1「しましまと保健室と身の危機」
ぼちぼち書きます。
そう、これはありふれた吸血鬼の話。
白い髪と赤い目をした彼女の話だ。
肌は透き通るようで、どこか儚げだった。
とびっきりの美少女であったことだけは間違いない。
それは確かな真実だ。
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空には虹がかかっていて、雨が上がった後のにおいと、夏の日差しを感じる真昼だった。
校舎裏の園芸用の花壇に水をやっていると、それは落ちてきた。
燦燦と照りつける太陽のほうから真っ直線に俺の頭上にかかと落とし。
!? かかと落とし!!!??
それは青天の霹靂と呼ぶにふさわしい出来事だった。
「しま……しま……」
そこで俺の意識は途絶えた。
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「っは!!」
「起きたのね」
目を覚ますと、グラマーな白衣の天使がそこにいた。
妖艶といえばいいのか色気むんむんなお姉さんといったところだ。
個人的には泣きボクロがあるところも高得点である。
具合悪くもないのに保健室にさぼりに来るヤツもいるらしい。けしからん。いったいどこのどいつだ。
「先生、俺は一体……いってて」
「かかと落としを受けたらしいわ。そのあと地球とキスしてたの。」
先生はそっと俺の唇に触れる。
「せ……」
「大丈夫だと思うけど、頭を打っているから検査をしたほうがいいと思うわ」
「な、なにを」
「心配しないで、先生に全部任せて。ね?」
先生の指先が体の線そって移動する。。
いったいなんの検査をするつもりだっ。
俺の心臓は高鳴り、脈は激しく蠢く。
?
うごめく……??
ときめきとかドキドキなシチュエーションを表現するのにはそぐわない表現じゃないか。
「おいしく食べてあげるから。ね?」
妖艶。微笑み。愉悦。
「先生ね。踊り食いが好きなの。やっぱり命をいただくんですもの。最後までその命に向き合いたいじゃない。」
感謝。独善。
「最後の命乞いも絶望も藻掻きも諦めも受容も悲鳴も断末魔も全部全部全部受け止めてあげたいじゃない。先生はあなたのすべてを受け入れてあげる。だから、許して。ね?」
狂気。
正直何を言っているのかわからなかったが、とりあえず俺は食われるということは分かった。食べられると言っても性的な意味であるならご褒美であることは間違いないのだが、どうにもそれは期待できないらしい。体を動かそうとするが自分の体ではないようだ。コントロールが効かない。貞操の危機ではなかった。生命の危機だった。無念である。実に。
「先生、なんで。おかしいだろう、人を食べるだなんて。なんでそんなこと。いつも俺に優しくしてくれてたじゃないかっ……!!」
「命をいただくんですもの。優しくしてあげて当然じゃない?」
先生は首筋をなぞると、耳元に息を吹きかける。
「それにシュージ君、とってもおいしそうだから」
悪寒がする。
「私の中はきっと気持ちいいわよ」
先生は首筋に嚙みついた。
鋭い歯が食い込んでくるのが分かった。




