第2話 自己紹介って大事だよね
いやぁまあですよね。異世界ですよねぇ。
今までの言葉や起きた事象から考察するにここは地球とは違う別の世界。いわゆる"異世界"ってやつだ。
「どうしたの?」
目の前の俺の同年代かそれ以上の巫女さんにそう質問が投げられる。
「いやぁなんて言うか自分が立たされている状況を改めて認識来たというか」
そう曖昧な返答を投げ返す。実際かなり困惑はしている。考察する頭は少なからず残っては居るのだがこんな状況になってまでこんなに冷静で居られたのが自分でもおかしいと気づいた。
「…?何を言っているのか分からないのだけれども」
そりゃそうだ。だって当人も分からないのに第三者がわかるわけが無い。この状況だと第二者?まあどっちでもいい。そして俺は決心が着いた。
「あのぉ…信じてくれないかとは思うのですが…」
「ん?何?」
非常に言いづらい…だってこんな質問されてもただ困惑されるかドン引きされるかの2択しかないだろう。ただし言うしかない。それしかこの状況を打破する手立てはない。
「えっとぉ…」
「はっきりと言いなさいよそれでも男なの?」
叱られた。いやそんなこと言われても…
「まあ単刀直入に言います。俺異世界から来たんです」
踏み切ったぞ?どうだ?反応は?正直今の精神衛生上困惑の方がありがたいのだが…
「え?知ってるけど?」
「はへ?」
そんなことを言われて間抜けな声が口から発せられた。知ってる?どういうことだ?もしかして異世界転移者は多いのか?
「どういうことですか?」
「どうもこうも…あ、そうか異世界人だもんねなんにも説明してなかったわ」
おいおい大丈夫か?てか知ってるって言ってただろ…アホの子なのかな。
そんなことを考えていると。
「まずこの世界では異世界から物や人が来るのはかなりの頻度であるの」
「そうなんですか?」
「えぇみんなもっと困惑しているのだけどあなたは冷静すぎるわね」
それもそのはず
なぜなら俺は重度の妄想癖だからだ!まあ自慢することでもないけどな。日夜妄想を続けてこういう場合の対処法をずっと考えていた空に投げ出されるのは考えてもみなかったが…まあそれはご愛嬌だろう。
「まあ色々と事情があるんですよあはは」
「何その乾いた笑い…まあいいわとりあえず色々なことを話したいのだけどまずは自己紹介から入った方がいいかしら」
あ、そういえばお互いの名前をまだ教えあっていなかったな。てかこんなに話しといて自己紹介無しってそれもう世間話だろ…まあいいやとりあえず自分から名乗った方が良いというのはみんなも知っていると思うから割愛しておこう。
「俺の名はシュー。そう呼んでくれ。年齢は14歳のガチガチの受験生!以上!」
うむ我ながら良い自己紹介だったな。ガチガチって表現は違ったと思うけど…
「…………それだけ?」
「それだけだけど?」
何当たり前のことを言ってるんだという顔を全面的に押し出しながら相手の自己紹介を促す。
「んで?俺も自己紹介したんだからそっちからもするのが作法というものじゃないのかね?」
「わかってるわよ」
はぁ…とクソデカため息をつきながら俺と目線を合わせながら己の名前を言う。
「レイ・ドリーマー。まあもう察してると思うけどここで巫女をやってるの。よろしくね」
「よろしくお願いします」
そう挨拶をして自己紹介を終える。てか俺にそれだけ?って言っときながら自分も人のこと言えないじゃんかよ。
心の中で悪態をつくが表には出さない。
「まあここで話すのもなんだし買い物がてら人里まで歩きながら話しましょう」
そう言われて素直に頷く。聞きたいことが山ほどあるからな順序よく効率的かつ合理的な質問を今から考えておくとしよう。
「えーとぉ…どこまで続くんすかこの階段は」
そう口からこぼす。いや長すぎだからほんとに。多分1時間はずっと階段を降りてると思う。正直めんどくさい。
「空を飛べばすぐなんだけどね」
「空を飛べばって…そんな出来て普通みたいに言われてもねぇ」
異世界人なので勝手がわからんのですよほんとてかマジで景色変わんなくて精神おかしくなりそう。面白みないんですけど全く。
「まあこの階段は22541段くらいあるから相当しんどいでしょうね」
桁バグってない?大丈夫?そう言う会話を繰り返して先の見えない階段をひたすら降り続ける。
「まあここら辺でいいわね」
そうやって彼女…レイが話題を切り出してきた。
「なにが?」
そう聞き返してしまったが答えは1つだろう。俺の中での会話のストックも切れてきたところだし早くこの世界のことを知りたい。ずっとずっと夢見た異世界を。
「そりゃあ決まってるでしょこの世界のこと話さないとね」
「ですよね」
「そうね、まずは私の家系のことをお話しましょうか」
なるほど、そう来たか。まあ流れ的に俺関連のことであるのは間違いないとは思うがどういう情報が聞けるのだろうか。そう思考して、レイの言うことに素直に頷いた。
「まず私の家系は代々妖怪退治を生業として反映して言ったの」
「妖怪?」
「そうよ」
異世界に妖怪要素か、全然ありだな。正直魔物とか魔族とかをイメージしてたけど結構日本チックな世界観なのかな?
「ちょうど一体近くにいるわね」
「マジ?」
マジかよどういうのが出てくるんだ?禍々しいのかなぁ見た目。楽しみだぁ
階段の傍には森林が広く続いていた。そうして近くの草むらから妖怪…妖怪か?俺の目の前に小さな女の子が飛び込んできた。
「またあんたね」
「ふん!あたいをこけにするのもきょうがおわりよ!」
そう苛烈な声で言い放った少女。これが妖怪?冗談でしょ。まだ妖精とかのがしっくり来るって。
少女の姿は水色を基調とした袖とスカート部分にフリルの着いたボリュームのあるワンピースの姿。ただし明らかに幼いという印象が植え付けられる
「まああんたにしてはちょうどいい時に来てくれたわ」
「…?てかあなたのとなりにいるやつはだれよ!」
「いちいちうっさいわね関係ないでしょ?馬鹿なあんたには」
「はぁ?!あたいはばかじゃないやーい!それとばかっていったほうがばかなのよ!」
何この喧嘩、どっちもガキじゃんてかここにいる3人全員ガキじゃん。俺は中学だしこのレイって子も同い年かまあ高校生かそしてこの妖怪らしき方は明らか小学生だし。なんだこれめんどくさいやつ増えたやん。
「とりあえずこいつが妖怪よ」
「マジかぁ全然イメージと違うんですけど」
「まあ無理もないわ」
だって妖怪って言われたらもっとあきらかに異形!みたいな感じだと思ったのに。顔だけの鬼とか上裸のハゲとか。でも女の子出てくるとかこれは1種のギャップだな。うん萌え過ぎててやばいけど。
「まあこいつを倒すには妖術ってのが必要なの」
「ほう…妖術か」
この世界絶対に剣と魔法の世界だと思ったんだけどイメージしづらい妖術が来ちゃったかあきらかハードモードじゃない?ここに来て今までの努力がパーになりそうだけど頑張るかー。
「『多重結界』!まあ実際使ってみたけどこういう感じのやつね」
そう言って俺の身体を丸々包み込むように展開された結界は素人目に見ても様々な事象から自分を守ってくれるという印象を抱かせる。
「す、すげぇ」
「まあ妖術を使うにも妖力とかあとは契約とかもあるけどあなたにはあんまし関係なさそうね」
「関係ない?」
どういうことなのだろうか。
俺には妖術というものはあまり関係がないのだろうか。妖術を使える人は限られるのか?家系か体質かこのどれかが条件っぽいけどな。
すると
「あたいをむししてかってにもりあがらないでよ!」
そういう声が辺りに響いた。
ほんと元気がよろしいことで。子供特有の無駄にでかい声と高い声が上がり耳がキーン隣りかけたがレイもそれを煩わしく思ったらしい。
「はぁ…いちいちうるさいわねとりあえず黙らすわ」
「わっかりました…」
「ふん!あなたにそれができるとはおもわないけどね!」
慢心…自分の力にそれほどの自信があるらしい。そうして妖怪から氷の礫がレイ目掛けて発射された。
それをすかさず交わして3枚の札を懐から取り出し。
「妖札!」
そう叫んだ。そしてホーミングしてその妖怪へと向かっていき直撃した。
直撃した瞬間でかい爆発音と煙が辺りに舞っていく。
「おぉ…」
とうとう煙が晴れていくとそこには下着を晒して頭から地面に突き刺さった妖怪の姿が目に映った。
まあスカート姿だったし物理演算に則ってそうなることは必然だろう。
「よ、よわ」
「まあこの時期はそこらに湧いてるわね」
まさかのワンパン…いや正確にはスリーパンか?とりあえず動かなくなったこの氷を扱う妖怪を無視して途方もない階段道を突き進む。
「そうだ俺が妖術に関係ないと言ってたけどどういうこと?」
「あぁそれはね妖術は巫女の家系にしか"発現"しない力なの」
やっぱり家系か。
まあ正直攻撃力はあんましなさそうなんだよな妖術。まああくまで素人目線しかもこの世界の解像度が最底辺のやつから言わせてもらうとだけどね。
「ふーんじゃあ東の大陸にしか普及してないってこと?」
「まあそうね知名度はかなり低いかしら」
まあ明らかに魔法とか剣術とかの世界だろうしかなり少人数でしょうねぇ。ワンチャン日本人の転移者が使ってるかもしれない!それはかなりの運命だと思うけどね。
「ん?地面が見えてきたぁ!」
「あら本当ね」
「マジでここまでほんとに疲れたぁ!」
いざ地面を目の当たりにするとかなりの達成感に満ち溢れるのを感じる。
「半日は覚悟していたのだけれどかなり早くついたわね」
「半日!?さすがに無理でしょ」
「そうね私も半日は無理だわ」
半日はもう帰る頃には朝方になってんじゃね?何時間人里に滞在するかわからんけど。
そうして地面に降り立った。
「とりあえず人里へ行きましょうか」
「おう!」
そう返事した時だった。
俺はかなりの威圧感と何かに呼ばれている感じが肌で感じ取った。
「……!」
「どうかした?」
レイは感じ取ってないのか?じゃあこれはなんだ?今にも押しつぶされそうだけど…!
「なんか威圧感を感じる…!」
「…?どういうこと?」
「俺にもわからん!けど感じるところに行ってみたい!」
この正体がなんなのか調べたい。そう直感的にそうして自然と思ったのだ。何があるのか気になる。少ない人生の中でもこんな威圧感は感じたことない…いや普通に生きてたらこんな威圧感感じないだろう。だからこそ好奇心的ななにかでもないが調べたい。
「………」
レイは一瞬考える素振りを見せて落ち着いた様子で、そして俺の目をはっきり見て返事をした。
「わかったわ行きましょう」
そうしてその威圧感を感じる方向へ歩みを進めた。
自己紹介がタイトルなのにこいつら自己紹介ほぼしてねぇ
自分の名前言い合っただけやんコミュ障かよ
まあそんなことは置いときつつ投稿すんの遅くなってすみませんほんとリアルが忙しかったんすよマジで(言い訳)
まあとりあえず主人公の本名は後々本編にて出そうと思います。この投稿頻度だといつになるかわかりませんけどねあはははは
気を取り直しまして、レイが今回使ったのは御札に妖力を込めてぶつけただけです。爆発が起きたのは札に書き込まれた効果によるものですね。今回の妖札ではホーミングと爆発それと多少の結界が書き込まれてましたね。まあ後々出てきますが簡易魔法陣紙なども同じような感じです。
とりあえず投稿頻度を見直しますのでねゆっくりと付き合っていただけたら幸いですね。今後ともよろしくお願いします。