第1話 起承転結の結よりの起
平凡な人生だ。
俺は学校からの帰り道そんなことをふと思った。朝食を食べ、両親へ行ってきますと一言伝え、学校へ行き、家に帰り、寝てのスパイラル。正直意味のない合理性の欠けた1日である。そうやって哲学じみた事を考えながら家の近所に侵入したところで気づいた。
煙か?家の方角…なんなら家じゃね?てか燃えてね!?
近くに木々は無い住宅街。自然による火事では無いとするならタバコの吸殻やガスなどが挙げられるが両親はタバコは吸わないのでタバコの線は薄い。
てことはガス?いやこれもほぼほぼ無いとは思う。今日両親は共に仕事が休み、昼は外食に行くと話していた。なんならIHだし可能性は消える。
そんなことを考えても埒が明かねぇ
と思った瞬間に走り出す。そうして家の目の前に着いた。家の周りには近所の人や消防の人、救急隊員、警察の方々が勢ぞろいしていた。そしてありえない状況が目に映る。
「俺の家だけが燃えてる…?」
そうピンポイントに自分の家"だけ"が燃えているのだ。家と家の境目には薄く輝いている白い壁があった。
なんだあれ?他の人はあれに気づいてるのか?
とキョロキョロ周りを見渡すがみんな炎の方に向いていて自分だけが見えているのか、はたまたみんな見えているのかという些細な違いが分からない。
ウザイところでミスディレクションが発動してくれんな。
ありえないほど冷静にそう思考する。恐らく自分が見ている光景が真実ではないと無理やりに自覚しているため冷静になっているのだ。だがその思考も徐々に焦りを見せてきた。
「炎が消えない?」
消防隊が何度も何度も水をかけても消えることも勢いが増すことも無くただの徒労で終わる。それは恐らく白い壁のせいによるものだろう。
「待ってくれ!中に人が居る!俺の親なんだ!先にそっちを助けてくれ!お願いします!」
だんだん焦りが強くなる。周りを見た時に両親がその目に映らなかったのだ。時刻はおよそ16時ほど昼飯を食い、ショッピングをして帰るには十分すぎる時間があった。つまり両親は帰ってきてる確率の方が高いのだ。
「なんだって!?」
消防隊員の1人が驚きの声をあげる。
「この子の親が取り残されているらしい!助けないと!」
「なんだって!?」
「勢いが強すぎる助けようにも助けられない!」
消防隊員の声が飛び交う。そして他の人々からも悲鳴が上がる。圧倒的混沌そして同期が激しくなった時ふと浮遊感のようなものを感じて"下に落ちた"
最後家の中に"でかい影"が映ったのを見ながら。
『第一段階突破…………成功シマシタ』
『第二段階突破…………成……功シシシママシタ』
『他者カラノ干渉ヲ確認』
『実験体ノ一人ヲ奪ワレマシタ』
『コノママ実行シマス』
目を開けると目の前には1面水色…いや文字通りの空色が広がっていた。
は?なにこれ?どういうこと?
俺は首を振りながら状況を確認しようとするが風圧によって振れない。
感情の全てが困惑の1色に支配される。その後に来る感情は当然恐怖だ。
人間は死ぬのが怖い生き物。生存本能を持っているから当たり前の事だ。背中越しでもわかる。高度がどんどん低くなっている。でも何故か分からないが心地良い。
さっきまで地上に居ただろ?だとか、家はどうなった?だとかそんな考えても仕方がないことを脳は要らないものと判断したらしい。脳はこの状況で要る感情と要らない感情を取捨選択していく。ただし分からないという疑問だけが確かに残っている。
いい人生とは思えない何も得られなかった人生もわけも分からず死ぬらしい。
はぁ…意味わかんねぇもう俺は一生神を信用しない。
と思考した瞬間地面スレスレになったところで横から物体?が飛び出してくる。そこで激しい痛みを感じで意識が飛んだ。
目を開けるとそこには知らない天井が待ち受けていた。
「どこだぁ?ここ?」
視界がまだぼんやりするのと少し右半身に違和感があるくらいで目立った損傷は無く自分がご存命していることに驚いたが、周りを見て見て考えが1つに収束した。
「誰かが助けてくれたのか」
この状況からしてこれ以外の選択肢が無かった。知らない天井。つまり誰かが絶体絶命の俺を助けてくれて家に匿われたってのが起きた物事の顛末だろう。
「にしても空中に居た俺をよく助けられたな」
まず真っ先に浮かんだ疑問は、空中から地面に向かって落ちているのに対してどうやって助けたのかが本当に分からなかった。
「まずどうして俺が空中に飛んだんだ?家の前に居たはずなのに」
少しずつ頭が追いついて様々な疑問を頭の中で解決させようとするが情報が無さすぎて分からない。
「まずはこの家はなんなのかということから調べてみるか」
とつぶやき家の内装をキョロキョロと見渡し思ったことがある。
ここ普通の家じゃねぇな。
明らかにThe畳、なんなら襖が空いた先にでっかい鳥居が建っていた。
「ここ神社じゃんてか築何年だよここ置かれてるものが古すぎるのとちょいとボロいな」
と口にすると鋭い女性の声が聞こえた。
「ボロいは余計じゃないかしら」
その声がした方向へ首を向けると美人巫女が立っていた。赤と白の紅白を基調とした巫女服に肩まである黒髪に紅白の髪留めを付けていた。
「…すんません」
まずは謝罪から入る。悪いことを言ったのは事実だしそこを言い訳したところで意味のない会話だからだ。
「まあいいわ記憶は大丈夫かしら」
「ええ…なんとなくは」
「そ」
素っ気ないなあとは思いつつもそれは口には出さない。見れば見るほど美人だなぁと思う。見てるとドキドキするのは人間として男として当然の当たり前の権利もとい自然現象と言えよう。
「ここはどこですか?」
まずは周辺状況を確認するために1番聞きたかった疑問への回答を求めた。自分で確認したとしても時間が掛かり無駄になる。だから俺が知らないことを知ってそうなこの人に疑問の全てを委ねるのだ。
「ここは最東端である王都の少し外れた森の奥にある神社よ」
「やっぱり神社か」
少し気になる単語も見つけたがおいおいわかる事だから無視することにした。神社、日本だと昔から神への信仰やお祈りがあるあの神社だ。年末年始とかで行く初詣の甘酒美味いんだよなぁ。と考えていると向こうから疑問が投げ返される。
「ん?神社を知っているの?珍しいわね」
神社が珍しい?どういうことだ?
「どういうこと?」
とりあえず率直に疑問を再度投げ返す。すると、
「どうにもこうにも神社って東の国にしかないもの」
「ん?ここって日本ですよね?」
ちょっと話が分からなくなってきたぞ?
質問する意味も意図も自分では理解していないがそう聞くのが正解だと自然に思ったので疑問を投げかける。
「日本?どこよそこ、ここはイースター大陸の最東端の王国ドラフェバーよ」
は?どこだよその国?さも知ってて当然みたいな…てかさもうさすがに分かるよここさ地球じゃないだろ。なんなら、、、
"異世界"だろ
どうも初投稿で勝手が分からず意気消沈してる暇人です。皆さんに楽しませられるような作品を書けるように頑張りますのでこの作品と私のことの応援よろしくお願いします。
さて挨拶はこれまでにして第1話の補足になります。第1話なんでそんなに細くするところは無いのですが主人公がこんなに理解力があるのはただの妄想癖だからです。日夜妄想を続けるライトノベルオタクで妄想に違わぬ体型になりたいと日々努力を続けてガリマッチョになったらしいです。脱いだらすごいらしいですよ。
そんなこんなでお開きにしたいと思います。不定期更新だとは思いますがなるべく早いスパンでの投稿を目指してるので応援してくださると幸いです。