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75話

リリー先生はどうやら、この冬季の休みの間、サラ先生の国へ行くようだ。羨ましい。私もちゃんと見てみたい。幼い頃に出発迄の間、少し滞在しただけで、あの時は恐怖と緊張で景色すら覚えていない。兄さんは罪を犯した。おじさんも、おばさんも、牢に入って罪は償ったのだから、全てが終わりでは無いけれど、罪を犯してしまったからこそ大切に生きていけば良い。と言ってくれた。まだ、気持ちは複雑だけれど、きっと兄さんの方が、もっと辛いと思う。たがら生きていて良かったと思ってもらいたい。兄さんもアークランドに行けば気持ちに区切りがつけるかも知れない。もし、私が行きたいと言ったら、兄さんはきっと一緒に来てくれる。でも、大好きな兄さんの辛そうな顔は見たくない。考えは堂々巡りで、そもそも自分が何を望んでるのかも分からなくなってきた。ただ、心の中のサラ先生から学びたいと言う思いと、サラ先生が、ご自身の技術を「子供の遊び」と断言してしまうほど、他の凄い女医の技術を見てみたい気持ちは一番心の奥の方で燻っていた。サラ先生に手紙を書いた。お礼とこれからもサラ先生を目標に頑張って、いつかサラ先生の国に行きます。とお気に入りの便箋にしたためてリリー先生に渡してもらう様に頼んだ。


サラの付き添いで出会ったリチャードは、怖そうだけど優しかった。そして優しいけれど強そう。今は色々な国を旅している。と言ったので、ついダメ元で頼んでみた。「では、次の国はアークランドに行ってみませんか?」って、言ってしまってから、うわぁーっとは思ったけど断られたら「ですよねぇー。」って言えば良い。アッサリ「それも良いですね。」と、言ってくれたので社交辞令で終わらせたくなくて、出発の日と船の名前を紙に書いて渡した。そして、本心も伝えた。そこは真面目に簡潔に言った。サラの事を聞いて正直、不安が有り男性は多い方が良いと思ったからです。と。「私が悪い人間だったらどうするんですか?」と意地悪な返しをして来たので、「海に突き落とします。」と答えておいた。彼は笑っていた。悪い人なら騎士が一緒に行動するはずが無い。

来てくれると良いなぁ。

サラに、生徒から預かった手紙を渡しながら、持って行った方が良い物とか何か無い?と聞くと、「歯ブラシと化粧品と下着と着替えと遊ぶお金ぐらい。後は私の家に滞在するし何も要らない。寝衣も要らない。寝衣を入れる隙間が有るなら移動中に読む本でも入れたら?」と、あてにならない返事が来た。まぁ、足りない物が有ればアークランドで買えば良い。私がアレコレ買い物リストを書いている横でサラは先程渡した生徒からの手紙を読んでいる。「乗船券を今から買って来るからアンにそれを渡して、貴方も一緒に行きましょうと声をかけてくれない?」

なぜ?

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