9.転送
【――条件を満たしました。進化先を選択してください】
……進化? なんだそれ?
□□□□□□□□□
以下の進化先が選択可能です。
・竜人種(適性82%)
・魔猿種(適性76%)
・悪魔種(適性76%)
・悪鬼種(適性68%)
・魔獣種(適性62%)
・魔鳥種(適性62%)
・魔虫種(適性20%)
・物質種(適性12%)
・植物種(適性5%)
・無形種(適性5%)
□□□□□□□□□
は? なんだ?
おい。もっと説明しろって!
…………。
おーい。
…………。
返事がない。
なんなんだ?
文字が頭の中から消えない。
選択しないといけないのか?
しょうがないな。
進化、か。
よく分からないけど竜人種にしておこう。人って言葉が入ってるし。意味は分からないけど適性ってやつも高いからな。たぶん悪い意味じゃないだろう。
頭の中で竜人種と答えると、次の文字があらわれた。
□□□□□□□□□
所持SP:300を消費しますか?
※転送後、SPは消滅します。
以下が選択可能です。
・ステータス強化
・スキル強化
・スキル取得
□□□□□□□□□
は?
消滅ってのはまだ意味が分かるけど……転送?
転送ってなんだよ。
なんなんだ。ここに来てさらに訳が分からないぞ。
……くそ。じゃあスキル取得だ! と、やけくそで念じてみる。
□□□□□□□□□
SP:300
取得できるスキルは以下のとおりです。
・火属性魔力操作Lv1:200
・水属性魔力操作Lv1:200
・土属性魔力操作Lv1:200
・回復属性魔力操作Lv1:200
・付呪属性魔力操作Lv1:200
・召喚属性魔力操作Lv1:200
・特殊属性魔力操作Lv1:200
・HP自動回復上昇Lv1:150
・MP自動回復上昇Lv1:150
・視覚強化Lv1:100
・聴覚強化Lv1:100
□□□□□□□□□
これが一覧か。
どうしよう。悩むな。やっぱスキル強化の方がいいのか?
□□□□□□□□□
SP:300
強化できるスキルは以下のとおりです。
・集中Lv2→3:200
・隠密Lv2→3:200
・防御Lv2→3:200
・毒耐性Lv2→3:200
□□□□□□□□□
うーん。こっちは意味がよく分からないしな。
…………。よし。
決めた。新しいスキルを選ぶ。
HP自動回復上昇Lv1。
MP自動回復上昇Lv1。
これらを選択する。
ちょうど合わせてSP300だしな。
【――条件を満たしました。名前を決めることが可能です】
名前?
そういえばずっと『なし』だったな。
俺は自分の苗字、つまりあの屑と同じ苗字は嫌いだ。
かといって死んだ家族の姓を今さら名乗るもの……。
というわけで、俺は両親にもらった名前だけ念じることにした。
【――全ての手続きが完了しました。それでは転送を開始します】
だからその転送ってやつはなんなんだって!
俺は一体どうなっ――。
【――Commit Check】
【――Configuration Check Succeeds】
【――評価:Sクラス】
【――転送先を最上級ダンジョン「エリア76832:人間界呼称『絶望の森』」に決定しました】
【――複製数:0】
【――転送を開始しています】
【――種族スキル『パーツ作成』が失われました】
【――種族スキル『ドラゴンブレス』を獲得しました】
【――種族スキル『竜の闘気』を獲得しました】
【――種族スキル『竜魔法Lv1』を獲得しました】
【――種族スキル『竜魔法Lv1』の効果により、魔法『竜への変身』を習得しました】
【――種族スキル『竜魔法Lv1』の効果により、魔法『人への変身』を習得しました】
【.......転送が完了しました】
【――Start the game.Destroy humanity!!】
* * * * * *
うわああああぁぁぁっ!
って。……ん? え?
あれ……?
なんだ?
なんだっけ?
俺は火事にあって、それで。
えっと。
【――早期クリアボーナスとしてSPを支給します】
【――ステータスを表示します】
□□□□□□□□□
名前:リュート
種族:竜人種/ミニチュアドラゴン
レベル:1
SP:3000
HP:1320
MP:980
攻撃力:270
防御力:270
敏捷性:270
魔法攻撃力:220
魔法防御力:220
魔法:
『切り裂く風』、『雷の矢』
『忍び寄る闇』、『疾風迅雷』
『竜への変身』、『人への変身』
スキル:
『言語理解』、『根性』
『HP・MP自動回復上昇Lv1』
『片手武器Lv3』、『集中Lv2』
『隠密Lv2』、『防御Lv2』
『毒耐性Lv2』
『風・雷・闇属性魔力操作Lv1』
『★煙の支配者』、『☆ドラゴンブレス』
『☆竜の闘気』、『☆竜魔法Lv1』
称号:
『異世界からの来訪者』、『耐えるもの』
□□□□□□□□□
そう。そうだ。思いだした。俺は。転送とか訳の分からないことを言われたんだった。
頭がぼやぼやする。……とりあえずステータスをチェックするか。
種族名が竜人種になってるな。っていうかステータスがえらいことに。
お、名前もついてる。リュートって……。龍斗、だったんだけどな。ま、いいか。
それに新しい魔法とスキルを覚えたみたいだ。SPもめちゃくちゃ増えてるぞ。
……ん!?
あ、あれ?
なんか体の感覚が……。
「こ、これは!」
手足の感覚が普通だ!
「それに普通の声が出るぞ!」
人間になれたのか!?
と、一瞬思ったけど微妙に違う。
肘から先、あと膝から下。
金属の鎧のような見た目の黒い鱗がある。それに鋭く光る黒い爪。恐竜みたいなデザインをしている……。
それから同じく黒い尻尾と、あとツノも二本あるみたいだった。
これが竜人ってやつか?
それよりも何よりも……。
「俺ちっちぇえええええ!」
なんだこれ? 三歳くらいの子どもの姿に……っ!
声も幼いし、足が短い、腕もそうだ。
それより何より……ち〇こが小さいッ!
…………悲しい。
でも、あるだけましか。丸い体より全然人間っぽいもんな。
そういうことにしておこう。
それで、ここはどこなんだ?
森、か? どうして洞窟から森へワープしたのか分からないけど、体が変わってるくらいだから、そんなこともあるのだろう。
久しぶりに見る青い空。白い雲。太陽の光。
綺麗だ。
木漏れ日が揺れてきらきらしてる。
土と葉の香りが含んだ空気が心地いい。
「素晴らしい!」
思わず叫んだ。あの気味の悪い空間よりずっといい。
それに『人への変身』なんていう魅力的なキーワードの魔法もある。
まずこの森を出てみよう。
俺は。
俺は今度こそ幸せになってやる――。
諦めてたまるか――!
今回で序章は終了です。次回より第一章が始まります。
面白かった! 続きが気になる!と思って頂けましたら、ぜひ『ブクマ』と『ポイント(下にスクロールするとボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を宜しくお願い致します。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。