red signal
黄金に輝く水をください、お礼はいずれ。
逆流する川のごとく、無邪気な残酷の波に乗れ。
反吐の濁流に呑み込まれれば、天と地の楔は引き抜かれる。
押し寄せてくる、追ってくる!
燃料切れになる前に、全速力でいまわのきわを目指せ。
名もない名前を賭けて、名誉には程遠いレースは始まっている。
右も左も特別製の心臓と脳味噌を搭載してるはず。
V型12気筒の激震が突き抜ける!
そうさ、性欲と私欲のデッドヒート。
理性は障害物と見なされて、眼球は赤信号みたいに血走って、ライバルたちの動きを牽制してる。
さあ、みんな腕の見せ所。
呼気も吸気もごちゃ混ぜに、大気汚染を凌ぐ迷惑振り撒いて!
燃焼も排気もこなすこの心臓がいよいよ踊り出る。
ヘルペスで爛れた口角から立ち上る、不完全燃焼の狼煙!
あいつが来る!あいつが来る!
ハート型4気筒の廃車に跨がりあいつがやって来る!
抜きつ抜かれつ、あの地球が疲労困憊の弱音をこぼす。
譲り譲られ、天才と凡才が火花を散らす。
ここで、出来る限りの大口開け。
目に見えない革新者たちが、ゴールのつもりで飛び込んでくる。
頭の上に張り巡らされた新たな秩序にイニシャルを刻め。
燃えろ、燃えろ。
身体中の毛細血管の曲がり角で運命の証拠を燃やせ!
死にかけの明かりに誘発されて、伝言ゲームは通行止め。
語り継がれるつもりでいるのなら、羞恥心を轢いて行け。
愛の炎症反応が蔓延したら、ゴールは目前。
絞り出した勇気と理性を握りしめ、過敏なアクセルを優しく踏んで。
遂にあいつがやって来る。
恥も外聞もかなぐり捨てて。
抱き合いながらゴールできるなら、喜び勇んで白旗上げる。




