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6.魔法

 SPを使ってスキルを選べるようになったらしい。


□□□□□□□□□

SP:284


取得できるスキルは以下のとおりです。

・火属性魔力操作Lv1:200

・水属性魔力操作Lv1:200

・風属性魔力操作Lv1:200

・雷属性魔力操作Lv1:200

・土属性魔力操作Lv1:200

・回復属性魔力操作Lv1:200

・付呪属性魔力操作Lv1:200

・召喚属性魔力操作Lv1:200

・特殊属性魔力操作Lv1:200

□□□□□□□□□


 魔力だと? いよいよゲームみたいになってきた。


 これを選べばどうなるんだ? 魔法が使えるようになるのか?


 あーくそっ! 分かんねえ!


 いっそこれを選ばずに、今までどおりパーツを作るって手もある。


 さっきのウニみたいなやつは、たぶんそうしたんじゃないか? あれだけの体のサイズに針の数。SPを相当使っただろうことは想像できる。


 うーん。


 どうしよう。


 仮に魔法を使えるようになったとして、火だけは絶対にない。


 火事で死んだ俺が火と煙を操るって……どんな皮肉だよ。


 まあ選ぶとしたら水かな? 水が魔法で出せるなら、また火事に巻き込まれても助かるかもしれないし。


 それか風もいいな。煙の能力と相性がよさそうだ。


 でも魔法ってどうやって出るんだろう? 何か呪文とかを唱えるのか?


 …………。


 よし、決めた。風を選ぼう。


【――SPを消費し、スキル『風属性魔力操作Lv1』を獲得しました】

【――スキル『風属性魔力操作Lv1』の効果により、魔法『切り裂く風』を習得しました】


「クク、クククク」


 選んだ。選んでしまったぞ。一気にSPを使ってしまった。


 そして俺は魔法を覚えた。


 正直言うと、SPの消費先にスキルを選んだのは、魔法を使ってみたいから、という理由だけだ。


 い、いいだろ、別に……。


 俺を縛るものはもうないんだ! やりたいようにやってやる!


 で、どうやって使うんだろう――ん?


 頭の中に使い方が浮かんでくる。煙の時と一緒だ。思いだす感覚。


 試してみたいが通路だと危険だな。どこか部屋を探そう。


 しばらく通路を進んでいくと――。


「……ナンダ、ココハ」


 部屋だと思って入ったが、違う景色が広がっていた。


 広い空間だ。ショッピングモールみたいな吹き抜けになっていて、上の方には通路が複雑な配管のように張り巡らされている。


 ところどころに階段が見える。あそこから上っていけるのか。


 ぶぅぅぅぅぅぅん。


 うん? この音は……。


 そちらを見ると、ハチのような羽が生えた球体生物が空を飛んでいた。そいつには羽の他にドリルのような針とハサミのような手がついている。


 そいつはひゅんひゅんと左右に揺れながら高速で近づいてきていた。


 強そうだ。


 HPも心もとない。どうしよう? 逃げるか?


 いや。逃げた先でさらなる脅威にさらされてもおかしくない。あいつさえ倒せれば他に敵の姿は見えないのだ。


 ここは逃げずに戦う。勝利して道を切り開く。


 それにせっかく覚えた魔法を試すチャンスでもあるしな。


 よし……。


 俺は手をハチにかざした。


 魔法を使おうと意識すると、周囲に働いている力――例えるなら磁場のような力だ――を感覚的に感じることができた。これが魔力というやつか?


 念じると、手の周囲に魔力が集中していくのが分かった。緑色の閃光がプラズマのように放たれている。


 左右に揺れる敵に照準を合わせる。距離は10mというところだ。


「イクゾ……。【切り裂く風】!」


 集まった魔力が一気に放たれた。


 風の切り裂く小さな音がひゅっと一瞬だけ聞こえた。


 次の瞬間――。


 ざしゅっ!


 飛んできたハチが空中で真っ二つに切断された。


 左右に分かれた球体は空中分解して弾け飛んで、ぱらぱらと破片が落下した。


「……スゲー」


 一撃だった。これが魔法か。強い。


 以外なことに音もなく派手さもなかった。でも。


「カッコイイナ」


 ふふ。ふふふふ。


 そうだ、ステータスを確認しよう。


□□□□□□□□□

名前:なし

種族:魔物のコア

レベル:10

SP:88

HP:8/22

MP:0/5

攻撃力:8

防御力:8

敏捷性:8

魔法攻撃力:3

魔法防御力:3

魔法:

『切り裂く風』


スキル:

『言語理解』、『片手武器Lv3』

『集中Lv1』、『防御Lv2』

『風属性魔力操作Lv1』、『★煙の支配者』

『☆パーツ作成』


称号:

『異世界からの来訪者』

□□□□□□□□□


 MPが消費されている。


 かなりの威力だが、連発はできないみたいだ。


 これってHPみたいに自然に回復するのかな?


 時間が経ってみないと分からない。しばらくこまめにステータスをチェックすることにしよう。


 にしてもまさか飛んでいるやつがいるなんて。


 一階にいた車輪のやつもそうだし、さっきのウニもそうだが、人間にはなかなか思いつかない発想でパーツを作っている。


 うーん。ハンマーと盾だけだと今後が不安だな。俺もそろそろ決断しないとダメだろうか。これまで人間にないパーツは作ってこなかったけれど……。


 作るとしても、どういうものがいいだろう? 試しに俺も飛行できるようにするとしたらSPはどれくらい消費されるだろうか。


【――SPを消費し『翼』を作成しますか?】


□□□□□□□□□

所持SP:88

・翼(飛行能力有):68

□□□□□□□□□


 ……結構使うんだな。


 だが煙を使わずに飛行できれば逃走の選択肢が広がる。この空間の探索も楽になるだろう。


 …………よし。


 作ろう。翼だ。使わない時になるべく邪魔にならそうなやつ……。


 びりり、と電流が走る感覚があった。翼が作られたようだ。


 今までにない器官があるというのは不思議な感じだが、問題なく動かせそうだ。翼を広げてみる。


「ン……? ゲッ!」


 なんだよこれ! 蝙蝠こうもりの羽じゃねえかっ!


 しまった……。折りたためるものを考えたら無意識に連想してしまったか。


【――条件を満たしました。魔法『飛行』を習得しました】


 え?


 新しく魔法を覚えたぞ。飛行とか言ったか。


 へえ、そんなのあるのか。


 でも翼を作ったんだから使わないだろうとは思うけど……。


 どっちにしてもMPが今はない。とりあえずこの翼の性能とやらを試してみるか。


 翼を大きく広げる。ばさばさと動かすと体がふわりと浮かぶ上がった。


「オォ、トベルゾ」


 思ったよりも大変じゃない。これならずっと飛んでられそうだ。


 ばさっばさっと高度を上げていく。


 そのまま吹き抜けを上へ飛んでいき、最上階のスペースに降り立った。


 問題ないな。


 この飛行能力で探索を続行しよう。


 適当に降りた場所だけど、ここには部屋がいくつかあるみたいだな。


 部屋へ入ってみる。白い部屋だがここには中央に箱が置いてあった。


 そばに近づいて観察する。


「コレハ……」


 宝箱か?


 開けてみるか。


 ぱかっと開くと、中に丸くて青い石が入っていた。飴玉くらいの大きさだ。


 なんだこれ?


「ン?」


 よく見ると宝箱のふたの裏側に、文字が書いてある。日本語でも英語でもない。見たことがない形の文字。


 でも俺はそれを読むことができた。


 一行目。魔石:青。スタミナ値を回復するアイテム、とある。


 スタミナ値? ステータスにはなかったけれど、文字通りそのままスタミナか?


 二行目以降に使い方が書いてある。


 これは体内に取り込む形で使えるらしい。余剰分はストックすることができるとのことだ。


 つまり、食ってみろってことか。


 回復ってあるから、体に悪いもんじゃないだろう。


 俺はひょいっと口の中に青い石を入れた。


 口に入れた瞬間、石が消滅した。


 これでいいのか?


【――魔石:青(ST値回復)を使用しますか?】


 例の言葉が俺に問いかけた。とりあえず使ってみるか。


 瞬間。俺の体が青白く発光した。


「ナ、ナンダ!?」


 光はすぐに収まる。そして別の変化が訪れた。


 これは――。


 疲労が回復した!


 煙のスキルを使ってから、ずっとあった倦怠感けんたいかんのようなものがなくなってる。


 いいぞ! これなら煙のスキルをまた使えそうだ!


 だけど、ステータスにはないけどスタミナってやつがあったんだな。


 体の感覚で何となくどれくらい残ってるか分かる。この辺は人間の時と一緒だ。


 今度は注意すれば大丈夫だろう。


 この宝箱はほかにもあるのだろうか? 色々と調べてみるか。

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