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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編ホラー

破鏡

作者: 壱原 一

学園祭でお化け屋敷をやろうとなった。


近場の大規模小売店に頼んで不要な段ボールを貰ってきて塗ったり描いたりして組み立てた。各家から古い人形やぬいぐるみや鏡などを持ち寄って汚したり壊したりして飾り付けた。


家が畜産をしている子達が持ってきた藁で人形を作り釘を刺して吊るしたり、書道部から半紙や墨汁や筆などを借りて、検索したお札の画像を手本に偽のお札を量産し貼りまくったりした。


AIで作成した人物写真を遺影風に加工して印刷して並べ、お経の動画を見繕ってリピート再生した。


そう言う色んな技術や機械に詳しい子が、途中とちゅうの恐怖ポイントで自動で記念写真を撮ってデータをお土産としてお客さんへ渡せるようにした。


割と安上がりに済ませられて予算が余ったので、もっと雰囲気を出そうとなって蝋燭や数珠や経本や仏花、線香やりんやお供え物を買って並べた。


受付係の子が悪ノリして自分の遺影も飾りたいと言うので皆でやった。


完成してリハーサルしようと顔の広い何人かが仲の良い他クラスの子達を招待した。


その内の1グループが入ったあと物凄い叫び声が響いた。


最初は目配せして忍び笑いしていたものの、止めろ死んじゃうと呂律も怪しい唾液でろでろな声なので、流石に只事では無さそうだとぞろぞろ集まり教室の蛍光灯を付けて様子を見に行く。


1人が飾り付けの鏡の破片でふくらはぎを縦に裂いていた。


顔面は困難をやり遂げる意気込みに凄んでいて、目を剥いて歯を食い縛ってぷるぷるして、額がぼこぼこになるくらい眉毛を上げていたから、少し笑っているようにも見えた。


阿鼻叫喚。救急車。大騒ぎ。即中止。


脚が物を言う競技に将来かけてる運動部の子で、少し前に同じ部の同じ熱量の子が怪我を苦に亡くなっていた。


なんで全員の頭から抜けてたのか全然わかんないけど、受付係の子。


リーダーシップがあって、お化け屋敷を提案して、飾り付けとかのアイディアをめっちゃ出してた子。


居るはずないのに。


後日「助かったらしいよ」に続けて噂話が出回る事には、推薦とかスカウトとかそれ系のばちばちがあったと言う。


亡くなった子が怪我をした時に、居合わせてたその子が立っていた位置、手の上げ加減、なんだかその辺りを巡って、「事故だよな」と親や監督やコーチや顧問や先生方を交え、何度も話し合いがあったとか、無かったとか。


同じ部の他の子達は黙々と練習に精を出していたし、助かったらしい子は学校に戻って来なかったので、みんな口に出さなくなったが、記憶には焼き付いたと思う。


ちょうど激写されていたデータには、飾り付けた鏡の全部で笑う受付係の子が映っていた。


有志でお線香を上げにお邪魔したり、また別の有志でお祓いに行ったりした。


自分はどちらもしなかった所為か、今でもたまに鏡で見る。



終.

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