電波ヒロインにはチャラ系秀才を⑥
「おい、待てよ」
俺はミアをどこかに連れて行こうとしているルーファスを呼び止める。
ルーファスは振り返って俺を見るなり舌打ちをする。
「なんか用?」
「さっさとミアの手を放せ」
「はぁ?何俺に意見しているの?」
そう言ってぎろりとこちらを睨むルーファス。
そしてルーファスは俺を無視して連れて行こうとする。
俺は、ルーファスの腕をつかんでひねり上げる。
「痛たたた!」
痛みによって、ルーファスはミアの手を離した。
ミアは、慌ててルーファスから離れる。
ルーファスはそれを見て、激しく逆上する。
「おい!なぜ俺よりも弱い人間が俺に従わない!」
「……お前の言う事はまるで的を得てないじゃないか。そもそもお前より下って言うのはどう証明するんだ?」
「ぐっ!?」
そう言われてたじろぐルーファス。
「それに俺がお前よりも学力が下であることと、ミアがお前よりも力が弱いのはどう考えても早計じゃないのか?」
「なんだと!?」
そう言って噛み付くルーファスに俺はにやりと答える。
「証明するのは簡単さ。今度、俺達とお前で比べてみればいい。お前のそれが砂上の楼閣でしかないことが分かるはずさ」
「……」
——あの啖呵をして、ルーフェスと別れた後。
俺とミアは二人きりになっていた。
……無言の雰囲気が痛い。
〈……その〉
そう思っていると、ミアが口を開いた。
〈助けてくれて、ありがとう〉
〈気にしなくていい。……単なる気まぐれだから〉
俺はそう言う。
しかし、ミアは暗い表情をしている。
きっと、思い詰めているのだろう。
〈……まずは〉
俺はそんなミアに向かって言う。
〈あいつをぶっ飛ばして、攻略しないとな〉
〈……協力してくれるの?〉
そう問いかけるミアに俺は言う。
〈じゃないと、ミアがやらかしかねないからな〉
ミアは俺を見て、きょとんとした表情になり、
〈……ありがと〉
と言った。
〈でも、いったいどうすれば……?だって、ルーファスに勝たなきゃいけないんでしょ?〉
そう。あの後、ルーファスと俺、というかミアは、一週間後にルーファスと決闘することを約束させられた。
『俺より強いってんなら、俺と正々堂々勝負しろ!』
なんて。
ミアは若干自信無さげだ。
〈大丈夫だ。一週間もあれば余裕であいつに勝てるぞ!〉
俺はミアを自信づける為にそう言う。
〈というか、今でも多分7割ぐらいでミアが勝てるぞ〉
〈え?〉
〈ミアは単純に魔法が上手い。それだけでも十分にあいつに勝てるさ。後足りてないのは、実戦経験ぐらい。一週間もあれば、カバーできる〉
そう伝えると、ミアは少しだけほっとしたような雰囲気だ。
〈それじゃあ、特訓しようか?〉
〈お願いします……〉
ということで、俺たちは、一週間後に向けて、特訓をすることにした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!