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「死ぬ前に後悔したくない!」と言われて婚約破棄されましたが、ハイスペ貴族に結婚を迫られています

作者: 涙乃
掲載日:2026/01/13

「ミアさん、それでいつ提出します?そろそろお腹も目立ってきましたよね?私としては今すぐにでも大丈夫なので、今日もこうして婚姻届を持ってきました。後はミアさんが記入するだけです。さぁ、どうぞ」



目の前には、澄んだ空色の瞳でじっと見つめてくる男性が坐っている。ニコリと微笑みを浮かべて。


爽やかな印象の好青年。


まるで、郵便物の宛名を書くような気軽さで、署名を勧めてくる。


茶封筒からとりだした婚姻届をテーブルに広げて、指先で「あぁ、こちらですからね♡」と、指し示してくる。


ペンを私の前に置く仕草も、その何気ない行動全てから色気がだだ漏れている。



いやいやいや、ダメでしょう?


そんな気軽に結婚なんてできるはずがない。


まぁ、確かにちょっとお腹がふっくらとしてきてはいるけれど……。


そう、この子の父親は目の前の人だ。


けれど、私は単なる町娘、彼は伯爵家の子息。


釣り合う訳がない……。



「お、お、お、お断りします!」



不敬罪で罰せられるのではないかという恐怖から、ぶるぶると震えながらも、盛大に婚姻届けを破り捨てる。


「お帰りはあちらです!」

考える隙を与える前に、扉を指し示し帰るように促す。


「ゴミは、ゴミ箱にいれないといけませんよ。心配しなくても予備はこちらにあります。」



破り捨てた紙切れを、丁寧に全部拾う姿に、心が咎めたのも束の間。


ポケットから新たな婚姻届を取り出して

、何事もなかったようにテーブルに広げる。


「無理です」


広げ終わる前に、持ち上げてぐちゃりと丸めて遠くに放り投げた。


「あぁ、大丈夫ですよ、こちらにありますから。」


青年は、動じることなく、今度は反対のポケットから婚姻届を取り出した。


「ごめんなさい!」


婚姻届を青年の手から奪いとると、ビリビリと破いてゴミ箱へと落とし込む。


「あぁ、きっとホルモンバランスのせいで気が昂っているのですね? ふふ、心配いりませんよ」


柔和な笑みを浮かべながら、青年は内ポケットから婚姻届を取り出した。


「嫌です」

「出来ません」

「放っておいてください」


破っても破っても、彼はどこからともなく婚姻届を取り出してくる。


全てのポケットから取り出し終えると、今度は袖の付近、裾の付近、靴の中、靴下の中など、様々な所から小さく折りたたんだ婚姻届をとりだしてくる。



「あなたはマジシャンですか⁉︎



いったい何枚用意してきたのですか?

 仮にもルコット伯爵家のご子息が、そんな折り目が沢山ある婚姻届を提出する勇気があるのですか?


ズボラな私でも、さすがにその婚姻届は恥ずかしいです……」



「どんな状態であれ、婚姻届に問題はないでしょう?あぁ、折り目が恥ずかしいからなのですね?大丈夫ですよ、折り目のない婚姻届はこちらにありますから」


「違いますからっ!私の話聞いてます?」


彼はおもむろに立ち上がると、ベッドまで歩いていく。そして、かがみ込むとベッドの裏側から茶封筒を取り出した。


「ほら、こちらに綺麗な状態のものがありますから」


「は⁉︎ど、どうして私のベッドの裏にそんなものがあるんですか?まさか⁉︎勝手に侵入したんですか?い、いつの間に……」


他にもあるのではないかと、急いでベッドの下を捜索する。


「ミアのことが心配で、防犯の確認をしただけですよ。鍵が心許ないので取り替えようかと思いましたが……大丈夫です、常に見張らせているので。こうして、ベッドで愛し合った後に、すぐにでも結婚できるようにと、用意しておいたんですよ。


 だめですよ、お腹に負担がかかりますから、さぁこちらに座って」


「ひゃぁっ!」


突然お姫様抱っこされて、トスンとベッドに寝かされていた。


「驚かせてしまったのなら、すみません。」


謝罪しながらも、がっちりとホールドした手は緩めない。

私は彼の腕を枕にして、囲い込むように抱きすくめられていた。



優しい手つきでお腹を撫でられて、安心する自分に驚く。


だって、こんな関係はよくない。

私は彼の名前すらしらない。

伯爵家の方だと知って、聞こうとしなかったから。


一夜の関係のつもりだったのに……。


きっと、貴族の矜持として責任を取ろうとしているだけ。彼が欲しいのは自分の血を受け継ぐこの子なのだろう。


こんな、町娘なんかと結婚するメリットなんてない。


婚姻届もフェイクだろう。

愛妾にならないかと言われるよりも、結婚しましょうと言われた方が浮かれて喜ぶとでも思っているのだろう。


庶民だからといって、軽く見られても困る。


愛妾になるくらいなら、一人でこの子を育てる道を選ぶ。



パン屋の給金だけでは正直苦しい。


でもパン屋のご主人も奥さんもとてもよくしてくれている。だからこそ、数年前両親を亡くしてからもなんとか今までやってこれた。



エディとの婚約が破棄されたと知った時は、それこそ殴り込みに行くのではないかというくらいに二人とも本気で怒ってくれた。


これ以上心配をかけたくないのに……


まさか妊娠してしまうなんて。


二人にどうやって説明したものか……。


はちみつ色の髪が顔に当たってくすぐったい。


「はぁ……」


「ふふ、私の顔を見つめてため息をつくなんて、ミア、あなたも罪な人ですね」


「ちがっ……ん⁉︎」


あまりにも突然の出来事で、頭が真っ白になる。

私の口は彼の唇によって塞がれていたから。


「な、な、何するんですか⁉︎」




腕枕をされた状態で、軽く口づけをしてくる彼。


これ以上奪われてなるものかと、彼の口元に手を当てる。



「あぁ、なかなかこれも倒錯的で興奮しますね。ミアの肌は柔らかくて心地いいです」


「そんなはずな……い……」


水仕事で手は荒れている。パン生地をこねるのは力がいるので、腕力もつくし手も固くなっている。


あまり間近で見られたくない。



私の上に覆い被さる姿勢で、妖艶な眼差しでみつめてくる。空色の瞳が徐々に熱を帯びてくる。


あの時と同じく私の体も徐々に火照っていく。




「随分余裕ですね?他のことに気を取られるなんて……妬けますね。あぁ、名乗るのが遅くなりましたが、私の名前はエリオットです、ミア」





「エリオット様……?」


あれ?なんだか聞き覚えがあるような……


あと少しで思い出せそうなのに。

頭の中にモヤがかかっているみたいに、掴めそうで掴めない記憶の断片を集めようと試みる。


けれど、集中できない。


「やっと、名前を呼んでくれましたね、ミア……愛しています……だから、これを握ってくれますか?」



「な⁉︎」


見下ろすように跨っていたエリオット様が、ごろんと私の横に寝そべる。


私を横向きにして背後から抱きしめると、手のひらにペンを握らせてくる。


エリオット様がペンを握った私の手を掴むと、婚姻届に記入させようとする。


「だめです!」



こんな体勢で書けませんから!

油断もすきもありませんね、というかシーツに貼り付けているなんてどうかしていますよ!


破れますからね?


こんな攻防をいったいどれくらい続けるつもりなのだろう。


どうしてこうなってしまったのだろうと、あの時のことが蘇る。


そう、あれは━━。


✳︎✳︎✳︎


「エディ、やっぱり明日の朝に出発しない?」



「チッ、ミア、俺が朝弱いの知ってるだろ?さぁ、さっさと行くぞ」



(今、舌打ちした……?)



「ったく、なんで俺が!」


「ごめんね、エディ」


「ごちゃごちゃうるさいから、さっと乗れ」


「あ、う、うん」


「なんで俺がお前なんかと一緒に出かけないといけないんだ」と、何度も悪態をつかれていた。


この頃の私は、嫌われるのが怖くて言いたいことも言えなかった。


だから、エディの機嫌を取ろうと必死だった。


エスコートされることもなく、一人で馬車へと乗り込むと向かい側に腰を下ろした。


「わっ!」


きちんと座り終える前に馬車は動き出して、バランスを崩してよろめいたけれど、

エディは見向きもしなかった。



エディはモデア男爵家の息子だった。男爵と言えども、裕福ではなく、私たち庶民との距離も近かった。


両親は男爵家管轄の小麦畑で働いていた。私も手伝えることはなんでもした。


そのせいで、日に焼けて肌荒れもして、近所の子達からからかわれることも多かった。

そんな時、「ミアはいつもよく働くね。ミア達のおかげで小麦も僕も、すごく元気になれる。ミアは誰よりも綺麗な女の子だよ」と、励ましてくれる男の子がいた。



綺麗だなんて言われたことのなかった私は、舞い上がってしまい、嬉しいやら恥ずかしいやらで、男の子の名前を聞いたのに、吹き飛んでしまった。


かろうじて、「エ」がついたことだけは覚えていた。


立ち去る後ろ姿を見送っていると、男爵が馬車に案内していたことを覚えている。


モデア男爵は他にも所有している土地がある。男爵は自ら出向いて視察するので忙しく、それから男爵の姿を見る機会はなかった。


同時に、あの男の子も見かけなくなった。


たぶん、モデア男爵の身内なので、一緒に領地を見回っているのだろうと思った。もう一度きちんと会ってお礼が言いたいし、寂しくもあった。



それから数年後、両親が亡くなった。

モデア男爵は、長年勤めてくれた両親への感謝とお礼の気持ちも込めて、息子のエディの婚約者にならないかと打診を持ちかけてくれた。


身分のことは気にしなくていいからと。


ミアなら小麦畑にも詳しいし、二人で守ってくれたら嬉しいと。

恐縮したけれど、断る勇気もなく、お受けすることにした。


断る勇気がなかっただけではない。

男爵には三人子供がいると聞いている。もしかしたら、婚約者は、あの時庇ってくれた男の子かもしれないと、淡い期待があったからというのもある。


そして、顔合わせの日━━私の淡い初恋の思い出は、木っ端微塵に崩れ去った。



「お前が婚約者?━━貧相だな」


上から下まで舐め回すように見た後の一声がこれだった。


とてもあの頃の男の子とは思えなかった。

けれど、他の兄弟の名前には「エ」がつかないので、おそらくあの時の男の子はエディなのだろう。認めたくないけれど……。


父親が決めたから仕方なく結婚してやると、あからさまに横柄な態度に幻滅した。


それでも最初の頃はまだ良かった。

風向きが変わったのはある出来事がきっかけだった。


毎年開かれる小麦の品評会で、モデア男爵領の小麦が優勝したのだ。


一生懸命育てていた小麦が評価されたのはすごく嬉しかった。自意識過剰かもしれないけれど、私も少しは貢献できているはずと、誇りに思っていた。


けれど、卸先も急激に増えて、裕福になると、元々働いていた私達は突然解雇された。優秀な小麦畑で働くのは、平民では無理だと……。



何度も男爵様に抗議したけれど、私たちの声は無視された。


私は早急に仕事を探して、パン屋で雇ってもらえることになった。とても感じのいいご夫婦のパン屋で、ほんの少し荒んだ心が救われた。



私たちの代わりに小麦畑の管理を任されたのは、ストーク男爵令嬢だった。共同管理を打診してきたストーク男爵の娘。


令嬢や、どこかの貴族の三男や4男など、貴族だけで畑の管理ができるのか疑問しかない。高貴な者が管理することで、更に優秀な小麦が育つからという理由らしい。





そして、解雇通告で落ち込む私の元にエディが突然やってきたのだ。



まだ気持ちの整理もつかないうちに、モデア男爵様の所へ一緒に行くように言われたのだ。



「うふふ、もぉうエディたらぁ、やぁだ、うふふ」


「セレナ、今日も可愛いね、誰も見てないから、いいだろ?」


「ちょっと、もぉうエディ、いやぁ、待って。 あら?あなた、何か用?こっちを見ないで!ねえ、エディ、どうしてこの女が一緒にいるのよ?だって、私たちもうすぐ結婚するじゃない」



「あぁ、セレナ分かってくれ、こんな女でもまだ、一応婚約者なんだよ、書類にサインしてもらわなきゃいけないから。すぐに解消するから」



エディの腕にべったりと腕を絡ませて、豊満な胸を押し当てるように寄り添う女性。


これまでも度々こういう状況があった。


婚約しているから、定期的に交流する必要があるとかで、エディと私は出かけることもあった。なぜか三人で。いつもいつもエディの腕にはセレナ嬢がくっついていた。


目の前でいちゃつく様子を見せられて、ため息が漏れる。

そんな様子が二人は気に入らないのか、何かと文句を言ってくる。


「だいたいな、お前のその態度はなんだ!俺様に感謝の気持ちはないのか⁉︎お前が本来なら乗ることのできない、こんな豪華な馬車に乗せてもらってるにも関わらずその目が気に入らない!」


「ほんとよね、これだから平民は」


「セレナ、君のような高貴な女性が口を聞いてはいけないよ。さぁ、俺を見て」


「エディ……」


抱き合い完全に二人だけの世界に入りつつあった。


「はぁ……」


私だって、別にエディと結婚したいなんて思わない。そちらがそういう態度なら、喜んで婚約解消するわ。もう勝手にして



「きゃぁ!」

「な、なんだ、どうした!」


「きゃあ!」



ガタンという激しい音と共に、突如馬車が激しく振動を始める。


恐怖のあまりに、おろおろして何かを掴もうとする。


エディとセレナ嬢は抱き合いながら震えている。

 

「ぼっちゃん、大丈夫ですか!すんません」


ほんの数分の出来事だったのかもしれない。車輪が脱輪したことで馬が驚いて、暴走したことが原因だった。


ほっとしたのも束の間。目の前では相変わらず二人が愛を囁きあっている。

まるで、死の淵から生還したかのように。

「エディ、私、御者の人のお手伝いをしてくるわ」


「おい待てミア! 勝手なことをするな!俺はもう我慢の限界だ!こんな、死にそうな目にあったのも、全部全部お前のせいだミア!」


「え…?」


何を言っているの?言われた意味を理解することができない


「今、俺は死ぬかと思った……走馬灯が見えたよ。そして、俺は、セレナ、君のいない人生なんて考えられないと思った。死ぬ前に後悔したくない!ミア!お前との婚約は破棄だ!」


「エディ──」


「気安く俺の名前を呼ぶな!平民が!お前は今、俺たちを殺す所だったんだ!疫病神が!とっとと失せろ!」


「は⁉︎エ」



「二度と俺の前に姿を見せるな!お前にくれてやる金もない!とっとと失せろ!」




あまりにも意味不明な暴言を吐かれて、頭が真っ白になった。


放心状態で佇む私を、容赦なくエディは突き飛ばす。


「痛い!」


エディを思わず睨むと、手を振り上げるのが見えた。殴られると怖くなって、その場から急いで逃げ出した。


走って走って、気がついたら涙が溢れていた。それでもひたすら走り続けた。


こんな姿を見せたらおかみさんも心配するから、どこかで時間を潰そうとお店に入ったことまでは覚えている。

日も暮れていたので、開いていたお店は酒屋だと思う。


誰かに話を聞いてほしくて、酔った勢いで愚痴って、そのままベッドインしてしまうなんて……。


しかも、お互い名乗ってないのに、家を特定されるなんて予想外だった。



「ミア?また考えごとですね?わかりました。ミアに私だけを見てもらえるようにもっ努力しますから。どうか、何が不安なのか教えてください、ね?」


「ちょ、エリオット様!」


どうやって脱がされたのか分からないが、いつの間にか衣服がベッドの下に落とされていた。


「ミアは隙だらけですね、どうか、暴れないで、もしも身分のことを気にしているのなら問題ありません。伝手があるので、 養子になればよいのです。もっとも、私は気にしませんけど。

大丈夫です、心配しなくても最後まではしません。」


エリオット様は私のお腹に優しく手を当てる。


「あぁ、かわいいミア」


放れようと身悶えると、逃すまいとエリオット様も縋ってくる。



私の視線に気づいたエリオット様は、微笑む。


「もの欲しそうな顔をしてますねミア?でも、今は我慢してくださいね、大丈夫、気持ちよくなってください」


「エリオット様…」



頭がふわふわとしていて何も考えられない。

エリオット様にされるがまま、身を任せていた。


「ミア、愛しています。結婚しましょう」


こんな風に迫ってくるなんて、エリオット様はずるい。


本当に身分など何も考えなくていいのなら━━。




「は…い……」


自分の気持ちに正直に答えてしまっていた。



抱きしめられてエリオット様の心音が聞こえる。あまりにも心地良くて、安心する。


ウトウトといつの間にか眠ってしまっていた。


そうして私は、


エリオット様の妻になった。


「ミア?身体がまだつらいでしょう?産まれるまでは私が全てのお世話をするから心配いりませんよ」  


「エリオット様、どうして私なんかにここまでしてくださるのですか?」


「ミア、それは、私がこの世の、いえ、あの世も含めて、誰よりもあなたを愛しているからです!」


「━━エリオット様、嬉しいです…そんな風に思ってくれて……」



(ミア、あなたは、今エディにはそんなこと言われたことないと思いましたね?あんな奴のことなど気にしなくていい。クズだ!

モデア男爵の小麦畑は、もうとっくに廃れていますよ。貴族の子女が畑仕事をするわけがない。高貴な者が作るという考えは笑える。

モデア男爵はミアのことを案じていたのかもしれないが、息子のエディが愚息。


甘い汁を吸おうと近づいてきたストーク男爵を受け入れたのが間違いだったな。

でも、もしもエディがミアを大切にしていたのならば、手を貸してやったが、クズ男だしな。セレナ嬢も、金目当ての尻軽女だ。私にまで色目を使ってきた。


ミアを傷つける者は許さない!



ストーク男爵は、モデア男爵領の金を当てにして随分と借金をしていた。その借用書を買い取って、利子を100倍にして催促しているから、そろそろ破産してセレナ嬢を娼館に売り飛ばすだろう。貴族令嬢を処女でなくても高額で買い取る娼館のチラシを毎日届けているからな。


モデア男爵は少しは反省していたから、エディと共に地方で働くことになるだろう。


領地は買い取ってあるが、ミアがつらい思い出が蘇るのならば手放そう。


ミア、私はね、重い病を患っていたんだ。

けれど、ある食べ物を食べた時だけ症状が改善したんだ。詳細な調査の結果、モデア領の小麦を使用した料理を食べた時だと判明したんだ。


症状が改善した頃、視察に訪れた時、君をみかけた。揶揄われている君を慰めようと近づいた時、全てがわかったんだ。


私の一族は、運命の相手と触れ合うと寿命も一体化するんだ。寿命の長い方に合わせる身体になるんだ。


君が作った小麦を食べたから救われたんだ。君を庇った拍子に手が触れたとき、浄化されるように身体が癒された。


私にとっては、運命の出会いだったよ。


だから、それから死に物狂いで勉強した。


剣術も財力も身につけて、事情を知らない他の貴族たちに何も言われないくらいの力をつけようと努力したんだ。


ミアの幸せを奪うつもりはなかったから、クズ男と幸せそうなら身を引こうと思っていた。


まさに命を賭けていたんだ。


でも天は私に味方したようだ。



盛大に式を挙げよう。


愛しているよ、ミア

君の笑顔を守る為ならどんなこともするからね



~fin~






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