終天
「暑い、アイスみたいに溶けそうだ。」
「そうだね。」
少年と少女は夏の中アイスを食べ、休みを謳歌する。
「ね、明日の祭り来るの?」
「行くよ。」
「ならさ、僕と回ろうよ!」
「いいよ。」
「なら約束ね!」
「うん。」
二人は約束をした。
夏の日、祭りを二人で回ろうと。
しかしそれは夏の陽炎の中に消えて行く事となる。
「亀裂。」
少女が指を刺す先には青い空、そこには大きな亀裂が入っている。
徐々に亀裂は大きくなりそして崩れていく。
「おいおいおい!なんだ、あれ!」
「終わる。」
「え?」
「世界が終わる。」
予言のように呟く少女。
亀裂は世界を崩し、少年少女達を飲み込もうとする。
少女は動かない。
叫ぶ少年は亀裂から逃げるように走る。
地球の終わり、少年は崩壊を見ながら走る。
そしてヒビが追いつこうかと言う時、目の前に扉が現れる。
「ドア!?えぇ!?」
止まる訳には行かない。
少年は扉に手を掛け望みを託し、開ける。
「うわっ!」
開けて1歩踏み出すとそこは奈落になり永遠に落ち続ける。
少年は勢い付けて入ったせいか回り続ける。
そしていつしか落下速度は遅くなって着地をする。
「ここ、何処?」
「ようこそ、少年。」
「誰!」
暗い底で少年は初めて声を聞く。
落ちてからどれ程時間が経ったのか?不安の中の知らぬ声は少しだけ落ち着きを与えた。
しかしその姿は見えない。
「驚かせたようだ、すまない。
私は君達人類で言う所の死神だ。」
「し、死神…僕を殺すの?」
「殺さないさ。私は人々を死に導く役目を与えられては居るけど、今はそんな状況でも無いからね。」
「状況?」
「君も見ただろう?滅びゆく地球を。」
少年は死神に怯えながら先程までの風景を思い出す。
空間の亀裂、予言の様な少女、迫る崩壊。
全てが日常を壊して行く。
「でも何で僕は生きてるの?」
「私が助けたからだ、A人類最後の少年よ。」
「最後…?」
「そうだ。今はもう地球は存在せずこの宇宙次元も崩壊しつつある。残ったのは私と君だけだ、少年。」
「原因は!?原因は何なの!」
「天使だ。」
「天使?」
死神は指を鳴らし、黒かった風景を晴らし宇宙を見せる。
そして語ったのは数日前に起こった事件。
天使とは何か?それは書いて時の如く神の使い。
天使たちは神には絶対服従、世界の秩序を保持する役目の補佐を任された。
神と共にあり世界を見続けた。
そして気づく、違和感に。
悪が権威を振るい傷つく人々、救いを求める声、無視し不干渉のみを絶対の秩序として疑わない神に。
神にも天使にも思想や感情は存在し世界の異変に対し行動を起こせる判断能力を持つ。
こうして天使は一斉に神に対して叛逆、堕天を果たす。
神々の権限は奪われ天使たちは積極的に人々への干渉を開始。
水面下で行われた計画が動き出し数日のうちに地球は秩序と管理を崩し、崩壊した。
「地球を再生するには天使を止めて、さらに他の神に手伝って貰うしか方法は無い。
だがこの地球にする人類、A人類の神は既に天使によって全て殺されてしまった。
君には難しい話かもしれないけど、どうか手伝って欲しい。」
「手伝う?僕は何をすれば良い?」
「私と共に他の神々、違う人類が住む次元に行って天使を止めて神々を救い出す。そして地球を再生させる。」
「人類も、天使も、神も、他の場所にも居るの?」
「そうだ。だからまだ可能性は残ってる。」
少年は話を聞き、困り顔から表情を変え決意を固める。
その瞳にはもう迷いは無い。
「分かったよ!僕手伝うよ!」
「ありがとう、少年よ。」
「少年じゃない、僕は折山狼火!」
「そうか、狼火だな。私は…そうだね、デイトナと呼ぶと言い。」
「うん、よろしく!」
神と人類。
地球を再生させる為、2人の旅が幕を開ける。