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真昼の月  作者: 桜ましろ
3/3

思いがけない告白

ドクドク…


ドクドク…


沈黙の中、最初に口を開いたのは彼女だった。


「もぉ~、なにぃ?いきなり」

彼女は俺のしようとした事に気付いてない様子で、ゆっくりと起き上がった。

そんな彼女を見て俺はほっと胸を撫でおろす。

「わ、悪い…、びっくりして。

 大丈夫か?手とかひねってないか?」

「ビックリはあたしの方だよぅ。

 う~ん。ダイジョブダイジョブ!ほらっ」

そう言って、手首をプラプラと振って見せる。

「そういえばお前、なんか用だったのか?

 こんな時間に部屋にきて」

本音をいうと、まだ少し怖かった…。

ちいが俺の部屋に来るのは良くあるし、珍しいことではなかったけど、ちいがさっきの俺の行動に気付いていて、『何をしようとしたのか』と問われるのが怖かった。

だから一刻も早く話題を変えたいと思ったんだ。



「えっと…」

俺の質問に彼女は動きを止めたかと思うと、そのまま(うつむ)く。

「ん…?ちい?」

どうしたんだ、ちいのやつ…。

彼女は俯いたまま、今度はピタリと動かなくなってしまった。



「おい?

 なんだよ…どうした?」

「……」

「やっぱどっか痛いのか?」

「あっ…あの……っ」

「んん?何だ?」

俺は心配になって、さっきまで大丈夫だと振って見せていた手首を優しく握ってみる。

なんともなさそうだ…。でも彼女の身体は微かにだけど、小刻みに震えているようだった。

「あの…」

そして、おどおどとした口調でしゃべりだしたかと思うと、

今度は勢いよく顔をあげ、俺の目を見て言った。

「あのねっ!」




 ・

 ・

 ・


――――――え?


続けられた彼女の言葉に俺はまた凍りつく。

ドクドクとまた心臓が大きく鼓動し、頭が真っ白になった。



『友達から頼まれたんだけど!

 れ……、、(れい)くんって、彼女とかいるのかなっ!?…

 …友達が聞いて欲しいって。。

 ほ、ほら!お兄ちゃん、(れい)くんと仲良いでしょ?』

詰まる声で顔を赤くしながら、そう言った。

ギュッ…

彼女の手首をつかんだ手に、一瞬力が入る。

今までにない表情(ようす)を見ると、それは『友達の話』ではないことがすぐに想像できてしまった。



「―――…っ。お前、あいつの事好きなのか?」

「ふぇっ!!ち、違うよっ。あたしじゃなくて!友達、友達!」

彼女は声を裏返らせ、力いっぱい否定してみせるが、ますます赤く染まっていく顔を隠すようにして、また下を向いてしまうのだ。

明らかに動揺しているのが分かる。

そして、その意外な反応に俺も動揺していた。



俺ら兄妹(きょうだい)(れい)は家が隣同士で、昔からの幼馴染(おさななじみ)ってやつだ。

玲と俺は年も同じで何かと良くつるむ…だから自然とこいつとも関わることが多く、今も家族ぐるみの付き合いが続いている。

けど(れい)はというと、ガキの頃からちいに対する態度は冷たいものだった。

『おめぇ、うぜぇよっ!

 兄貴ん周りばっかチョロチョロして!

 チビは向こうで遊んでろよっ!』

とか言って、ちいのことをひどく嫌っていじめたりもしてたし、無視して相手をしてやらないこともあった。

そんあいつを、"ちいが好きになることはない"って、俺は心のどっかで安心してたんだ…。



「…自分で聞けばいいだろ?」

「だ…、だって!!

 (れい)くん、あたしのこと避けてるんだもん。

 やっぱり…あたのしのこと嫌いなのかな?…彼女いるのかな?」

「…どうして知りたいの? 友達が、か? そんなの嘘だろ?」

「…好きなの。あたし、(れい)くんのこと、ずっと好きだったんだもんっ!

 だから高校受かったら告白しようって!でも、怖いんだもんっ」



ショックだった。

"恋"とか"愛"だとか全然興味もなさそうで、『兄ちゃん、兄ちゃん』と俺の後ばっか付いてきてたのにっ。

俺がどんな気持ちでずっとお前を見てきたかなんて、全く気付きもしないで…。

彼女の口からそんな言葉を聞くなんて…。それも、一番身近なあいつのことを…


真っ白だった俺の頭の脳は、一気に熱をもっていく。

このまま彼女の腕を引いて、むちゃくちゃにしてやりたいっ。

俺の気持ちぶちまけて、いっそなにもかもぶち壊してやりたいっ。

そんな衝動に駆られそうになるのを俺は必死に押さえこみ、掴んでいた手を解いた。

俺が強く握り締めていた彼女の腕は…少し赤くなっていた。



「あいつ、彼女いるよ…。

 それにしょっちゅう違う女連れてるし、やめとけ。お前には合わねぇよ」

「そ…、そっかぁ。そうだよねっ!(れい)くんカッコいいし、モテるもんね。

 あたしなんかとじゃつり合わないよねっ。えへへっ」

そう言って無理に笑ってみせる彼女に、俺はまた胸が痛んだ。

ほんとは、彼女なんていない。

あいつは良くいろんな女と一緒にいるけど、今までも『面倒だ』って特定の女と付きあおうとはしなかった。

だから、どうこうってわけじゃないけど…。

ちいの思いを知ったからか、あいつに近づかせたくないと思った。





本当に俺は――――


異常なのかもしれない。





「聞いてくれてありがと!お兄ちゃん」

「あたしもう寝るね! おやすみなさぁい」

そう言って、彼女は無理な笑顔を作ったまま自分の部屋に戻った。



きっと彼女は部屋で、一人で泣いているに違いない…。



目を閉じれば、彼女の泣き出しそうなあの笑顔が浮かぶ。

その晩、俺は眠ることが出来なかった。


3話目です!

思ったより話しがなかなか進みません!

そして、上手に書けません!


いろいろとダメダメな作者であります(^^;)

いやはや、申し訳ないm(_)m



いやぁ、それにしても・・

この兄妹は感情が動きすぎですね(笑)

とはいっても、作者の私は感情の起伏というものがあまりないので、

こういう人物を書くのは難しいけど楽しいです^^


ちなみに、この時点(2~3話)で季節は9月頃の設定なんですが、

4話で一気にジャーンプッ!!ありゃりゃ~っ!?(笑)


力不足全開な作品ではありますが、

きっと読んでくれている方がいる!

と信じて、がんばります^^

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