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5話

昨日の雨も上がりラガーも今日は荷台付きでも嫌がらずに気持ちよく走っている。

ユイがラガーを褒めちぎっていたので、特にご機嫌なようだ。「優美」とまで言われれば馬冥利につきるな。

朝の澄んだ空気と顔にあたる風が気持ち良い。きっとラガーも同じように感じているのだろう。

全身で今を楽しんでいるのが手綱を通じて伝わってくる。

そして時々チラッと俺を見る。

「あぁそうだな。良い朝だ。俺も気分が良いよ」とラガーに声をかけてやる。コイツは言葉こそ話さないがおそらく人間の言葉は理解している節がある。

褒めると機嫌が頗る良くなる。

逆に俺が悪態をついたり機嫌が悪いと、そんな気分が伝わるのか「お前が悪い」と言わんばかりに機嫌が悪くなり耳をピタリと後ろに伏せて言う事を聞いてくれない。そんな事を考えていると街に着いた。

今までの人生で女物を買う必要が無かった。俺はハルの店しか知らない。店の前に来るまで考えていなかった。

女の服を買うということがどれほど困難か。それに肝心のハルは育児休暇中だったはずだ。ガラス戸の前に立つと、ハルが中にいた。今日は日曜なので久しぶりに店を開けたのか。悩んでも仕方ない。ユイには服が必要だ。とにかく中に入った。

幸い朝一番だったので、ほかに客は居ないが

美しい店主の女主人ハルが一瞬、何か言いたげにした後、思い直したように完璧な営業スマイルで言ってきた。

「いらっしゃい。ウィル。」怖いよ。その笑顔。


数字や物の単位は不思議とユイの世界と同じなのか、それともこちらの単位でわかるように伝わったのか、ユイから聞いたMサイズの服を案内してもらった。見るとMサイズはユイには少し大き過ぎる気がして、ハルと余り変わらない体型だと伝えたると一回り小さいサイズを見せてくれた。これならいけそうだ。

普段着を三着と帽子を1つ、あと寝る時の女性用ネグリジェ?をニ着、簡易靴と外出用の靴23.5cmを一足ずつ。すべてハルに選んでもらった。

忘れてはいけない下着だ。これはその、何と言うか流石にサイズがわからない。モゴモゴしているとハルはにっこり笑って淡い色違いの胸の部分にパットがついている肌着と下着の上下セットを三組、そっと出してくれた。

まぁ、とりあえず今日はこれで帰ろう。

俺が限界だ。

王宮の執事か侍女に頼んでも良かったのだろうが

そもそも女の下着まで揃える言い訳として

裸同然の女が帰ったらベッドに寝ていたとか

素っ裸の女が突然湯船に現れて、仕方がないので家に置いているなんて説明が出来るはずも無いし、するつもりもない。なにより、漆黒の髪と瞳。

間違いなく大きな問題になる。

とにかくユイの事を知る人間は居ない方が良い。万が一

、今日の買い物が噂になったとしても、大雨で馬車が壊れて荷物を無くした女が助けを求めて来たとか適当に言えばいい。まあ、そんな事は一度も無いが。

帰りにユイが美味しそうに食べていたチーズとパンの店。レクサスの実家の店へ行き、切らしていたコーヒーを買った。ユイはコーヒーを知っているのか?念のため紅茶も少し買っておこう。紅茶の隣に小分けで売っていたクッキーも一袋買った。俺に、紅茶だけを追加で買うには荷が重すぎた。間の悪い事に、レクサス本人が今日は店番をしていた。

さっさと買い物を済ませ家路を急いだ。ちょうど約束どおり昼には戻れそうだ。


現役騎士だが育児休暇中でたまたま今日は実家の店番を頼まれていた。チビ三人のお()りをしながら店頭に昨晩から準備していた焼きたてのクッキーとパウンドケーキを陳列し終えたところでウィルが来店して来た。

何やら可愛い赤い紙袋を積んだ馬車で来たウィルが、生まれてこの方、一度も買った事が無いであろう、紅茶とクッキーを買って帰ったのでニヤけながら見送った。

「毎度あり」紅茶?クッキー???あのウィルが?

紅茶とクッキーを手に取った時のあの幸せそうな表情。

おいおい。

しかも、あの赤い紙袋は俺の妻、ハルの店の袋じゃ無いのか?きっと誰も信じない。ウィルが女になる事にしたのか?それともウィルに女ができたか?

後者だな。まいった。ククッっと含み笑いをしながら店番に戻った。人ごとなのに何だか幸せな感情が自然と湧き上がってきた。ウィルに買い物をさせる女か。

コレは雨が降りそうだ。

帰ったらハルに詳しく聞くとしよう。



ラガーを馬小屋に戻し新たに水を汲み与えそると美味しそうに飲んでいる。

家に入ると、室内が何だかスッキリと全体が綺麗になっている。テーブルにはピンクと白の野花が使い終わったバターの空き瓶に入れて置かれていた。可愛いな。

今まで足下に咲いている花を気にした事など一度も無かった。

この花の様に、ユイが俺を見つけてくれたのかも知れない。

テーブルの小さな変化に、温もりを感じた。しまった。バターを買うのを忘れていた。今の一瓶で切れてしまう。明日、帰りに買って来よう。

「ユイ?今、戻った。」返事がない。

喉に何かが、せりあがる思いがした。また、消えたのか?

イヤ、雨は降っていない。

「ユイ?」寝室に行くと窓とドアを開放していて良い風が通り抜けている。ユイは、初めて見た時と同じように横に丸くなって眠っている。

良かった。消えて無かった。

しかし、ユイは良く寝る。そっと荷物を下ろしたのだが、ガサガサ音がしてユイが目を覚ましてしまった。

にっこり微笑むとユイも何か言いながら目を擦って体を起こしてきた。手を触って「ただいま。掃除してくれたんだね。ありがとう。随分、旨そうな料理も用意してくれたんだな。楽しみだ。早速お昼にしよう。」とサクッと抱き上げてキッチンに運んだ。靴も買ってきたが、ユイはまだそれを知らない。だから、もう一度ぐらいは抱き上げても良いだろう。

キッチンに下ろすとユイはスタスタと歩き出し手慣れた様子で何やらスープと卵料理を温めて直して最後に卵料理にトマトで作ったであろう真っ赤なソースをかけて出してくれた。

美味そうだ。手に触れて「美味そうだ。ありがとう。」と言うと「お口に合えば良いのですが」と恥ずかしそうに答えてくれた。

大丈夫。俺は何でも食べるよ。ユイが出してくれた最初の料理だ。ユイの国の言葉で「いただきます。」と言ってから、口にした。美味い。卵に混ぜて焼いたのか。城での食事でも、この国ではスープ料理以外、食材は別々に火を通す。この様な料理は珍しい。義姉の調理法と似ている。卵の中のじゃがいもがホクホクしていて玉ねぎも甘くソーセージも美味い。トマトの酸味が凄く合う。気がつけば取り分けたぶんを平らげてしまっていた。

しまった。

ユイのチーズとパン。ユイを見ると嬉しそうに俺を見ていた。気を取り直してユイにチーズとパンを切ってあげると

こぼれそうな笑顔で何か言ってきた。

手を触ると「ありがとう」と今度は俺にもわかる言葉で話してくれた。

なんなんだ、クソ、可愛すぎかよ。俺。

参ったな。俺だけが一人で浮かれてる。

あ・り・が・と・う。頭の中で反芻する。良い響だ。今度、使ってみよう。

ベーコンとオニオンのスープも塩と胡椒か?美味い。なるほど昨晩の俺の「全部ぶっ込みスープ」は、この味からすると無しだと言うのはわかった。何でこのスープはスッキリと美味いんだ?少し焼き目の付いたベーコンは美味い。

ユイに料理を頼んでみよう。そうすればここに気兼ねなく居てくれるかも知れない。いつか消えるその時まで。

そう思った瞬間、ドンと石ような感覚が胸に詰まった。

今は考えるのはよそう。食事を済ませて、もはや定番、俺が洗い、ユイがゆすぐの流れ作業。今日は、それだけでは無い。切らしていたコーヒーと初めて買った紅茶とクッキーがある。

ユイにコーヒーや紅茶を知っているかと尋ねると

知っていた。

さらにユイはどちらかと言うと紅茶派なのだそうだ。

買っておいて良かった。

備えあれば憂なしだな。

そして、これまた驚いたのだか、ユイが入れるとコーヒーが格段に美味い。同じコーヒー豆なのに、ここまで変わるのか?

まず、カップを熱湯で温めている。

グラグラに沸騰させジュッと音がするぐらい熱々の湯を素早く、しかしゆっくりと、ひいたコーヒー豆に回しかけ入れている。

ポタポタとコーヒーが落ちる間、ポットは火の上に戻して、又、熱々の湯を回しかける。数回これを繰り返して入れている。丁寧に入れてくれた凶器なみの熱々のコーヒーは本当に美味かった。頑固一徹レクサスの親父のコーヒー豆は実はこんなに旨かったのか。すまん。おっさん。

一息ついてから寝室に抱き上げて連れて行き、買ってきた服と靴を見てもらった。本当に申し訳ないと言うので、しばらくここに居る間は料理をしてもらえないか頼んでみると喜んで引き受けてくれた。

俺の大きいシャツを着たまま、新しい靴を履いたユイは歩けるのを自慢するかのように嬉しそうに履き心地を確認している。

ハイハイ。わかったよ。ユイの足は大したもんだよ。

あぁ靴は買ってくるんじゃなかった。

何で俺は靴を買うのを忘れなかったんだ。

仕方ない。


ユイの手をとり明日から仕事で王都に通わなければならないこと。陽が出てから用意してすぐに出かけること、帰りは陽が落ちてからか、陽がおちる時間にしか戻ってこれない事を話した。

それと、この辺りには人は住んでいないから気にしなくても良いが、この国ではユイのように黒い髪で黒い瞳の人間はいない。だから安全のために、くれぐれも敷地の外へ出かけることはしないで欲しい。何か必要な物が有れば帰りに街で買ってくるので待っていて欲しいと伝えた。次の休みには一緒に街に出かけよう。帽子で髪は隠れるし大丈夫だ。と伝えた。

ユイは「そんなに、この髪と目の色が珍しいのなら街には行かなくて良いです。その代わりどこか、あまり人けの無い所にお出かけに連れて行ってもらえませんか?」とニコニコしながら頼んできた。

次の休みには湖畔の遺跡に連れて行く約束をした。本当に嬉しそうだ。遺跡なんかで良いのか?


ウィルは良い人だ。王都で騎士の仕事をしているらしい。

四百年前までは国同士の争いが頻繁にあったらしいが、今は小競り合い程度で至って平和な時代だそうだ。この世界は例えると、ざっくり中世みたいな感じ。

突然こちらに来たけど、来た時と同じように突然もとの世界に戻れたりしないだろうか?

もし、戻れないならこの世界でちゃんと自立して生きていかないといけない。

いつまでもウィルにお世話になるような事はしたくない。

たまたま、ウィルの家に来てしまった、それだけの理由で

ずっと甘えてはいけない。とにかく何か考えないと。

元の世界に戻れたとしても無断欠勤となると会社に戻るのは無理だと思う。そして、絶対お母さんは捜索願いを出すだろう。親しい友人だって心配してるはず。騒ぎになってなければ良いけど。騒ぎにならないはずが無い。

戻れても無職、ここでも無職。今のところは結構過酷な未来しか待っていない気がする。厳しい。

私の産みの両親は災害で亡くなってしまった。

大きな災害があったときに一人で泣いていたところを保護されたのだそうだ。

余りに多くの人が亡くなり、どこの家の子供かわからなかった。国と言うか政府の人達に、かなり調べて貰ったのに家族を見つける事は出来なかった。災害の有った住民や、たまたま旅行に来ていて被災した人達など調べる限り当てはまる人物がいなかったそうだ。日帰りや車中泊だと旅館の名簿にも残らない。両親の親族が亡くなっていれば捜索願いが出される事も無い。

自分で言えたのは下の名前が、ゆい。

歳は3才、パパとママがいた。

誕生日はお正月の一月一日〜三日

これだけだった。

私を保護してくれた絢さんが、まだ30代にも関わらず、そのまま引き取り、政府の人達が戸籍を作ってくれて、絢さんが養子縁組をしてくれて育ててくれた。実の母をママと読んでいたので、絢さんのことはお母さんと呼ぶ様にしてくれた。「いつか結のママとパパに会える時が必ず来るよ。だからその時まで私は結のお母さんになるよ。一緒に暮らしましょう。」と言って抱きしめてくれたそうだ。お母さんも私と同じ様に家族をこの災害で亡くしてしまっていた。お母さんが「結」と言う漢字をあててくれた。

私が寂しく無い様にと、お母さんの実家の大阪で暮らす事になった。

お正月にいつも「明けましておめでとう」意外にお誕生日のケーキでお祝いをしてくれていたのを覚えていて、お母さんにおねだりしたらしいのだ。お正月にケーキを食べる習慣は日本には無い。だからお誕生日は元旦から三日の間だったのだろうと毎年元旦にケーキでお祝いしてくれた。大きくなるにつれ何故この国で、いくら多くの人が亡くなったとはいえ私の本当の両親が見つからないのか納得出来なくなった。所得税や社会保険料もしくは国民保険料、年金の納付だって止まるだろうし、住まいも賃貸なら家賃滞納で大家さんが気付くし家ならローンが滞り持家なら固定資産税の納付が止まる。当時は大きくニュースにも取り上げられていたそうなので、誰かが気付くはず。なにより市・府民税が未納になる。本当は災害のどさくさに紛れて私は捨てられたのでは無いかと思い悩むようになった。どうしても知りたくて、お母さんに話した。お母さんはある程度の事情を警察の方から聞いていた。その時に「背乗り」の事を初めて知った。あの災害でも何件か確認されていて、「まだ調査中の為、教える事は出来ません。」と警察の方から言われていると教えてくれた。「あれほど大きな災害の起きた場所に我が子を置き去りにする親なんていない。結は捨てられたのでは無い。絶対に。」当時、身に付けていた服や靴を見せてくれた。可愛い服だった。花柄のワンピースは手作りのようだった。保護された時の写真を見てもぷっくりしていて虐待を受けている子供には見えない。「捨てられたなんて、そんな悲しい事を思わないで。結はご両親にいっぱい、いっぱい愛されて大切に育ったんだよ。」と抱きしめてくれた。「本当に危ないから、自分で色々な人に聞いて回ったりしては駄目よ。ちゃんと警察の方達が調べてくれているからね。」と念をおされた。本当だった。その二年後、「この一家です。」と、報告が有った。

両親は災害で亡くなっていた。両親とも兄弟がおらず、私の祖父母にあたる人達も既に亡くなっていた。私の誕生日は元旦で、名前も漢字も「結」だった。なりすまして平然と暮らしている人達が存在していた。持家も盗られて売却されていた。卑怯だ。災害で悲しい思いを多くの人がしている。そんな中、更に追い討ちをかける行いをするなんて、人としてあり得ない。憎くて悔しくて、震えた。あの頃の私は何もかもぐちゃぐちゃにしたかった。怒りで眠れなかった。数件発覚したにもかかわらず一件たりともニュースで取り扱われる事は無かった。安全のために配慮してくれたのか、不都合な事実を隠す為なのかはわからない。だからあの時、自然災害以外に何が起きていたのか世間の人は知らない。"身元不明"にはいくつかの理由がある事を。政府からの委託と言う名の下に堂々と他国に盗まれている個人情報や、国民の情報を扱える立場に紛れている人達の存在を。やっと両親の遺骨を受け取り墓前で手を合わせる事ができた。ご先祖様にも手を合わせる事ができた。それでも私はまだマシな方だ。両親とDNA検査が出来たのだから。もし遺体が見つからなければ照合も出来なかったと思う。そして永遠に私はどこの誰とわからないままだったと思う。「忘れる必要も許す必要もないのよ。でも、怒りに縛られてはいけない。結、どこかで気持ちに区切りをつけないとね。」お墓参りの後にお母さんと買って帰った茨城の紅はるかの焼き芋の味を私は忘れない。


大好きなお母さんは私が成人して数年後に、ついに結婚してくれた。何年も前から、お付き合いをしている男性がいる事は分かっていたけど、なかなか踏み出せないでいた。私が居たから、だから結婚をしなかったんだと思う。

でも、お母さんはクスクス笑う。「寄り添い婚よ。お母さん達にとっては、今が丁度良い時期だったの。余り揶揄わないで。」大好きなお母さん。

就職が決まり自宅からだと片道が二時間半も、かかったので会社の近所に引っ越して一人暮らしを始めた。

恋をした。初恋は残念ながら覚えていない。お母さんが言うには「大きくなったら結婚しようね。」と幼稚園に入る前の幼い頃に良く遊んでいた近所の男の子に、私がキスしていたらしい。立派なセクハラ案件。近所の女の子に「男の子と遊ぶのは恥ずかしいこと。」と言われショックでそれまで仲良く遊んでくれていた男の子とは遊べなくなってしまった。今、思えば悪い事をしたとわかる。素直に相談するべきだった。その後も小さな恋をした。何も言えず、ただ目で追うだけの小さな恋。

大きな失恋をした時、

涙も出なかった。

好きだったのは私だけだった。

初めての人だった。

高三の冬にフラれた。

「結は俺の事だけを考えていればいいだけかも知れないが、俺は色々と考えないといけないんだ。」

情けなくて。吐きそうだった。

心から大切な友人はいる。

私を含めて高校からの仲良しの女の子四人だ。

辛い時もずっと気にかけて支えてくれた。

何よりそばに居て一緒に悲しんで痛みをかかえてくれた。

もし、いつか戻れたら、ここでの事を友達に聞いて欲しい。

戻れたら、警察には、本当の事は言えない。頭がおかしくなったと思われる。

これからのことを考えると、怖くて吐きそうになる。

何か自分で、できる事を考えないと。

明日からウィルは仕事だそうだ。

もちろんラガーもウィルと一緒に出かける。

一人の時間が増える。

考えても、どうしようもない。

夕食は一口大に切ったポテトを茹でて粉吹き芋のように水分を飛ばしてそこにカリカリに焼いたベーコンを混ぜて塩少々と少し多めのブラックペッパーでパンチの効いた味付けにした。鶏肉と玉ねぎとにんじんをバターで炒め、それとは別に小麦粉をバターで炒めて濃厚なミルクでのばしクリームシチュー風にニンニクも一片だけすりおろして炒めた具材を一緒に煮込んで、こちらも塩とブラックペッパーで味付けした。ローリエが有れば良いのに。残念。

あとは、家の前にある小さな菜園で取れたトマトと胡瓜を少し小さめの角切りにしてオリーブオイルと塩を混ぜてサラダにした。そして今回もウィルがパンとチーズを切ってくれる。きっと、この世界に居る限りウィルは毎回、美味しいパンとチーズを私に与えてくれるのだろう。

優しいウィル。私が元の世界に戻れたら、私のことはすぐに忘れてしまうのかな?

少しは覚えていて欲しい。そうだ明日から何か記念になる物を作ろう。お金をかけずに。

無一文ってかなり気を使う。

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