屋上での騒動
ライテイ先輩に会ってから数日後。結局屋上に行けてない。天気が雨だったりしたから。だから今日放課後にいってみようかなって。エンはやることあるから後で来るって言ってたので先に屋上に向かう。
「ライテイ先輩…はいないみたい」
代わりに狐獣人とサイ獣人がいた。正直嫌な予感しかしない。
「やっと来たか。ずっと待ってたんだぜ?」
狐獣人が近づいてくる。これは逃げた方がいいのか?いや、逃げたところですぐ追いつかれる。成り行きに任せるしかないか。
「お前らと会ってからアニキがおかしいんだよ。せっかく俺らしか屋上使えないようになってたってのによ」
胸ぐら掴まれた。そして屋上の柵の方へと連れてかれる。前回同様、やばい。
「ま、俺らも優しいからな。もうアニキに、屋上に近づかないって誓うなら許してやる」
「…それは無理」
ライテイ先輩の悲しい顔を思い出すと、やっぱりほっとけない。少しでも笑顔になってほしい。
「痛い目みないとわからないようだな」
結局このパターンか。目をつぶった時だ。
「ユウ!」
「…お前ら…!」
「アニキ…!」
エンとライテイ先輩が来た。ライテイ先輩の登場に驚いた狐獣人が僕を放す。バランスを崩した僕は柵に寄りかかった。
「…えっ」
僕が寄りかかった柵はかなり脆くなっていたみたいだ。体の重さに耐え切れず崩れてしまう。僕の体も屋上から放り出された。
5階建の校舎から落ちたら確実に死ぬ。自然治癒能力が高くても、死んでしまったらなんの意味もない。…短い人生だったな。
「ユウ!!!」
エンが叫ぶのが聞こえる。
「間に合え…!!」
この声は、ライテイ先輩?落ちていきならがら先輩の大声を聞いた。途端に誰かに受け止められた。
「ライテイ先輩!?」
「…危なかったな」
「いや、ここまだ3階くらい…」
「掴まってろ」
僕を抱きかかえたライテイ先輩は校舎の壁を蹴る。そのあと近くの木に掴まり、勢いを殺してから地面に降りた。
「怪我は、大丈夫だな」
「うん、ライテイ先輩ありがとう」
僕が落ちたあとライテイ先輩は屋上から飛び降りた。いくら獣人とはいえ、失敗すれば命を落とす行為だ。命がけで助けてくれたのだ。
「落ち着いたか?」
「だいぶ落ち着いた。だから降ろして」
まだライテイ先輩に抱きかかえられている。そろそろ恥ずかしい。ライテイ先輩はゆっくりと降ろしてくれる。
「本当にありがとう。でも自分をもっと大事にして」
助けてくれたのは嬉しい。でも自分のせいで死なれるのは嫌だ。
「そうだな。お前が言うならそうしよう。その代わり、1つ頼みを聞いてくれるか?」
「ん、僕にできることなら」
「その…なんだ…」
ライテイ先輩はなぜか言いにくそうだ。
「…俺に…人との接し方を…教えてくれ」
「…なにそれ」
うん、思わず口に出てしまったな。でもライテイ先輩はずっと悩んでいたんだろう。
「そんなことならお安い御用だよ。僕たち、友達でしょ?」
友達になりたいからこそライテイ先輩は敬語を使って欲しくなかったのだろうと思う。勝手な推測だけどね。でもライテイ先輩の表情が明るくなるから間違いではないだろう。
「ユウ!!怪我ないか!!」
お、丁度いい時にエンも来る。
「大丈夫。エンもライテイ先輩と友達だよね?」
「ん?あぁ!当たり前だろ?ライテイ先輩はダチだ!」
一瞬戸惑った様子のエンだったが、すぐに笑顔になった。
「そうか…ありがとう」
このあと先生に捕まり、事情聴取された。被害者なのになぜか叱られて2時間近く拘束された。解放されたのは7時をすぎていた。自分たちは大丈夫だったけど、あの狐獣人とかは屋上に行くの禁止になったらしい。
「すいません、送ってもらっちゃって」
「気にするな」
エンとは帰り道がほぼ一緒。でもライテイ先輩は逆方向。なのに家まで送ってくれる。
「んじゃ、俺はここで。また明日な!」
エンと別れて、ライテイ先輩と2人で家に向かう。こういう時話すのが苦手だから辛い。
「えっと、ここで大丈夫。今日はありがとう」
「礼を言うのは俺の方だ。…また、屋上でな」
「うん、また」
特に会話をせずに家に着いてしまった。でもまた屋上でいっぱい話そう。
読んでいただいた方が予想以上にたくさんいらっしゃったのでびっくりしました。ありがとうございます!
誤字などありましたら容赦なく指摘していただければと。
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