彼の者の名は.......
とうとう、やっと戦いの終盤です。
まぁ、この後一瞬で終わるんですが...ゴニョゴニョ
時間がない。あの大砲の威力はとてつもない。敵の数はいっこうに減る様子はない。さっきオリーフが自慢していたとうり、大砲は計10台。
もうすぐ装填が終わる。
一斉射撃をされる前にこちらから仕掛けたい。けれど、ここからじゃ仕掛ける前に打たれる。
ここは、大砲の一斉射撃をどうにか掻い潜って6秒のクールタイム兼装填時間に距離を詰めなければ勝機はない。
ドンッ
10台の大砲による一斉射撃をうまく掻い潜った俺は全速力で大砲のある方向へ走り出した。
オリーフの兵は避けられたことにより慌て、装填に時間がかかっている。これは嬉しい誤算だ。
あと少し、あと少しで‥‥‥‥。
ザギュッ‥‥
何かが首の右側から中心に切り込んだ。
熱い。
焼かれているようなジュウジュウと音が聞こえる。俺の首を吹き飛ばしかけたのは、赤い業火に包まれ赤く燃え上がる両刃の剣だった。意識が遠退く。
こっちでもすぐ死ぬのか‥‥。
真っ暗な頭のなか一人かすれ声で笑っていると全身黒一色の何かが俺の後ろから出てきて歩みよりらがら、俺に囁く。「全く、君は前の世界もこっちの世界でもすぐ死んじゃうねぇ。でも大丈夫。僕が君を死なせやしないからさ。」
どういう意味なのだろう、ぼんやりしていてうまく理解ができない。
謎の真っ黒いやつは回りの黒に同化するよう白い輪郭が薄れ始める。
「待て!さっきのは一体‥‥‥‥お前は誰‥‥‥‥」
あの声にはどこか聞き覚えがあった‥‥はて、誰だったか。
そこで俺の意思は途切れた。
炎の牢獄の中10台の大砲の近く、とある少年の首を切り落とすまであと1割切ればいいというところで剣を止めた男が一人。仲間に見守られながら息をあげながら立っていた。
後ろからはやったーだの勝っただのさすがとおだててくるやつらがいる。
いつもは少しうっとうしいくらいに感じていたはずなのに今はとてつもなく気分がいい。
理由は簡単だろう。目の前のガキだ。
こいつは半身を失っても回復して襲ってきた、それに手を焼いた俺が奥の手を出したって訳だ。
「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥これで死んだろ‥‥」
「オリーフ様ー。そのままその首、天高くぶっ飛ばしてやりましょうよ!」
そんな兵士どもの言葉に押されオリーフコールが始まる。
コールによってさらに気分が上がった男、オリーフは精霊と完全契約またの名をアブソールムと言うものにより手にいれた聖具《紅の直剣》を押し込もうとしたとき、妙な悪寒がし後ろに飛び、距離をとる。
さっきまでぐったりと血を流しながら剣にぶら下がっていたガキの体は、首の少し肉を切りながら剣が抜ければ力なく崩れるはずだった。
しかし、目の前のガキは直立不動で光のない瞳でこっちを見続ける。
奥歯がガチガチとなり始める。
ガキの背後から黒い靄が出始め数秒でそいつはガキを包み込んだ。
「はっ‥‥‥‥。なっなんだよ!脅かせやがって。こんな靄が目眩まし、時間稼ぎになるとでも思ったか?」
奥歯の音を誤魔化すように大声で、力任せに紅の直剣で凪ぎ払う。
しかし、なんの手がかりもない。まさしく暖簾に腕押しである。ただそこに黒い靄が揺れるだけ‥‥。
少し更新が遅れてしまいましたが続けるつもりです。
大変更新が不定期で申し訳ありませんがよろしくお願いします