思いがけない告白
ドクドク…
ドクドク…
沈黙の中、最初に口を開いたのは彼女だった。
「もぉ~、なにぃ?いきなり」
彼女は俺のしようとした事に気付いてない様子で、ゆっくりと起き上がった。
そんな彼女を見て俺はほっと胸を撫でおろす。
「わ、悪い…、びっくりして。
大丈夫か?手とかひねってないか?」
「ビックリはあたしの方だよぅ。
う~ん。ダイジョブダイジョブ!ほらっ」
そう言って、手首をプラプラと振って見せる。
「そういえばお前、なんか用だったのか?
こんな時間に部屋にきて」
本音をいうと、まだ少し怖かった…。
ちいが俺の部屋に来るのは良くあるし、珍しいことではなかったけど、ちいがさっきの俺の行動に気付いていて、『何をしようとしたのか』と問われるのが怖かった。
だから一刻も早く話題を変えたいと思ったんだ。
「えっと…」
俺の質問に彼女は動きを止めたかと思うと、そのまま俯く。
「ん…?ちい?」
どうしたんだ、ちいのやつ…。
彼女は俯いたまま、今度はピタリと動かなくなってしまった。
「おい?
なんだよ…どうした?」
「……」
「やっぱどっか痛いのか?」
「あっ…あの……っ」
「んん?何だ?」
俺は心配になって、さっきまで大丈夫だと振って見せていた手首を優しく握ってみる。
なんともなさそうだ…。でも彼女の身体は微かにだけど、小刻みに震えているようだった。
「あの…」
そして、おどおどとした口調でしゃべりだしたかと思うと、
今度は勢いよく顔をあげ、俺の目を見て言った。
「あのねっ!」
・
・
・
――――――え?
続けられた彼女の言葉に俺はまた凍りつく。
ドクドクとまた心臓が大きく鼓動し、頭が真っ白になった。
『友達から頼まれたんだけど!
れ……、、玲くんって、彼女とかいるのかなっ!?…
…友達が聞いて欲しいって。。
ほ、ほら!お兄ちゃん、玲くんと仲良いでしょ?』
詰まる声で顔を赤くしながら、そう言った。
ギュッ…
彼女の手首をつかんだ手に、一瞬力が入る。
今までにない表情を見ると、それは『友達の話』ではないことがすぐに想像できてしまった。
「―――…っ。お前、あいつの事好きなのか?」
「ふぇっ!!ち、違うよっ。あたしじゃなくて!友達、友達!」
彼女は声を裏返らせ、力いっぱい否定してみせるが、ますます赤く染まっていく顔を隠すようにして、また下を向いてしまうのだ。
明らかに動揺しているのが分かる。
そして、その意外な反応に俺も動揺していた。
俺ら兄妹と玲は家が隣同士で、昔からの幼馴染ってやつだ。
玲と俺は年も同じで何かと良くつるむ…だから自然とこいつとも関わることが多く、今も家族ぐるみの付き合いが続いている。
けど玲はというと、ガキの頃からちいに対する態度は冷たいものだった。
『おめぇ、うぜぇよっ!
兄貴ん周りばっかチョロチョロして!
チビは向こうで遊んでろよっ!』
とか言って、ちいのことをひどく嫌っていじめたりもしてたし、無視して相手をしてやらないこともあった。
そんあいつを、"ちいが好きになることはない"って、俺は心のどっかで安心してたんだ…。
「…自分で聞けばいいだろ?」
「だ…、だって!!
玲くん、あたしのこと避けてるんだもん。
やっぱり…あたのしのこと嫌いなのかな?…彼女いるのかな?」
「…どうして知りたいの? 友達が、か? そんなの嘘だろ?」
「…好きなの。あたし、玲くんのこと、ずっと好きだったんだもんっ!
だから高校受かったら告白しようって!でも、怖いんだもんっ」
ショックだった。
"恋"とか"愛"だとか全然興味もなさそうで、『兄ちゃん、兄ちゃん』と俺の後ばっか付いてきてたのにっ。
俺がどんな気持ちでずっとお前を見てきたかなんて、全く気付きもしないで…。
彼女の口からそんな言葉を聞くなんて…。それも、一番身近なあいつのことを…
真っ白だった俺の頭の脳は、一気に熱をもっていく。
このまま彼女の腕を引いて、むちゃくちゃにしてやりたいっ。
俺の気持ちぶちまけて、いっそなにもかもぶち壊してやりたいっ。
そんな衝動に駆られそうになるのを俺は必死に押さえこみ、掴んでいた手を解いた。
俺が強く握り締めていた彼女の腕は…少し赤くなっていた。
「あいつ、彼女いるよ…。
それにしょっちゅう違う女連れてるし、やめとけ。お前には合わねぇよ」
「そ…、そっかぁ。そうだよねっ!玲くんカッコいいし、モテるもんね。
あたしなんかとじゃつり合わないよねっ。えへへっ」
そう言って無理に笑ってみせる彼女に、俺はまた胸が痛んだ。
ほんとは、彼女なんていない。
あいつは良くいろんな女と一緒にいるけど、今までも『面倒だ』って特定の女と付きあおうとはしなかった。
だから、どうこうってわけじゃないけど…。
ちいの思いを知ったからか、あいつに近づかせたくないと思った。
本当に俺は――――
異常なのかもしれない。
「聞いてくれてありがと!お兄ちゃん」
「あたしもう寝るね! おやすみなさぁい」
そう言って、彼女は無理な笑顔を作ったまま自分の部屋に戻った。
きっと彼女は部屋で、一人で泣いているに違いない…。
目を閉じれば、彼女の泣き出しそうなあの笑顔が浮かぶ。
その晩、俺は眠ることが出来なかった。
3話目です!
思ったより話しがなかなか進みません!
そして、上手に書けません!
いろいろとダメダメな作者であります(^^;)
いやはや、申し訳ないm(_)m
いやぁ、それにしても・・
この兄妹は感情が動きすぎですね(笑)
とはいっても、作者の私は感情の起伏というものがあまりないので、
こういう人物を書くのは難しいけど楽しいです^^
ちなみに、この時点(2~3話)で季節は9月頃の設定なんですが、
4話で一気にジャーンプッ!!ありゃりゃ~っ!?(笑)
力不足全開な作品ではありますが、
きっと読んでくれている方がいる!
と信じて、がんばります^^