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様々な世界・世界の詩

氷結の世界

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その世界は、凍てついた世界だった。


 寒くて、冷たい、氷結の世界。


 生きる者、死せる者、全てがこおりづけになって、何もかもが時をとめていた。


 そんな世界に私達は、たどり着いた。


 世界を移動する世界船を使って。


 これまで様々な世界をめぐって来たけれど、このように凍てついた世界は他には見てこなかった。


 一体何があったのだろう。







 私達は、世界航海員。


 仕事は、様々な世界を旅してそして、未知の世界の情報を故郷に持ち帰る事。


 魔王や勇者が活躍する世界も見て来たし、幻獣と呼ばれる存在も目撃した。


 科学ではなく魔法が発展する世界なども見た。


 けれど、その事実は私達の心を慰めない。


 私達の世界には、様々な病気が蔓延している。


 その病気の治療法を探るために、他の世界の情報を欲しているのだ。





 だから、その凍てついた世界に降り立った私達は、その世界を調べる事になった。


 その世界には、魔法で動く機械がたくさんあった。


 魔法生物と呼ばれるものも、たくさんいたようだ。


 普通の人間より、丈夫で生命力もつよい。


 しかし、すべて凍り付いてしまっている。


 調査の結果、その原因は氷の太陽のせいだと分かった。


 その世界にある氷の太陽は、普通の太陽とは違って、みなを凍らせてしまうらしい。


 氷河期という、寒い時期を何千年かに一度、到来させるというのだ。


 だから、世界ごと凍ってしまった。


 けれど、そんな世界でも細菌が生きていたようだ。


 とても強い生命だと思った。


 私達は、故郷のためにその細菌を持ち帰って研究する事にした。


 帰りの船の中では、他の世界で手に入れた魔法を使いながら、細菌の研究を行った。


 その細菌は熱を持つ性質があるようだ。


 特殊な条件下では、とてもあたたかくなれるらしい。


 私達は引き続き調査を行った。




 


 まもなく故郷へ帰ると言った時。


 急に細菌が熱を持ち始めた。


 それは、周囲に動く者がいなくなった時だった。


 長い航海に備えて人間はコールドスリープをしながら、船はAIが操縦をしていたため、条件が満たされたのだろう。


 細菌はどこまでもどこまでもあつくなっていく。


 緊急時に起こされた私達は、燃える船の中で呆然とする他なかった。


 熱はずっとさめない。

 何をしてもさめない。


 その熱はさめにくかった。

 最近の保温性が高かったためだ。


 私達は燃え尽きてしまうだろう。


 私達はその細菌を故郷にもって帰れなかった事を悔やみながら、宇宙の中で真っ赤に燃える光となった。



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