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13.魔猿リベンジ戦①

 ――キャキャ。


 その不気味な声で俺は目を覚ました。


 ……いる。あいつだ。


 どこだ? 暗い夜の森を探る。


「キャキャッ」


 …………え?


 すぐ後ろから声がした。振り返る。


 六つの目がある巨大な猿がいた。猿は白い体毛に覆われている。


 手や足、胸や腹など皮膚が露出している部分から隆起(りゅうき)した黒い筋肉が見え、その表面にメロンのような不気味な赤い筋がくっきりと浮き上がっていた。


 間違いない。あの時の猿だ。


「キャキャキャキャキャキャ!」


 音もなく、いつの間に接近されていた。


 まずい。防御――。


 ぎろり、と不気味な六つの目玉が動き、俺を見た。


 ビキン!


「うぅっ!」


 体が動かない。


「キャ!」


 巨大な拳で殴られた。


 凄まじいインパクト。


 俺は水切りした時の石のように何度もバウンドしながら森の中をすっ飛んでいく。


 石山にいくつかぶつかったが、その石山を砕きながらも俺は吹っ飛び続けていき、数キロは森を転がったあと、ようやく地面に落下した。


「……う……ぐ」


 全身から血が流れている。目や鼻、口からも。苦しい。


 片腕と片足が消えている。壊れた石像のように欠けてしまっている。


□□□□□□□□□

名前:リュート

種族:竜人種/スモールマジックドラゴン

状態:石化

レベル:1

HP:42/2100

□□□□□□□□□


 たった一撃で瀕死に追い込まれた。


 回復の魔石を使用する。ぱぁーっと白い光が俺を包み、全員の痛みが緩和されていく。腕や足も復活した。


 俺はその場に立ったが、体に違和感があった。


 足が震えている。呼吸も速い。


 俺は――恐怖している?


「くそっ! くそ、くそ! ビビんなよ、俺!」


 ばしばしと太腿ふとももを叩く。


「戦え……戦って、勝て……。勝て! 俺は、この森を抜けるんだ……生きて、幸せになるんだ。そうだろう?」


 ――キャキャ。


 また声がした。森の奥から白い猿の化け物が凄まじい速度でこちらに駆けている姿が見える。


 まるでフリスビーを追いかける犬みたいに、生き生きとしているのが感じ取れた。


「うぅ、あの猿野郎は、相変わらず俺で遊んでいるッ!」


 怒りが湧いてきた。俺がなぜやつの玩具おもちゃにされなきゃならない?


 これじゃあ、死ぬ前の俺と一緒じゃないか。あのくずに遊ばれていたあの日の情けない俺と……。


 恐怖を乗り越えろ。


 俺はあのダンジョンで力をつけた。前とは違う。


「うがあああッ!」


 俺は咆哮した。


「なんで俺がてめーみたいな猿にビビんなきゃなんねーんだッ! かかってこいエテ公がッ! ぶっ殺してやるッ!」


□□□□□□□□□

名前:リュート

種族:竜人種/スモールマジックドラゴン

レベル:1

SP:142

HP:2100/2100

MP:2400/2640

攻撃力:710

防御力:710

敏捷性:710

魔法攻撃力:910

魔法防御力:910


魔法:

『火球』、『水弾』、『水の龍』

『氷の槍』、『切り裂く風』、『突風撃』

『風の障壁』、『飛行』、『雷の矢』

『雷鳴』、『閃光』、『雷歩』、『雷帝』

『土の槍』、『地震』、『泥の沼』

『治癒』、『回復(小)』、『強化加工』

『器物召喚』、『魔法の矢召喚』、『魔力灯』

『毒の霧(麻痺)』、『忍び寄る闇』

『疾風迅雷』、『大嵐』、『乱気流』

『風塵』、『土人形』、『癒しの風』

『癒しの雨』、『肉体増強』

『竜への変身』、『人への変身』

『竜の牙』


スキル:

『言語理解』、『根性』

『視覚・聴覚強化Lv2』

『HP自動回復上昇Lv1』

『MP自動回復上昇Lv2』

『MP10%アップ』、『MP消費緩和Lv3』

『格闘Lv2』、『片手武器Lv3』

『集中Lv2』、『範囲攻撃Lv2』

『隠密Lv3』、『防御Lv2』

『恐怖耐性Lv5』、『麻痺耐性Lv5』

『毒耐性Lv5』、『精神汚染耐性Lv5』

『石化耐性Lv5』、『雷属性魔力操作Lv3』

『水・風・土・回復・召喚・特殊属性魔力操作Lv2』

『火・付呪・闇属性魔力操作Lv1』

『★煙の支配者』、『☆ドラゴンブレス』

『☆竜の闘気』、『☆竜魔法Lv2』、『л』


称号:

『異世界からの来訪者』、『耐えるもの』

『クインティプル』、『一のダンジョンを超えたもの』

□□□□□□□□□


 キャキャキャキャッ! 猿が笑っている。


□□□□□□□□□

名前:カラミティ・バルエル

種族:魔猿種/白厭(はくえん)

レベル:32

SP:23

HP:8323/8323

MP:1780/1780

攻撃力:1873

防御力:1374

敏捷性:1303

魔法攻撃力:460

魔法防御力:691

魔法:

『土の槍』、『地震』

『泥の沼』、『治癒』


スキル:

『視覚・聴覚・嗅覚強化Lv5』

『HP自動回復上昇Lv5』

『HP100%アップ』

『剛力Lv5』。『鉄壁Lv5』

『格闘Lv5』、『脅嚇きょうかくLv5』

『毒耐性Lv3』、『麻痺耐性Lv3』

『土属性魔力操作Lv2』

『回復属性魔力操作Lv1』

『☆六の魔眼Lv5』


称号:

『魔猿種の君臨者』、『恐怖を与えるもの』

□□□□□□□□□


 ぼんっ!


 俺はドラゴンへ姿を変えた。


「みゃー!(【竜の闘気】、【疾風迅雷】)」


 黒いオーラが俺を包む。


 最初から全力。


 ぼわん。俺は緑の煙を服のようにまとってから、地面を蹴った。


 ぼしゅうううう!


 まるでジェット機のように煙を立てながら高速で空へ舞い上がる。新しく編み出した技だ。今の俺は音速を超えているはず。


 続けて、


「みゃみゃみゃみゃっ!(【雷帝】、乱れ撃ちだっ!)」


 カッ!


 稲光のあと、轟音を立てながらいくつもの落雷が森へ落ちる。


 死ねッ! 雷の雨だッ!


 でたらめに撃っているわけじゃあない。一撃一撃を殺す気で放った。なのに――。


「キャキャキャ!」


 くそっ! どうして当たらない! こいつは雷よりも速く動けるのかッ!?


 落雷が森を焼いている。至るところで炎が発生している。


 やつがジャンプして俺に飛んできた。速いっ!


 だが空中では動けまい! 喰らえ!


 もう一回、『雷帝』を撃ちまくる。


「キャキャキャ!」


「うっ!」


 空中を蹴りながら移動して雷をかわしている。そんなんありかよ!?


 ――びき。


 まずい。体が動かない。やつの目は見ないようにしていたが、それでも効果があるのか?


 やつが正面にきた。黒い筋肉を膨張させて、バレーボールのアタックのように体を反って力を溜めている。


 ヤバ――


 凄まじい衝撃が俺を撃ちぬいた――。






【――スキル『根性』が失われました】


□□□□□□□□□

名前:リュート

種族:竜人種/スモールマジックドラゴン

状態:麻痺・石化

レベル:1

HP:1/1652

MP:210/2640

□□□□□□□□□


 気がついたら地面に堕ちていた。


 体の感覚がない。腹から下を失ったらしい。


 回復の魔石を使用して全回復。

 それから『治癒』で麻痺と石化を解除。ついでにMPもなくなりかけていたので回復した。


 まずい。押されている。根性のスキルも失ったままだ。次にあの一撃を喰らえば死ぬ。


 キィィン、と風を切り裂く音が聞こえた。


 なんだ? 何の音だ?


 森の向こうから、何かが高速で飛んできてる。しかも物凄い数だ。


 前方を煙で防御する。


 うぅっ!


 このパワー、受け止めることができない。横へそらす!


 すさまじい音とともに何かがたくさん地面に落下した。


 なんだ? 何を投げた?


 げ! マジかよ!?


 あいつが投げたのはモンスターだ。すごい数のモンスターがいる。半分くらいはそのまま死んでいるが、中には動いているやつもいた。


 起き上がったモンスターはよろよろと動いて、俺に狙いを定めている。


 あの猿め……なんてことしやがる! めちゃくちゃだぞ!


「キャキャキャッ!」


 上から声がした。やつが高い木の上で肩を揺らして笑っていた。観戦を決め込むつもりらしい。


 くそ。……その慢心、後悔させてやる。

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