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 寮に誠達が着いたときはすでに日付が変わっていた。小さいくせにやたらとタフなランとサイボーグのかなめ以外はさすがに疲れて口を開く気力もなかった。誠は黙って部屋に戻ると着替えもせずにそのまま布団を敷いて眠ってしまった。


 眠ったはずの誠の視界が開かれた。司法局実働部隊が誇る人型兵器『アサルト・モジュール』05式特戦乙型。誠の全身にアニメやギャルゲーの登場人物の描かれた灰色の機体のコックピットの中にいた。パイロットスーツに身を包んだ誠は惑星胡州の外周に存在するアステロイドベルトでの戦闘に参加していた。


 模擬戦の時と同じくテロリストの使用する地球製の旧型アサルト・モジュールM5に輸出仕様のM7が数機デブリを徘徊しているのを発見する。


『ブラボースリー!焦るんじゃねえぞ!』 


『そう言いながら最初に発砲するな!』 


 先頭でレールガンを乱射するかなめのブラボーツーが誠のブラボースリーの目の前を通過していく。押さえにかかるのを諦めたように誠の機体の先導に移るカウラのブラボーワンはそれにつられて前進を始めた。


『ブラボースリー、乙種出動だ。サーベルだけで何とかしろ!』 


 カウラの通信に頷いた誠はサーベルを抜いて法術を発動。干渉空間を展開した。


 だがそんないつもシミュレータでやっていた動作に違和感が走った。全身から一度は吸い取られたような法術の力が逆流して腕から先が膨らんでいくのが見える。誠はそのまま操縦棹から手を離し手袋を見つめる。


 そのケプラーと合成ゴムの複合素材の手袋が紙袋のように簡単に千切れる。それに合わせて腕、太もも、そして胸までのパイロットスーツがちぎれとんだ。


『どうしたっ……て!なんだ!神前!』 


「力が!力が……!」 


 膨れていく自分の体。モニターに映っているのは思わずヘルメットを外して手を伸ばそうとするかなめの姿だった。カウラは驚きで口元に手を当てている。


「うわー!」 


 自分の体が際限なく膨らんでいく。不安と苦痛。そして額に当たったモニターの一部分がもたらす痛みが誠を襲う。


 そして……。



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