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ようこそ吹き溜まりの世界へ  作者: ジャッカス
18/32

0章ー18

 さて…戻ってきたはいいものを。思った以上に悲惨だな。

 砦へと戻ったジョンに門の扉は直ぐに開いた。レーザーサイトの装着されたバトルライフルを構えて慎重に入っていくと門番の騎士たちは直ぐに出迎えた。

 ジョンは彼らの説明を聞き流し砦の中を眺めると、砦内では騎士や兵士を相手に召喚者たちが暴れまわってた。

 数は砦の連中が有利みたいだが大破した門の前の時と同じで召喚者たちの方が勝っている。通常の戦闘ならこうはならなかっただろうが混戦となると指揮系統もないからな。

 そんなこと思いながら歩くジョンに一人の召喚者が気付くと斧を片手に駆けてきた。

「お前をやれば大手柄だ!」

「そうか」

 敵だと認識したジョンは構えるとレーザーで狙いを定め二発撃った。放たれた弾丸は胸を二発当たると着ていた防具を貫き前のめりに派手に倒れた。

 困った。敵と味方の区別がつかない。それっぽい連中は分かるが兵士や騎士っぽい連中もいるし狩人っぽい奴もいる。正直分からん。

「いっそ乱射すれば話が早いんだがな」

 一瞬考えるも直ぐにその考えを捨てるジョンは歩きながら考えてると、ふと一人の男のことを思い出した。

 そうだ。あいつなら敵と味方の区別がつくだろう。それにあの格好ならこの敵味方入り乱れての戦闘でも直ぐに見分けがつく。…たしかコニーの話だと彼女と一緒に砦の要塞の警備に行かされたって話だったな。

 思い出したジョンは砦の建物に向けて歩き出した。途中騎士風の男が一人襲ってきたがバトルライフルの連射にハチの巣にされて倒れた。

 慣れた手つきで新しいマガジンに交換するジョンは歩き続けると、要塞の前では遠くでも分かるほどのド派手な戦闘が行われてた。

「はーっ!」

「ぬぬぬぬぬっ!」

 要塞の前では二人の男が戦っていた。その内の一人の本堂は小さな杖で緑色のバリアのようなもので守りを固める中、もう一人のタキシードの男は激しい激しい拳のラッシュを浴びせていた。

 両者の間にあるバリアは一撃を食らうごとに発光し小さくもヒビ割れていき徐々に大きなヒビとなっていった。

「はっ!」

 力強く放たれた拳はバリアを砕くとそのまま本堂の胸を殴った。その一撃に本堂は吹き飛ばされ砦の壁に叩きつけられた。

「ぐはっ!」

 血を吐き出しながら崩れ落ちるように膝をつく本堂は立ち上がろうとするも、直ぐに苦しそうに咳きこんだ。

「安心してください死にはしません。ですが貴方がそちら側につくとは思いもしませんでした」

 胸を押さえ苦悶の表情を浮かべる本堂にタキシードの男は乱れた息を整えながらハンカチで汗を拭いた。

「臆病ですが常に賢明な判断と行動力でどんな状況でも自身と仲間を救ったというのに。今は私相手に負けるなんて。実に…笑えますね」

 そう言いながら嗜虐的に笑う男は本堂に近づくと顔を蹴り飛ばした。地面に倒れる本堂は起きあがろうとしたが男の靴が頭を踏みつけた。

「貴方が守りではなく攻撃を仕掛けていれば私程度に勝てたでしょう。そこまで彼女にお熱でしたか?少々お待ちを、今から半殺しにして持ってきます。この中ですね?」

 タキシードの男はそう言い足を退かそうとするも、本堂は逃がさないと言わんばかりに足を掴んだ。

「…吾輩が…賢明?…全部…たまたま…しかない。できることを…しただけ」

「そうですか。ならその結果がこれですか」

「そうだな。そしてお前はここで終わりだ」

 嘲笑うタキシードの男はジョンの言葉に素早く振り返った。

「ぐおっ!」

 真後ろに立っていたジョンはストックで殴った。鼻を殴られよろめく男は距離をとるとジョンは追撃はせず倒れてる本堂の方を見た。

「生きてるな。起きあがれるか?」

「…なんとか…ござる」

 答えを聞きジョンは本堂から男の方を見ると、男は驚きに目を見開きつつもハンカチで鼻を押さえていた。

「なぜここに?王女と共にアクアに行ったはず……まさかこの状況で戻ってくるなんて」

 血で汚れたハンカチを投げ捨て、拳を構えるタキシードの男にジョンは首を傾け骨を鳴らした。

「お前は敵だな」

「ふっ、勿論ですとも。誤算ですが丁度いい。コニー・ボード同様に貴方も始末すれば私の帝国での立場は安泰だ」

「…来た。…やった、これで助かる」

 荒い息で呟く本堂の言葉に二人の耳には入らずジョンは持っていたバトルライフルを足元に捨てた。

 そうか、あいつはやられたか。世話になったのに残念だ。

「おや、まさか怖気づきました?」

 挑発するタキシードの男にジョンは端末を取り出し片手で操作しながら空いている手でホルスターからハンドガンを素早く抜き二発撃った。

 ジョンの銃撃に男はとっさに対応できないまでも腕で二発を受け止めた。弾丸は腕を貫通しないまでも受けた腕は力が抜けたようにだらりと下におりた。

 ホルスターをハンドガンに収めるジョンにタキシードの男は距離を詰めてきた。それに対応するようにジョンは端末から選んだものを手にした。

「キェーッ!」

 回し蹴りを繰り出すタキシードの男にジョンは後ろに下がって躱すも蹴りは連続で続いていった。

「気をつけるでござる。クラスターの攻撃は物理も魔法も関係ない。どんなものも破壊できるでござる」

 つまり受けたらいけないわけか。まっぁ受ける気は元からないが。

 二度目の回し蹴りを躱すと手に握っていたテーザーガンを迷わず撃った。二つの電極が飛び出し男の胴体に当たった。

 全身を痙攣させ硬直したように固まる男は地面に倒れた。その姿を確認しジョンはテーザーガンを捨て代わりにナイフを手に取った。

 ジョンはナイフを握ると男の無事な方の腕をナイフで突き刺した。

 いまだ痺れがとれず声にならない悲鳴をあげるタキシードの男にジョンは続けて両足を刺していった。

「質問に答えろ。お前たちの数と作戦内容を五秒で言え。そうすれば殺しはしない」

 ゆっくりと目に近づけながら言うジョンに男は恐怖で固まりながらも口を動かした。

「かうは五十…しょうか…しゃは…奇襲で、この後本隊がくる予定」

「そうか。分かった」

 ジョンは立ち上がると男のタキシードでナイフの血を拭ってから立ち上がり本堂の元へ歩いた。

「立て。お前には付いてきてもらう」

「吾輩でござるか。怪我人でござるのですが」

「お前は俺に誰が敵か指示しろ。それだけだ」

 ジョンはそう言うと再びレーザサイトの装着されたバトルライフルを選んだ。その姿に本堂も諦めたようにため息をついた。

「今の吾輩では守りもできないでござるしな。少し待つでござる。せめてここに結界で守りを」

 観念したように言う本堂はなにかの詠唱とともに魔筒を構えると空に向かって撃った。すると放たれた弾は要塞を囲うように広がった。

 緑色の…バリアか?ドーム状に広がって砦の要塞を覆ったが…まぁどうでもいいか。

 興味なくジョンは歩き出すとタキシードの男は苦し気に呻いた。

「待て、話が違う。助けるって話でしょ」

「違うな。殺さないだけだ。そこで野垂れ死ね」

 そう言い放つジョンは背を向けて歩き出した。その後をタキシードの男の気にしながらも本堂も後に続いていった。

 残ったタキシードの男はどうにか動こうとするが。最後はただ叫ぶことしかできなかった。

 さて中を掃除する前にあいつの無事を確かめるか。この混戦の中で見張り塔にわざわざ攻撃を仕掛けるとは思えないが。

 そう思いながら歩くジョンは見張り塔に向かって歩いた。その後を本堂は苦しそうに胸を押さえながら後に続いていった。

「召喚者殿、向こうとあちらで暴れてるのがそうでござる」

「そうか。だがまだ伝えなくていい。それとそんな呼び方をしなくていい」

「ではなんと呼べば?」

「好きに呼べ」

「分かりましたでござる。あ、こっちに向かってくる男は敵でござる!」

 大声を出して咳き込む本堂の言葉にジョンは言われるがままバトルライフルを向けた。そこには杖を持った青い装飾の施された騎士風が近づいてきた。

「その見た目…噂の召喚者か。一手お相手願う」

「気をつけるでござる。その男はワン。我輩と同じ能力で魔法でござるが接近戦主体で強いでござるよ」

「そうか。邪魔だ」

 ジョンはバトルライフルを構えると迷わず連射した。近距離での連射にワンは空中で杖を回した。すると弾丸の方向が変わり横へと逸れていった。

…どうやら一筋縄でいかないな。

 回転が止まった杖を掴むフェルドマンは槍を思わせるような突きを放った。

「!」

 杖の先端から光った瞬間、ジョンは素早く横転して移動した。瞬間杖の先端から放たれた白い光がジョンのいた場所目がけて伸びた。

「あひぃ!」

 近くにいた本堂は対処できず腕にかすると悲鳴をあげて腕を押さえた。

 ジョンは態勢を整えることなくその場で連射するも先ほどと同じく弾丸は横へと逸れていった。

 あの杖で逸らしたと思ったがそうでもないか。…こいつ今までの連中より頭一つ抜けてるな。

 杖が振るわれるとジョンは地面を転がって距離をとった。ジョンのいた地面は抉れ、地面からは白煙があがった。

「あれは熱か」

 態勢を立て直しマガジンを交換するジョンにワンは空に向けて杖を掲げると槍のように伸びていた光は今度は巨大な大剣へと変わった。

「グレードソード」

 白く輝く何メートルも超える光の大剣をワンは片手で横に振るった。

「!」

 駆けだすジョンはスライディングで距離を詰めると、地面を滑りながらレーザーで狙いを合わせた。

「くっ」

 二度の射撃にとっさに腕で受けるワンは攻撃を止めて、再び杖を回しながら距離をとった。ジョンは攻撃を止めず撃ち続けるも弾丸は再び弾丸の軌道は横へと逸れていった。

 …そういうことか。

「エルドリッチめ」

 撃たれた腕を気にもせず呟くワンは小さくため息をつき背を向けた。ジョンは手を止めることなく撃ち続けたがその全ては横へと逸れた。

「見事だ。しかしこれ以上は禁止されている。ここで失礼する」

「尻尾巻いて逃げるのか?ワン」

 挑発を込めて言うジョンはマガジンを素早く交換しすると、振り向くワンの頭に狙いを定めて撃った。

「その通りだ。次は全力で挑みたいものだ」

 そう言い放つとワンは再び背を向けて歩き出すとその姿は消えていった。

 逃げた…いや、戦力的撤退か。なんにせよ後回しだ。

「生きてるか?」

「腕が焼けたでござる。ワン殿いつの間にあんな力をつけたでござるか」

 痛そうに腕を押さえる本堂だが直ぐに立ち上がった。ジョンはその姿を確認すると再び見張り塔へと歩き出そうとした瞬間轟音とともに吹き飛ばされた。

 突然の爆発と轟音にジョンだけでなく本堂やその周辺にいたものたちも衝撃と熱に吹き飛ばされた。

 …今度は一体なにが起きた。

 一瞬意識を失ったジョンは目を開けると自身がガレキと人に埋もれてることに気付きゆっくりと起きあがった。周囲を見回すと敵味方関係なく皆倒れ苦悶の声をあげている。

「どうなって…ちっ」

 周囲の状況を確認しようとし立ち上がったジョンの目には燃え上がる見張り塔、そして空から降り注ぐ炎によって砦内は火の海と化していた。

 炎に包まれ悲鳴をあげて暴れ狂う者、ガレキに潰され身動きがとれずに焼けていく者、死んだ者に必死に声をかけて助けを求める者。その光景はジョンにとって見慣れた光景でしかなかった。

「どこに行っても変わらないな」

 ジョンはつまらなそうに呟き、離れたところで恐怖と驚きで空を見上げる本堂の元へ歩いた。

「固まるな。死ぬぞ」

「のわっ!待つでござる。あれを見るでござる!」

「知らん。まずはこっちだ」

 服を掴み燃える砦の中を本堂を引きずりながら歩くジョンだったが直ぐに足を止めた。

「これはもうダメだな」

 見張り塔は巨大な火柱のように燃え上がっていた。石造りとは思えないほどに燃え上がる炎は塔を崩壊させていった。

 目の前で崩れ落ちていく塔にジョンはため息をつきこの炎の元凶を睨みつけた。

 空には人らしきものが飛んでいた。体は人のものと変わらないものだったが、その背には翼が生え頭部は竜を思わせる長い首と長い角、そして巨大な口から絶え間なく炎を吐き出していた。

「今度は空飛ぶ化け物か。なんてタイミングだ」

 幸い向こうはこっちに気付いてない。地対空ミサイルを出して吹き飛ばす。

 ジョンはバトルライフルを捨てようと動くと本堂は腕に飛びついた。

「違うでござる!あれは、あれが英雄王でござる!」

 英雄王?………ん?どこかで聞いたような……ん?

 どこかで聞いたことのある名前にジョンは思い出そうとしつつ腕に引っ付く本堂と振りほどいた。

「よく聞くでござる!今の英雄王は竜化すると攻撃は効かないでござる!やるなら変身が解けた後でないと倒すことはできないでござる!」

 変身?意味が分からんが…下手に攻撃は仕掛けない方がよさそうだな。

 敵味方問わず焼いていく英雄王は最後に炎を一吐きすると遠吠えをあげた。

 遠吠えに大気が震え本堂は腰を抜かせて悲鳴をあげた。それは本堂だけでなく炎や爆発に巻き込まれず無事だった者たちも威圧されたように腰を抜かしていた。ただ一人ジョンだけは睨みつけていた。

「ん?ほう、どこかで聞き覚えのある間抜け声かと思ったが裏切り者は貴様か変態」

 ジョンたちに気付いた英雄王はそのまま頭上へと移動するとゆっくりと降下してきた。

「ん?見慣れぬ者がいるな。許す名を名乗れ」

 腕を組み頭上から言い放つ英雄王にジョンは何も言わずただ相手を見つめ続けた。それはまるで獲物の動きを見る狩人のように鋭いものだった。

「ほう、俺様の威光を前に声も出せぬか。つまらん奴だ。まぁよい、剣聖!剣聖はどこだ!」

 砦全体にも広がる大声に炎の中から一人の騎士が現れた。その姿はところどころ焼けた跡があったがその動きは悠然としたものでしっかりとしたものだった。

「ここに」

「やはり生きておったか。俺様の炎のブレスを直撃させたが生きていると思ったぞ」

「英雄王これは?」

「なに。特別に目をかけて飼っていたというのにこの体たらく。これを機会に無能共を大掃除にしようと思ってな。しかし所詮はこの程度か」

 つまらなそうに言う英雄王にジョンは観察し続けた。そのことに本人は気にもせず剣聖と話し続けた。

「もうよい。召喚者などまた召喚すればいい。それよりも剣聖…やることはすませたか」

「反逆者コニー・ボードの処刑は終わりました。残念ながら首は炎で焼けてしまいましたが」

「ならばよい。では引き続き命じる。部隊を率いてこの場にいる者たちを反逆者として処刑せよ。反乱軍も召喚者も一切の例外もなく。そうすればこれまでの失態を寛大にも全て許してやろう」

 …口のよく動く奴だ。今すぐにでも武器を出したいがあの剣聖とかいう奴と同時にやりあうのは避けたい。

「…かしこまりました」

 恭しく頭を下げる剣聖に英雄王は満足に頷くと、最後までジョンたちに見向きもせず飛び去って行った。

 燃え盛る炎の中でジョンと剣聖はゆっくりと顔を合わせ同時に動いた。

 大剣を構える剣聖に対しジョンは端末から新たにショットガンを出すと即座に構えた。

「…そう言うわけだ。不本意ではあるが死んでもらおう」

「そうか…なんだろうと関係ない。敵であるならただ倒すだけだ」

 助けることはできなかったが、せめて世話になった借りは返そう。そしてあの英雄王…空を飛ばれるのは厄介だ。俺を敵だと判断する前に仕留める。

「本堂…部隊が来る前ならば見逃してやっても構わんが」

「本堂動くな。撃たれたいか?」

 こいつにはまだ用がある。それが済むまでいてもらわないと困る。

「剣聖殿、吾輩はどこにも行かぬでござる。貴方にはお世話になりましたが吾輩はこの……デストロイヤー殿を信じるでござる!」

 ……誰だよデストロイヤーって?

 さすがのジョンも意味が分からず本堂に振り返るとそれを見逃さず剣聖は駆けた。

「!」

 長く巨大な大剣にとっさに後ろに下がって後転するジョンは大剣をかすりながらも間合いの外へと出た。

 後転によって崩れた態勢を立て直す間もなく、振り上げられる大剣にジョンはショットガンを撃った。

 攻撃の態勢から素早く大剣を盾にする剣聖にジョンは防御の隙を狙って連射しつつ立ち上がった。

 あの大剣が透けてるのか?俺の射線に合わせて剣を動かしてる。さっきのワンとかいう奴といい厄介だな。

 そんなこと思いながら連射の手を止めるジョンは手の中から現れる弾をタクティカルロードで弾を込めた。だがその隙を見逃さず剣聖は攻撃の構えに戻した。

 距離を詰めて突きを放つ剣聖にジョンはとっさに銃身を盾に受け止めた。

「ぐおっ」

 吹き飛ばされるジョンだが受け身をとって直ぐに態勢を立て直し、持っていたショットガンを捨てた。

 あのでかい大剣にはショットガンじゃきついな。もっと強力…いや破壊力のあるものがいい。

 そう考えながらホルスターからハンドガンを抜くジョンは弾数のことを考えず尽きるまで連射した。

 剣聖は即座に防御の態勢をとるとそのまま前へと進んできた。

 さすがにショットガンとハンドガンじゃ衝撃が違うからな。大した時間は稼げそうにないな。

 端末を出すジョンは片手で武器選択画面に入ると目当ての武器を選んだ。

 ジョンは弾切れと同時にハンドガンをホルスターに収め、手の中に現れたそれを片手で構えた。

「覚悟はできたか?」

「お前はどうだ?」

 防御態勢から攻撃に転じようとする剣聖にジョンは大口径マグナムのハンマーを起こした。

「!」

 再び防御態勢に入る剣聖にジョンは撃った。その反動にジョンは思わず手放しそうになるも肘で衝撃を逃がした。

 近距離からの大口径のマグナム弾に剣聖は大剣で受け止めるもその一発に剣聖の体は吹っ飛ばされた。

「ぐおっ…こいつは痺れた」

 撃った衝撃にジョンは直ぐには撃てず構えなおした。

「ぐおっ……どうなったんだ?」

 剣聖はふらつきながらも起きあがると大剣を構えようとした。だが倒れた時に頭でも打ったのか足どりはおぼつかなかった。

「残り四発耐えられるか?」

 端末を収めるジョンは両手持ちに変えると防御態勢になった剣聖の大剣を撃った。

「ぐおっ!」

 二発目の衝撃に剣聖は大剣で受け止めた。先ほど違い吹っ飛ぶっことはなかったが大剣の腹にはジョンから見ても分かるほどのヒビが入っていた。

 いくら分厚かろうがさすがに耐えられなくなってきたか。あと何発耐えられる。

 反動を逃がすために曲がった腕を戻して構えなおすジョンは狙いを合わせた。

 引き金を引こうとしたジョンだったが肩の衝撃と痛みで狙いは横に逸れた。

「!?」

 一瞬撃たれたと思い込んだジョンはとっさに走り大きな瓦礫の物陰に隠れた。剣聖と第三者に警戒しながら衝撃のあった肩を確認するとパワードアーマーを貫通はしなかったものの、なにかを受けたであろう傷が小さく残ってた。

 やられたところに問題はない。問題は誰がやったか。敵は一体どこから?

 姿を探すジョンだったがその姿を確認することはできなかった。

「隊長ご無事でしたか!部隊は到着しました。お戻りください」

 物陰から聞こえたその声にジョンは慎重に様子を伺うと、以前大盾を持っていた部下と他数人が剣聖の後ろに立っていた。

「ダメだ。ここに奴…デストロイヤーがいる」

「デストロイヤー…あの野郎か。ならなおのこと下がりましょう!」

「奴は危険だ。確実にここで仕留めなければ」

「そんなふらふらしといて無理でしょ!いいからここを離れましょう」

 そう言って盾になるように盾を構えて前に出る部下に剣聖は大剣を下ろした。

「撤退だ。殿は任せる」

 その言葉に剣聖は下がり、部下はその後ろを守るように下がっていった。

 敵がいなくなりジョンは慎重に周囲を確認すると近くで本堂が倒れていた。

「本堂生きてるか」

「……死んだふりでござる」

「そうか。敵の姿は見えるか?」

 ジョンの言葉に本堂は顔を上げて周囲を見回すとゆっくりと起きあがった。

「いないでござる。だけどこれからでござる。数百以上の剣聖の部隊が攻めてくる」

 真剣な表情で言う本堂は自身の武器である魔筒を両手に持った。その姿にジョンは気にせず大口径マグナムを捨てると素早く端末の操作を始めた。

「そうか。ついでに狙撃者がいないか探してくれ」

 本堂を撃ってこないってことは既に逃げたか、あるいは俺だけを狙ってるのか。なんにせよ向こうが動く前に仕掛けるか。

 端末を操作するジョンは武器選択画面から目当てのものを探した。それはこれまで使っていた銃火器とは違っていた。

 必要なポイントは貯まった。さてどうなるか。

 ジョンは目当てのものを選ぶとそれを迷わず選んだ。すると端末とは別にタブレット型の端末がジョンの前に現れた。

 迷わず持っていた端末を収めタブレット型の端末に電源を入れると画面には上空から撮られたと思われる映像が流れた。素早く移動する映像とともに鳴り響く轟音にジョンはニヤリと笑った。

「こ、この音なんでござるか!」

「気にするな!それよりこっちにこい」

「なんでござる!音でよく聞こえないでござる!」

 歩いてくる本堂に気にせずジョンはタブレットを操作すると、画面には燃え上がる砦の映像が出た。そこには本堂の姿もあり拡大すると驚きのあまり大口を開けて固まっていた。

「…ありえない。これって…戦闘ヘリ?」

 迷彩色の戦闘ヘリはプロペラの轟音を鳴り響かせ砦の上空でホバリングするとジョンはターゲットを探した。

 まいったな。炎でほとんど見えない。砦内の敵を本堂に区別をつけてもらって敵を一掃するつもりだったがこいつは無理だな。

「どうするでござるか!?」

 近づいてきた本堂の怒鳴り声にジョンは顔を掴んで遠ざけた。

「予定変更だ。外の敵だけを一掃する」

 息を呑む本堂は横に座るとジョンはタブレットを操作してヘリを移動させた。

 上空を飛んでいったヘリは移動していくと直ぐに敵の姿が見えてきた。数百はいる武装した兵士たちはヘリを見ると驚きながらも隊列を変えて防御陣形をとった。

 上空に向けて盾を構えるその姿にジョンはその中心に狙いを合わせた。

 遠隔操作の訓練を受けておいてて良かった。さて終わらせよう。

 ジョンはタブレットを操作すると淡々と躊躇いもなくミサイルを連射した。続々放たれるミサイルの雨に地上にいる兵士たちは何が起きたかも分からないまま爆発に巻き込まれ吹き飛んだ。

 周辺一帯が爆発によって吹き飛んだ者たちは皆爆発と炎によって焼かれ生存者は誰もいなかった。ジョンは運よく巻き込まれず混乱する敵に淡々とミサイルからチェーンガンに切り替え連射した。

 画面上では大口径の銃弾の雨に攻撃を仕掛ける者、逃げる者、盾を構える者と様々な動きを見せるが皆例外なく即死していった。

 先ほどまでいた数百の兵士たちは一瞬の内に道から消えた。残ったのは地面に空いた無数の穴と数えきれない死体の山だけだった。

 しぶとい…生き残りは森の中に逃げていったか。さすがに森に向かって乱射まではする気にはなれないな。サーマルモードにすれば見えるだろうが味方や一般人がいる可能性もある。最悪森の中にある村を攻撃する可能性もある。

「もう止めるでござるか?」

「ああ、敵のほとんどを吹き飛ばした。向こうもあれだけの被害を出してまで攻撃を仕掛けることはないだろう」

 ジョンは立ち上がってタブレットは電源を切ると手の中から消えて空を飛んでいた戦闘ヘリは砦の上を通ってどこかへと消えていった。

 さて残りのポイントは…こいつは驚いた。戦闘ヘリを出してマイナスになるかと思ったがプラスになった。ならポイントは気にしなくていいな。

 加算された大量のポイントを確認しつつジョンは武器選択画面からライトマシンガンを選んだ。

「念のため俺は外からの敵を警戒する。お前は無事な者たちと協力して負傷者の救助と消火活動をしろ」

「分かったでござる。砦の結界は破壊されてないのでまずはそっちに行ってくるでござる」

 駆けだす本堂にジョンはその後ろ姿を見送ると見張り塔のあった方を見た。

「…ここに残る意味はもうないな。さて終わらせよう」

 ライトマシンガンを片手に歩くジョンは大破した門を超えて、そのまま森の中へと入っていった。

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