5. 明日晴れたら、お気に入りの服を着て♪
不思議で普通な少女の、何気ない日々
深々と雪が降る日に生まれた私。だから寒さには強いのよ、って言ってみたところそれは関係ないって笑われた。それ以降、この話はしなくなった。
そんなに気にして無いもん。本当だよ。
両親曰く、取り上げられた私はしばらくの間少し光っていたそうです。そちらのほうが大事な話だよね。こんなことは偶に起こる……………なんてことはなくて、数日の間私の生まれた小さな街でちょっとした話題になりました。
お伽話だったら教会とかお城から偉い人がやってきて、聖女様の再来なんて言われたりするのかな?
でも、残念。生まれたばかりの私はやっぱり普通の生まれたての子供でしかなくて、いきなり言葉を話したり、病気の人を癒したり、埋めた種を一気に咲かせて一面お花畑に変えたりとか………何もできませんよ。
でもひとつだけ内緒の話。毎年誕生日が近づくと朝方しばらくの間身体が少しだけ光る現象は続きました。これは私と両親だけの秘密。だって、相変わらず特別なことはできなかったし変に目立って本当に面倒な事になるのは嫌だって家族で話した結果、何も起こらないのであれば気にしなくて良いよねってことで、特別なことはできない私の普通な毎日は守られることになりました。
そんな私。両親の愛情の元すくすく育ち現在12歳の誕生日を迎えようとしています。今のところは家事手伝いをしながら近所でパン屋を営む従兄弟の元に通っています。従兄弟が毎朝窯で焼くパンは町の人気を集めていて従業員見習いの私としてもとっても嬉しい。おかげさまでお店はいつも忙しいけど、従業員の皆と仲良く働く日々は私にとってかけがえのないもの。
おはよう。今日もいい天気。
シュガー 様ご提供
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