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【コミック1巻発売記念】番外編.婚約解消できたらどうする?

物語序盤くらいの時間軸です。

「婚約を解消したい……?」

 

 わたしの言葉をもう一度繰り返したエリナの声には、「なに言ってるのかしらこの子……」という気持ちがありありと表れていた。

 

 今日は、セリアン様とエリナの両方の要望で、お茶会の日だ。

 エリナはぜひわたしの婚約者となった〝美貌の貴公子〟に会いたいと言い、セリアン様はぜひわたしの友人に会いたいと言ってくださり、三人でテーブルを囲んでいる。

 セリアン様が我が家を訪れるようになってから購入リストに追加された最高級の紅茶に、エリナの手土産のお菓子をあわせつつ、これまでのいきさつ……主に、なぜセリアン様がウサギの仮面をつけて社交界に現れたのか、という事情を話した。

 

 それを聞いたエリナの、第一声が先ほどのものだった。

 

「そんなことになっているなんて」

「だって……」

 

 はっきりと口には出さなくとも、エリナの内心は伝わった。そんなことになっているなんて、というのは、普通そんなことになる? という疑問。わたしへも、セリアン様へも。

 

「気絶癖はたしかに問題だけど、婚約解消とまでは……でもそれに対しての対策が、ウサギの仮面と催眠術……」

 

 少し聞いただけで、話が前進しそうにないのはやっぱりわかるらしい。エリナは眉を寄せて考え込む顔つきになってしまう。

 

 部屋には微妙な空気が漂った。

 肩を落とすわたしの隣で、セリアン様も肩を落としている。

 

「……考えたくないけど。ぼくと婚約解消して、そのあとはどうするの」

 

 ふてくされたような声のセリアン様が、わたしに視線を向けた。

 と思ったら、なんだか背すじがひやりとする。

 

「ぼく以外と結婚するなんて許さないよ」

 

 セリアン様、そんな低い声も出せるんですね。振り向けないけれど、目は据わっていると思う。

 ひ、ひいいっ!? と心の中で叫びながら、私は必死に考えた。

 なんと答えたらいいんだろう!?

 

「そ、そうですね。婚約を解消したら……」

 

 セリアン様のおっしゃるとおり、ロイヒテン家の婚約をお断りなんかしたら……いや、そうでなくとも、わたしのような者に求婚してくれる奇特な殿方はもういないだろう。

 そう思えば、やはり今の状況はわたしにとって分不相応な幸運というもので。だからこそ婚約解消したいのだけれど、セリアン様を振りまわしてしまうのは申し訳ない。

 

「セリアン様のお幸せを祈りつつ、一生独身で暮らしますかね……」

 

 助けを求めて見たエリナは、ますます微妙な顔をしていた。ケールのしぼり汁に甘くてさわやかなストロベリージャムを入れて飲んだような。

 逆にセリアン様のいる隣からは、先ほどまでとは一変したほわほわなオーラが漂ってくる。

 

 ガシッと両手を握られた。顔をあげた先には、キラッキラの笑顔を輝かせるセリアン様。

 

「ぼくも……! ぼくも、クロちゃんを想いながら、一生独身でいるよ!」

「あっ、違う!!! そういう重たい意味じゃないです!!!」

 

 全力で否定するものの、もはやセリアン様には届かず。

 両手を握る勢いのままぐいっと近づいた顔に、わたしは意識を失ったのだった。

本日2/11、各電子書店様にて

『瓶底メガネ令嬢ですが、婚約者の顔がよすぎてつらい』のコミック第1巻が発売です!

1巻では、クロウディアとセインの出会いから、身分差にビビり婚約解消を目指すも突拍子もない対策を打ち出され、そしてお兄ちゃんたちが出てきて……というところまで収録されております。

原作のラブコメ感をそのまま漫画にしていただいてます!

おとぼけな二人がめちゃくちゃかわいいです…!


ページ下部に主な電子書店様のリンクをまとめてありますのでそちら見ていただけたらと思います!

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