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04.感覚と気

本土上陸を決意した龍は、3ヶ月後の出航まで三義姉妹に修行をつけられる事に...。

張姉の修行20日目


張姉いわく、俺は10日で成し遂げる修行を6日で終わらせたらしい。これはすごい事らしいのだが...正直、まったく覚えてないのでパッとしない...最後に思い出せるのは、純白のパンツ...誰のパンツなんだ、まあいい。

とりあえず、最初の修行はクリアした。ここまで休養をとったから体は軽い。次もやってる!


「おーし、俺からの最期の課題だゾッ!最後は簡単、朝6時から夜11時までただ刀を持って立ってればいいゾッ!」

と、張姉。


なるほど、これは集中力や精神力を鍛えるのかな。


「ちなみに毎日刀を持つ体制を変えてもらうゾッ!一つ一つの型を一日で習得してもらうゾーッ!」


「おーし!頑張るよ!張姉っ!!見ててくれよ!」


「お...おう!見てるから頑張るんだゾッ!では、今日は上段の構えで初めだゾッ!」


___________________________________

張姉の修行25日目


「ふぅ〜」

正直、最初の修行よりはしんどくはないけどこれはこれでやっぱりキツイな。何時間も同じ体制でいると同じ筋肉使うから毎日、体の違う部分が軋むようだ。

集中力、精神力は勿論だけど1番キツイのは体幹だ体を一つの線を少しでもグラつかせると構えが不安定になる。くっ、生半可なものではない。それに...。


「じーーーーーーーー」


毎日、張姉が修行中ずっと俺を見ている。これはこれでやりづらいし、暇じゃないのか?まあ、今は師匠なんだこれも緊張感を持たせるための一つなんだろう。集中しなければ。


____________________________

張姉の修行30日目


「ついに最終日だゾッ!かなり武のオーラが育ったんだゾッ!最終日は特別演習だゾッ!」


「特別演習??何をやるんだ?」


「ふっふっふっ、それは...この俺を倒してみろだゾッ!」


「なっ!?張姉を倒すのか!?」


「そうだゾッ!弟子は師匠を超えなければいけないのだゾッ!手加減なしだゾッ!いざ、尋常に勝負だゾーーーッ!!」


そう言って張姉は真正面から鉾で攻撃してきた。慌てて俺は関姉の青龍偃月刀でガードしたが、かなり弾き飛ばされた。なんて力だよ...一発受けただけで手が痺れる。

それでも俺は負けるわけにはいかない!今日こそ張姉に勝つんだっ!!


「おーりゃー!!」

と見せかけて、真正面から張姉と打ち合ってもしょうがない。ここは張姉の攻撃を受け流しつつ隙を突くしかない。張姉は大雑把で短期だ。戦いが長引けば無理のある動きをしてくるに違いない。軽く挑発するのもありか。


「ふっ、修行の成果かな。張姉の攻撃が軽く思えるね!3分だ!3分でケリをつけてやる!」


少しはイライラしてくれるかな...?


「なっ、なんだゾーッ!ここまで言われたのは呂布との打ち合い以来だゾッ!!怒ったゾッ!!龍、覚悟しやがれー!!!」


おーし、乗ってきたな。修行を思い出すんだ。刀はただ切るものに非ず。正面からの攻撃を...。


「ここだゾッ!!」


張姉が矛をまっすぐに突き刺してきた。それに伴って俺は大刀をその軌道にうまく合わせて受け流した。張姉が大勢を崩した。


「ここだっ!」

俺は大刀を振り下ろした。と、思ったのだが腹に衝撃が走った。


「ガッ!!な...んだっ!?」

張姉は大勢を崩した時にその勢いで手を地につき左足で俺の腹を思いっきり蹴った。

あまりにも一瞬の出来事で理解するまで時間がかかったが気がつけば、天を仰いでいた。


「へへ、お前の考えてる事なんてお見通しだゾッ!お前の気が伝えてくれるんだゾーッ!」


みぞおちに入ったせいで言葉が出ない。くっ、気ってなんだ、どういうことだ。


「あんなー、気ってのはその人や物にある特有の気配みたいなもんだゾッ!実際、龍は最初の100万大刀を振っていた時には無意識に周りの気を察知していたんだゾッ!意識がない中でどこに何があるか判断していたんだゾッ!」


なるほど、あの時の感覚か...あれを自力で感じるってのはよくわからんが、もうなり振り構ってられない。やるしかねー!


「そうだ、全てで感じるんだ。張姉を全神経を張姉に集中させる...!俺はやる!!」


「まあ、そうは言ってもそれを習得するのに俺は10年はかかったんだゾッ!一朝一夕で習得できるものでは...」

明らかに龍の気が変わった。俺に全ての神経を研ぎ澄ましてるんだゾ。そして、何より目を開けない、どういうことだゾ。


「ふぅ〜、見えてきたぜ!張姉の気がな!!そして張姉の次の手までな!!」


な、そんな筈はないんだゾッ!気が見えるのは百歩譲ってわかるゾ。俺が育てた龍だ、元々のポテンシャルは俺なんてはるかに凌いでいるんだゾ。しかし、次の手まで読めるとなると気の達人レベルだゾ。そんな奴は三国時代でも片手で数える人数しか見たことがないゾ。ハッタリだゾ。


「そんなハッタリ、姉ちゃんには通じないんだゾッ!参るゾッ!!」


わかる。張姉の行動が目を閉じて気を感じればっ!張姉の足捌き、関節の動き、呼吸までも!

上段連続突きが来る。が、それは囮で足払いからのフィニッシュだ。


「行くゾッ、龍!」


俺の予想通り、張姉は上段連続突きを仕掛けてきた。くっ、そもそもこの突きをいなすだけでもキツイ。でも、負けねぇ!

何とか受け切った後に上に釘付けな所を足払いがきた。その瞬間、俺は宙に思いっきりジャンプした。


「かっ!本当に読まれていたゾッ!?」


「もらったー!!!」

張姉の首元で大刀を寸止めするまでのビジョンは完璧に見えていた。勝った!


「くっ、負けたくない...ゾーーーーッ!!」


張姉の咆哮と共に、気が変わった。しかもまったく別人のような気だ。一気に蹴落とされるようなゾッとするような感覚に陥った。このまま振り下ろしたら負ける。


ヤバッ、やられる。


そう思った瞬間、俺の背後に張姉がいた。あの大勢から回避は勿論、俺の背後に回るなんて人間の反射神経ではない。どうなってる。


「おわりだゾッ!!オラーーーッ!!」


クソ、負けた。完全に自分の勝ちを疑わなかったこの心が敗北の原因を作ったんだ。

そう思ったのもつかの間、背後の張姉の気がいつもと同じに戻った。振り返ってみると。


「いってーーーゾッ!!何しやがるんだゾーーーーッ!!」


「うむ!!貴様、鬼神化までする必要は無かろうにっ!!ここまでだっ!!この阿保が!!」


背後で頭を抱えて悶える張姉とゲンコツを握って怒っている関姉がいた。


「うむ、こいつときたら勝負事になると大人気ない...龍よ、試合を見ていたがお主の勝ちじゃ。こいつは反則したでの」


「え、でも、最後のは...」


「うむ、あれは人の力ではない。後で話す。とりあえず、張飛との修行はこれにて終了。次は我からの修行を受けるがよい!!」


よく分からないが、張姉の修行はクリアしたらしい。最後の締めを持っていかれた張姉は3日間拗ねて外に出てこなかったとか。

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