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プロローグ〜孤独な世界〜

私は1人だ。孤独だ。誰も私のことを見てくれない。誰も私のことを理解しようとしてくれない。誰も私のことを……。


私は五月晴(さつきばれ) 燐火(りんか)。中学2年生。少し周りと違う女子。昔から少し違うという意識はあった。でも認めたくなかった。できれば認めずに、普通の女の子として過ごしたかった。できることなら、できることなら。いまに私にはできないことが頭の中でぐるぐる回る。そして次の瞬間、「ドガンッ!バタンッ!!」ととてつもない大きな音が聞こえた。きっと隣人が仕事から帰ってきたのだろう。決して隣人がうるさいわけではない。私の耳が過剰に聴こえるのが悪い。私は特注でとてつもなく私にぴったりの音量で流れてくるヘッドホンをつけて、周りの情報から自分を遮断した。こうでもしないと、ストレスで鬱になりそう。どうしてこうなったのかは分からないけれど、これでもいつこうなったのかというのは鮮明に覚えている。


小学6年生の時。親とショッピングモールに出かけていた。久しぶりに出る外。いつも引きこもっている私からしてみればものすごく新鮮で、楽しくて、面白そうだった。お母さんもお父さんも笑顔で、楽しそうで。でもこういう幸せな時間ってすぐに終わってしまうんですよね。ええ。知ってます。幸せな時間をたっぷりと過ごして、「楽しかったね。」って笑顔で言って、車の中で見てた映画について語ってた時。その瞬間だった。


「お父さん!危ない!」


お母さんの悲鳴のような声と、目の前に見える青信号。そして横を見ると大きなトラック……。直後、私の意識は、体への大きな衝撃と共に、深い闇の中へ飲み込まれて行った。


起きたのは白いベッドの上。私の腕からは何本かチューブが繋がっており、その先には薬袋が吊ってあった。そして、やけに大きなチッチッチッという音。やたらでかい足音。事故に遭うまでは眼鏡なしではほとんど見えなかった目もよく見えるようになった。見えないよりは良かったため、放っておいたのだが、ここら辺からかなりの違和感を覚えていた。が、ただ単に目が良くなって悪いことはないし……。うん。そう願おう。考えることを放棄し、もう一度眠りにつこうとした。その時によ〜くわかった。「うっさい。おかしいくらいにうっさい。全ての音が、めちゃくちゃうるさい。」


「寝たいんだけど。みんな静かにして。」


私のこの声も、なんだか大きく聴こえる。うん。なんでだろう。とりあえず、、、寝たい。うん。私はその時からしばらく、寝れなかった。医師に相談しても、医師には異常なしと言われ、数日後に退院になった。外に出て見ても、車の音やら人の足音やらなんやらでものすごくうるさい。まあ病気でもないんだし、自分でどうにかするしかないのかな……。みたいなことを考えながら家に帰っていた。なぜか知らないけど、自分の家の場所は覚えていた。家に入って、ヘッドホンをつけ、いつもの音量で音楽を聴こうとした瞬間……


「うるさっ!え?これいつもの音量だよねっ!?」


ついつい叫んでしまった。だってだって普通の音だと思って再生したらいきなり爆音だよ!?いや普通にびっくりするでしょ?ね?うん。で、その叫び声も耳が痛くなるくらいうるさかった。ほんとにおかしい。これでは外にも出れないし、普通に喋ることもできない。学校なんかに行けば、慣れる前に自分の耳とメンタルが死ぬ。そう考えた私は、学校に事情を説明し(先生の声がでかすぎて耳が裂けそうだったけど)しばらくの間、保健室登校ということにさせてもらった。それからが地獄だった。


別に病気でもないのに、保健室にいる私をサボリ魔扱いするクラスメイトの数人、うるさい騒音を防ぐためだけの、特注で作った私にあった音量でしか流れないヘッドホンをつけてることを馬鹿にしてくるやつ。その他諸々凄い目で見られた。他にも、音楽室から時折聞こえる音が外れた合唱とか聞いてるだけでクッソイライラしてくるし、保健室にいても薬の匂いとかクッソ気になるし……夏でも風に肌が当たったらクッソ気になるから窓は年中閉めてる。そのせいか最近は作法室っていう空き部屋に突っ込まれてる。はい。存在意義なさすぎクッソワロタってやつなんだよなぁ。


まあこんなことが色々ありすぎて今は1人。でもうるさくないし、変人扱いとかも1人だからする人いないし。まあ気楽に過ごせてるよ。だからいいんだよ。喋りたいなんて願望、私には大きすぎる願望なんだよ。


私は1人だ。孤独だ。誰も私のことを見てくれない。誰も私のことを理解しようとしてくれない。誰も私のことを……。

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