卒業前に ~不思議な眼鏡のちょっとしたお話~
ARグラスと人工知能(未来予測)の話です。
椎名町 典子は不思議な眼鏡を手に入れた。
それは少し先の未来がわかる眼鏡だった。
そして、その眼鏡を使って典子は……
世の中、AI(人工知能)によっていろいろと予測が可能になったらしい。
そんな中、どこからか予測可能な眼鏡がうちに送られてきた。
眼鏡にいろいろと情報が映って、少し先の未来のことがわかるらしい。
ARグラスと人工知能を組み合わせたもののようだ。
一応、普通の眼鏡型になっている。
私、『椎名町 典子』。高校3年生です。
怪しいけど、さっそくその眼鏡をかけて学校へ行った。
普段から眼鏡はかけているから、それほど不審に思われないはず。
登校途中、友達の桜を発見した。
そうそう、余談だけど桜は歩が好きらしい。
卒業前には告白したいと言っていた。だけど桜の性格だと無理だろうな。うん。
視線をちょっとずらすと、別方向から今、話をしていた歩が走ってきて、桜とぶつかりそうになっていた。
そこにこの予測可能な眼鏡が反応。
眼鏡には『この衝突事故により、恋仲になるらしいこと』が映っていた。
衝突事故と言うよりは、ちょっとぶつかった程度だけど。
しかし、私はつい桜に話しかけてしまった。
「おはよう。」
「おはよう!」
桜はこちらに向かい、この衝突事故は起こらなかった。
よって、恋仲になることもなかった。
悪いことしちゃったかな。そう思ってから数日後。
桜が学校の教室の壁にポスターを貼ろうとしていた。
高い所なので、机を台にしていた。
その様子を見ていると、眼鏡が反応した。
映し出されたのは『桜がバランスを崩して落ちる様子』だった。
私はすかさず、桜の後ろに立ち、支える準備をした。
「あっ!」
そして、予測通りに桜がこちらへ向かって落ちてきた。
もちろん私は支えようとするのだけど、想像より勢いがあり、桜はそのまま床へ落ちそうになった。
ダメだ。
そう思った瞬間、桜を後ろから歩が支えてくれて、事なきを得た。
その後、なんやかんやで桜と歩は恋仲になったようだ。
良いことなんだけど、なんとなく私の心はもやもやしていた。
数日後。
桜がなぜか例の眼鏡をかけていた。
「今度は私が…」と言って、こちらを見ていた。