0章ー13
城の王の寝室。そこでは英雄王は衣服や布を一切身に纏わず素っ裸で椅子に座っていた。その顔はなにかに耐えるように眉を寄せ両手は固く握りしめられた。
「またずいぶんとイラついておるの」
「………エルドリッチ。人の寝室に勝手に入るな」
音もなく寝室に入ったエルドリッチに英雄王は睨むも当の本人は気にした風もなくベッドを見た。そこには顔の原型を留めていない裸の女の死体が転がっていた。
「荒ぶっておるのぅ。若いもんはこれだから。…さてはまた失態を犯したな」
エルドリッチのその言葉に英雄王は睨むも直ぐに目を逸らした。
「役立たずどものせいだ。あれだけの人数で何一つ命令を果たせずにいるとはな。たかだか雑魚三匹の暗殺もこなせないとはな」
「愚か者め、事は深刻であるぞ。この地の召喚者はロクな者はいなかったが能力は稀有な者は多かった。特にダーマと召喚能力のあるケフィ。特にあのケフィは今後の我らの計画に役だったかもしれぬというのに」
ぐちぐちと文句を言うエルドリッチに英雄王は振り向くと大口を開けて奇声をあげた。その声は衝撃波となってエルドリッチへ襲いかかった。その衝撃はすさまじく周囲にあった調度品は割れエルドリッチ本人も衝撃に耐えられず膝をついた。
「…まったく。まるで癇癪を持った子供じゃな。子供ならまだ可愛げもあるが主だとただ見苦しいだけじゃ」
「黙れ!竜たる俺様を怒らせてどうなるか分かっているのか」
「どうなると言うんじゃ?また泣き叫びわしに許しをこうか?半竜半人の混ざりものがっ」
壁から離れるエルドリッチは睨むと英雄王は憎々しげに睨み諦めたように俯いた。
「すまん、頭に血がのぼった」
「構わんよ。だがこれ以上わしらの計画のためにもこのつまらん戦いを即刻終えるんじゃ。さもなくば…分かるな」
「心配はない。連中を潰す策は考えてある。万が一にも手こずるようなら俺様自身が全てを終わらせる」
「…だといいが。これ以上は失望させるな」
その言葉を最後にエルドリッチは今度は歩いて部屋を出ていった。
「…死にぞこないの化け物が。……いいだろう、次で全てを終わらせてやる」
怒りをぶつけるように英雄王は金属のグラスに酒を注ぎ一気に飲み干すと力のままに握りつぶした。




