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20話

何で、私たちが一緒に来てしまったのかは謎だ。

同じ部屋に居たのに祖父母と弟は来ていない。

ヤッタからじゃ無い?ヤッタからかなぁ?

もうクスクス笑うしか無い。

一子は右足を捻挫していた。野球のボールを半分に切って貼り付けたぐらいに腫れている。今はどうしてあげる事も出来ない。


とにかく今いる場所が何処なのか、確認していた。

直ぐに検討がついたようだった。

レクサス達が流された川の数メートル先にある森のようだった。

皆んなの腕時計が役に立った。暗闇の中、十二個小さく光っている。真っ暗よりは良い。列になって進む。近くに岩の洞穴があるそうだ。こんな暗い中を進んで辿り着けるのか不安だったけど、本当に十分ほどで森を抜け大きな洞窟に着いた。恐怖のせいか、その十分は、とても長く感じた。これから長い夜が来る。


レクサス達は何か打ち合わせをしている。

私は一子と大人しく座っている。

一子に今、起きた事と私の知っている事全てを説明した。

一通り説明し終えると、ただ「話してくれてありがとう。赤ちゃんかぁ。おめでとう。」と嬉しそうに言ってくれた。「波留と一緒で良かった。一人ぼっちで来てたら、ムカついて、初めに会った第一村人をどついてたかもしれん。」とか言ってくるから「理不尽」と言って笑ってしまった。もちろん一子はそんな事しない。発想が抜群なだけた。

寒いね。ほんと、冷えるね。冷えるのは良くないやん。波留は大丈夫なん?とか、ご飯食べた後で良かったよね。とか、

一子が一緒で良かった。


空が白んできた。

移動する。服は濡れたまま全員もちろん裸足だけど仕方がない。途中、無人の村があった。避難した人達の村だそうだ。

林檎と水で食事を済ませ洗面所も借りれて助かった。

村の商店で乾いた服と靴をそれぞれ手に入れた。泥棒みたいで気が引ける。でも、こちらのお金を今は誰も持っていない。アルが「必ず、後日お金を払うから、そんな顔をしなくていいい。」と言ってくれた。私と波留はフードの付いたコートを上から着て髪と顔を隠す様に言われた。

アル達は大きな剣も装備し、雰囲気が変わってしまった。

「どこの国にも悪い人間はいるからね。念のためだよ。心配はいらない。」と言ってくれたが念のためでも、そんな姿を見れば緊張する。波留の分と自分の分として丈夫そうで手頃な枝を四本手に入れた。


とにかく歩いた。明日の夜にはアルの家に着けると教えてくれた。その夜、一子は、「女だから狙われるのなら問題は少ない。でも、もし私と波留だから狙われているのなら手持ちの駒が必要。」と言ってきた。一定の距離で数人の男に、つけられていると教えてくれた。皆んなに言う?って聞くと、「気付いてると思う。私らに心配かけんよーにしてるから知らんふりしといたげよー。」と、一子は優しい事を言ってきた。そしておもむろに手のひらより少し長い二股になっている枝をニ本くれた。両手に一本ずつ持てる様に。「おかしな奴に連れ去られそうになったら目か首を狙って突き刺せば逃げれる。躊躇したら失敗するから力一杯突き刺すんやで。」と持ち方を教えてくれた。

イヤ、無理やし。


初めに気付いたのはヨハンだった。

どの国も災害が起きた時に国としては攻めて来たりはしない。それは、救助や支援が自国にも、いつ必要になるか知れないからだ。そんな事をすれば周辺諸国から、自国に災害が発生した時に何処も手を差し伸べてくれなくなる。なにより人としても国としても間違っている。

だが、何処にでもバカはいる。アークランドの隣国だ。

統治する立場になり権力を手にすると法を犯し二〜三年でトップが変わる。その度に前統治者は必ず牢に入るか自害するか暗殺されるか、とにかく無事でいた者は一人もいない。一度でも支援をすると、それが当たり前と受け取り、一握りの金持ちだけが優遇され、本当に支援物資を必要としている国民には行き渡らない。味をしめて、「俺達の国よりも豊かな他の国が支援をするのは当たり前だ、もっとよこせ。」と催促までしてくる始末だ。当然、どの国もだんだんと距離をおく。そうすると、今度は領土に無断で侵入し、海産物や農作物や酷い時には強姦や人殺しまでしてくる。国と国との争いには発展しないように「貧しさ故に追い詰められて一部の者が勝手にやってしまった。」と、開き直るのだ。実際は隣国の統治者から命を受けた部隊が略奪しにに来ているのだ。

ヨハンが確認したところ、やはり問題の隣国の者のようだ。

相手は八人。住人を避難させておいて良かった。数日すれば国境警備の隊員と一緒に住人も戻ってくるだろう。

俺たちだけなら良いがイチコとハルが一緒だ。

接触せずにやり過ごすのが一番だが、向こうがその気なら厄介だ。

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