぐしゃぐしゃと掻いてため息を吐いた。
このクルスと言う女宙賊、もとはとある国で名を馳せた操騎士であった。態々創設された"騎士団"のトップを務め、それこそ騎士操者と持て囃され…そして…偽物として舞台から消えた。
敗戦の将としてすべての責任を押し付けられそうになった所を逃げ出したのである。
しかし彼女は負けたなどと思ってはいなかった。
戦略で負けたのは所詮無能な指揮官のせいで、戦術…彼女自身は負けていない。その怒り、怨みは彼女が元々抱えていた獣性…いや、悪性と混じり合い、女騎士を女宙賊へと変貌させた。
それが彼女…"磁気嵐"クルスだった。
side.アルクス
ずばん!
何機目か分からない宇宙戦闘機を両断し、俺は詰めていた息を吐く。
「HEY、司令部、どんなもん?」
旗艦に通信を入れると、通信士から返答が帰ってくる。
『そろそろ戦力比が1:3になりそうなところですね。撃墜比で言うなら4:1と言った所でしょうか』
ふむ、最高の状態と言えるな。小規模な宙賊団なら無傷の勝利も出来ようが、ライメイ宙賊団の様な大宙賊団ともなるとキルレシオ2:1行けばかなり上出来といったところだからな…。
『それから、恐らく旗艦と思われる艦を補足しました』
「お、そりゃいいね!」
ヴン、とホロウィンドウが表示される。
「…なんだこりゃ、翼の生えた槍?」
曲線の掛かった細長い円錐に巨大な翼を生やした戦艦がそこにはあった。形こそ奇抜だがデザインは…多分元々は格好良かったんだろうがな。…趣味の悪い髑髏やらなんやらの装飾で台無しである。
『昔"最速の戦艦"と呼ばれていたサンダーブリッツ号ですね。…行方不明とは聞いていましたがこんな所に』
「…俺は昔から行方不明の船に縁があるらしいな」
『ああ、4万年前の船を見つけたことがあるとか言ってましたね』
「愛刀はそこで見つけたものだからな...っと、座標特定」
真正面方向の一番奥。...全く普通な布陣だな。
「突撃するか」
『せめて護衛部隊を待つとかしませんか...?プラチナム様が先ほどから凄い顔を...あれ、居ない?』
『アルクス様』
げ、と振り向くとそこには一機のバラクーダが。一切のカスタムがなされていないそれは予備役から引っ張り出してきたものだろう。そして乗っているのは...間違いなく俺のメイドだ。
「何故来た」
『何故行くんですか?』
うん。この話題はやめよう。
「そのバラクーダは?」
『その機体を用意している時点で大体の魂胆は見えておりましたので、ジャンク屋の方に無理を言って改造を』
成程。まあ十年ぽっちとはいえ片時も離れなければ俺の魂胆なんて...いや、機体コンセプトの時点で筒抜けか。
ホロウインドウを見るとSPF-A398Kai"エクソコエタス"の文字が紡がれる。
バラクーダの改造型という訳か。
『背部に当たる部分に接続ジョイントを設置してあります。接続を』
見れば確かに背鰭の様になっている部分に握りがある。それを掴むと、がちん、と掌部の武装接続用プラグが嵌まる音がする。
そこを通じてエネルギーが共有される。金属音を響かせてエクソコエタスの側面から翼が展開される。...これではトビウオ...って。
「エクソコエタスってまさか」
『トビウオの学名が由来だそうです』
古代生物に随分と詳しいよなあの女。...にしても翼状推進機か。小型のは結構扱いが難しい...ああ、無機性知故に制御は何とでも、か。
『操縦はそちらに。露払いはさせていただきますので』
「はいよ」
がきん、と膝部分が垂直のままロックされる。
エクソコエタスを前方やや下に置く形。ちょうど下に向いた背部推進機と胴体を挟んで遂になる形。
成程、高速突撃形態、と言ったところか。見れば、シールドの出力も大幅に上がっているらしい。なるほど、これは良い。
鐙を限界まで踏み込む。すると俺達は一つの彗星となって駆け出した。
side.クルス
「なんだい、あのバカげた奴らは」
クルスの眼には、魚に跨った機装騎士がバカみたいな爆炎を噴き上げて突貫してくる光景が映っていた。
『35m級...骨董品か』
用心棒の一人が呟く。蔑むような声も無理からぬこと。35m級は現代の操騎士にとっては”出力が高いだけのでくの坊”と言われていた。
『とはいえあの速度は驚異だぞ』
『俺の装備は遠距離線向きだ。狙撃させてもらおう』
機装騎士の一機...黒い塗装を施されたそれが、長大な狙撃銃を構える。
ビシュン!と銃口から細く纏められた紫色のプラズマが迸る。シールド破壊に補正のあるソレは、レーザーよりかは弾速が遅いが、それでも唯直線に突っ込んでくる件の機装騎士に命中した、が。
「シールドに変化なしか。馬鹿力は伊達じゃないってかい?」
しかし注意を向けることには成功したようだ。魚モドキから離れた機装騎士がこちらを向いた。
...銀色の鎧、蒼のライン。サイズに大量の推進機。...こいつが例の鬼騎士か。
「お手並み拝見と行こうかねえ」
side.アルクス
「ふーむ?」
俺の、俺達の前に立ちはだかるのは全10機の機装騎士。内9機は黒と灰色を基調とした 無骨な物。宙賊は大概無駄に飾り立てるので...まあ傭兵の類か。
残りの一機は...あれは、他の奴とは違うな。
立ち昇るオーラを感じる。あれは、怨念か、それとも怒気か。まるで世界そのものを恨むかのような負の...独り善がりな、傲慢な感情だ。
『あんたがアルクスとかいうガキかい』
女の声が聞こえる。...おかしいな開放回線はシャットアウトしてるはずなんだが...ああ、魔導式拡声器か。
宇宙は真空で音は伝わらない。常識だ。だがここに例外が存在する。
それは魔素。たとえ真空であろうとも、魔素は空間に満ちている。それの揺らぎを”音”として観測するシステムが機装騎士には装備されているし、逆に音をそっちに変換できる装置も存在する。...もっとも、積んであってもあまり使われないが。
「まあ、ガキがオーレン男爵家当主の言い換えだとしたら俺だな」
『はは、マジに生意気だねえ!クソガキは嫌いじゃないよ!』
「宙賊に言われても気持ち悪いだけだ!」
『言うね!...潰すよ!』
全機が動き出す。傭兵の機装騎士の内、前衛装備の四機がこちらへ向かって加速し、四機がライフルを構え、スナイパーライフルの一機は後進する。
プラズマソード。紫色の刃を輝かせ、前衛たちが迫り来る。シールドを貫き、直接ダメージを与えるための剣。だが。
ぶわっ!
短く吹かし、身を翻す。背後すれすれを飛び去ったのはエクソコエタスの放ったミサイルだ。次々に前衛たちに突き刺さり、シールドを貫かぬまでも大きくよろめかせる。
中衛のライフルがこちらを狙うが、煙と前衛に邪魔されて狙えない。
びしゅ、と後衛の放ったプラズマ弾はさらに推進機を吹かして躱す。その勢いのままに前衛の内近くに固まっていた二機に肉薄し。
爆発するかのように肩部装甲が展開、内より現れた砲身からレーザーが放たれる。
収束が甘く、射程は極端に短いが、代わりに短砲身かつ高威力なレーザーを放つ仕込み散弾銃。この間合いでは避けられず、通常の機装騎士如きのシールドでは耐えきれない。
ばりん、シールドが割れるとき特有のガラスが割れるような音がして、無防備な装甲が露わになる。
閃く様に手を回し、一気にドウジキリを抜き放つ。
一条の剣閃。一瞬遅れて二機の機装騎士が真っ二つになる。爆発はしない。コックピット部分で上下に切り分けたからだ。
色めき立つ残りの二機にレーザーショットガンを放つ。一瞬怯むが、まだ動く。...流石に傭兵として雇われるだけはある。ただの宙賊の期待とは動きが違う。だが。
ずがぁん!どおん!
一気に装甲がぶち抜かれ、中衛の一機が爆散する。
『なにが...まさか、実弾!?』
女の驚愕する声が伝わる。まだ拡声器切ってないのかよ。
ま、その通りだが。
実弾。金属の弾を火薬ないし磁力やローレンツ力で打ち出す方式。化石の様な武装と言われる程度には使われなくなった武装だ。何せ幾ら速くしようともレーザーはおろかプラズマ弾にすら大きく劣る弾速でしかない。普通は当たらないのだ。だが、何せ実弾はシールドを貫通する。
弾丸の外側の部分のみが剥がれ、シールドが干渉できない”穴”をあけ、そこを弾芯部分が通っていくわけだ。まあそれでも大きく勢いを減衰されるが、ミーティアの出力は大馬鹿の一言だ。ドウジキリに搭載された電磁加速砲の初速は光速の3%に達する。...おっと、しょぼいと思うかもしれないが光速の0.1%とはマッハにして8800だ。特殊な航法などを用いない実体物の速度としては馬鹿げている分類だ。
『くそが、何が野蛮な宙賊だ、お前の方が野蛮じゃないか!』
実弾と言えば未発見文明の野蛮人の武器、ってのはちょっと勉強不足だぞ。実際こうして有用なんだからな。
怯んだ前衛が復帰し、こちらに仕掛けようとするがエクソコエタスのビームがそれを阻む。そちらを向こうとすれば俺が後ろからシールドごとドウジキリで刺し貫いた。そのまま角度を調整し、射撃。
ダガァン!と言う爆音、発射炎、放電と共に金属の塊が放たれる。刃が貫通した機装騎士の土手っ腹から弾丸は飛翔、もう一機の前衛をぶち抜いた。
反動で刃を引き抜いた俺は推進機全開で翔け、中衛へ迫る。
一応程度に装備されたほそっこいレーザーサーベルを抜いて応戦しようとするが、意味はない。非実体の刃を掻き分けて本体を串刺しにしてやる。
左腰からレーザーガンを抜く。
びびびび、と連続してレーザー弾が放たれる。
見た目は拳銃。しかし対格差と出力差は絶望的な状況を生む。
連射で放たれるレーザー弾の一発一発が、いとも簡単に中衛機のシールドを削り取る。横なぎの一斉射で、残る二機は丸裸となった。どうにか逃げ、シールドを回復させようとする二機だが、俺が逃がすとでも思うのか。ぶん!とドウジキリを躊躇無く投げて一機を撃破、残る一機には最高速の蹴りを叩き込む。
「セアッ!」
がごんっ!とコックピットが拉げ、最後の中衛が沈黙する。すぐさまドウジキリを引き抜き、後衛に向かう。
...と、そこでさっきから五月蠅かった女宙賊の機装騎士が飛びかかってくる。連携が出来ないであろう相手ならこの時点...後衛のみのタイミングで攻撃に移るのは正解ではある。だが...支援なんかさせねえよ。
があん!があん!があん!
電磁加速砲の三連射。言わば弾丸の檻。避けることすら踏まえ並べられた三発は、無慈悲にも後衛機を撃墜せしめる。
『ッチ、てめえ、もうガキだとは思わないよ!』
「ハッ、寧ろ存分に舐め腐れよなぁ!」
女宙賊の機装騎士が背中に下げた両手剣を抜き放つ。珍しいな、実体剣か。...俺もだが。
がん!ぎいん!ごん!
剣撃の応酬。やはりコイツ強いな...!
唐竹割、横薙ぎ、袈裟斬り、切り上げ、相手の動作に合わせ、鏡合わせの様になる様に技を選択する。
『ぐ、う...アンタ、どこの流派だい!?カタナといい、王国で一般的な剣術じゃないだろう!?』
ま、そうだな。この国で有名な剣術流派はオックス流とゲオルグ流。前者が両手長剣の、後者が片手直剣の流派。刀を利用する流派ではない。
...って言うか知らないな。プラチナムがどこからか仕入れてきた情報だし。
『...あえて言うなら無想流、でしょうか。...夢想流と言う流派をベースに無駄を省いたり他流派の技を取り入れてみたモノなので』
あ、プラチナムの魔改造剣術でしたか。通りで人間臭い術理がどこにもないわけだ。成程、込められた想いを剥いだ故の”無想”ね。
「無想流だそうだ」
『聞いたことないね、田舎剣術め!』
そりゃプラチナムのオリジナルネームなんだから知らんだろ。多分夢想流もひっそりと消えた類の剣術だろうし。...っと。
ぎいん!
振り上げた剣から泳いだ、とお思った左手が閃き、大型短剣が振るわれる。どうも両手剣に見せかけた片手半剣だったようだ。
『ち、その拳銃、銃剣付きかい...!』
実体剣にも対応できるように調整されたパルスブレードが大型短剣を防ぐ。
振動刃なのだろう、高音を放ち震えている。
「破ッ!」
ごおん!と膂力に任せて下がらせる。拳銃を収めつつ弓形に右手を引き絞り、敵上方からの打ち下ろし。
『ぐうっ!...なぁ!?』
慌てて防ぐ女宙賊だが、直ぐに驚愕の声を上げる。
手ごたえがないのだ。
するり、とまるで雨が滴り落ちる様に、刀が、俺自身がヤツの下方へと流れ抜ける。
「羅ァ!」
『舐めッ、るなァ!』
宇宙空間故の、下方からの横薙ぎ。それをギリギリでヤツの大型短剣が阻む。だが回転の威力を載せた全力の一撃は横っ腹を差し出された大型短剣の刃を砕き割る。
『くそっ...!?』
奴は腰にマウントされたライフルを抜こうとする。俺はその場でくるとコンパクトに回転し、ドウジキリの切っ先をライフルに向ける。
ばあん!とライフルが弾け飛ぶ。
『この、クルスがッ!ガキに!舐められて!たまるかァ!』
女宙賊...クルスが吠え、片手半剣を振り下ろす。撫ぜる様にドウジキリの刃を当てて受け流す。
「哉!」
それを避けつつ蹴りを叩き込んで間合いを開ける。
互いに体制が崩れ、それを立て直し、構える。...張り詰めた膠着。考えを巡らせるうちに、相手の名前に引っ掛かりを覚える。
「クルス...とか言ったな」
『...だから何だい』
いいや。ただ引っ掛かっただけだ。
「お前、元々の名前はクルス・フォン・トーレントだったりしないか?」
『ーーー!へえ、今や”帝国”の傀儡となった小国を、単なる辺境貴族のクソガキが知ってるのかい?』
「知ってるとも。...何せ、英雄譚を読むのが日々の楽しみでね」
ネットに溢れる電子書物。その英雄譚を寝る前に読むのが毎日の楽しみだ。
その中にあったサザンクロス星王国。そこで...”騎士の再来”と言われたのが彼女、クルス・フォン・トーレントだったのだ。
そしてその乗機は”ソク”。...いや、資料とは似ても似つかない。流石に当時の乗機ではないと言うことか。
『...そうかい、あたしは...私は、その中でさぞや...無様に描かれたことでしょうね』
どこか、雰囲気の違う声。嘗ての彼女か、これは。
「いいや、貴女は奇麗だった。...少なくとも俺はそう思ったよ。...救いには、ならないのかもだが」
『そりゃあそうだねえ!あたしにあれだけの仕打ちを、悪し様に言って捨て置いて!奇麗に書いて終わりなんて!』
英雄譚の中で、彼女は美しく死んだと記されていた。...こうして宙賊に身をやつしていることを考えれば...禄でもない奴による誇大広告だったと言うことだろう。
「ま、それでも英雄譚に語られる英雄には違いない...!超えさせてもらうぞ!"磁気嵐"!」
英雄譚 に記された彼女の二つ名を叫んで斬りかかる。
『現役時代の方でその名前を知ってるとは飛んだ物好きだねえ!』
笑っている。お互いにそう確信して剣撃を繰り出す。
俺も彼女も動きの桁が変わった。もはや後先を考えない全力全開。
ドウジキリを振る。クルスが避ける。同軸上に来た瞬間にトリガー。
破裂音。シールドを貫通するが、ほんの少しの減速と軌道干渉のせいで避けられる。
返しに放たれる片手半剣での突き。上方へ回り込み避けつつの蹴り。クルスは上半身を逸らしてそのまま後方宙返り蹴り。ドウジキリの腹で逸らして肘打ち。...命中。続けてレーザーショットガン。...シールドを割った。ッ!?
ガシュッ!
操縦席すれすれをナイフが飛んでいく。...成程、実弾の貫通性を目で見て!
刃がボロボロになっている。細工を施したか否か。それは不明だが確かにシールドに穴を開けたのだ。
三度、トリガー。電磁加速砲が火を噴いて三つの弾丸が飛翔する。
当たらない。招致の上だ。思い切り蒼炎を吐き出しての突貫。三発で回避方向を限定しての突撃。
ぎゃりい!
横持ちに掲げられた片手半剣に阻まれる。...だろうともさ!
「おらあ!」
膂力の差はここでもでた。
片手一つでドウジキリを保持、クルスを押さえつけながら左手で拳銃を連射する。
『ぐっう!』
クルスの機体の装甲に、いくつもの泡立つような跡が刻まれる。そこなりに相応が厚いのか動作はしているようだが...片手半剣が泳いだな!?
「是ぁっ!」
断!
クルスの機体の右腕が斬り飛ばされる。片手半剣と共に飛んで行き、最早奴に武器は無い。
「これで終わりだ」
刀を振りかぶる。と、拡声器から声がする。
『嫌だッ!!』
それは、泣きじゃくる様な声。
怒りを湛えた堕ちた騎士ではない、小さな少女の様な。
「命乞いか?」
『いや...いやぁ...』
聞いてみるが答えは無く。...死の恐怖で取り乱して...
そう思ったのだが、次の言葉で印象が変わる。
『何のために逃げたんだ...父も、母も、兄も、妹も、夫も、処刑されるのを見捨てて、娘を抱いて逃げ出して...それでも娘を喪った。...私が、死んだら...何の...ために...』
そこから先は言葉にならない嗚咽だった。
俺は刃を振るうかを迷った。...時間は無い。ここで止まる訳には行かない以上、選択肢は唯一つ。ならば。
...迷いを捨てる。
操縦桿を握りこみ...。
俺は、ドウジキリを、振り抜いた。
長いな...
クルスの”磁気嵐”の二つ名は、宙賊時代と騎士時代で意味が違ったり。
尚ミーティア+エクソコエタスはイメージ的には水中スクーターみたいな感じです。ポーズ的にはスーパーマンの飛行。全部のスラスターが下を向くんですね。




