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全てが変わった日②

続きです

 僕の意識が表層に復活するとともに、胸の疼きは増していった。さらにそれに呼応するかのように、胸の傷跡から光が漏れ出す。最初は小さく淡い光だったが、だんだんと大きくなり、全身が光の繭のような物に包まれた。


 体の感覚があいまいになっていく。そのことに恐怖や不安は感じなかった。むしろ繭の中にいることに、安心感を覚える。温かく、やさしく包み込んでくれ、ドクン、ドクン、と脈打っている。

 

 いつまでもこの中にいたい、と思うほどに快適だった。

 しかしそれは唐突に終焉を迎えた。体の感覚がはっきりしてくるとともに、繭にひびが入り始めたのだ。ひびは一気に繭全体へと広がっていき、そして砕け散った。


 僕は何が起こったのか分からず、呆然としてしまった。長い時間、繭の中にいたはずなのに太陽の位置は変わっていない。

 それに体に違和感が……。いつもより目線が低いし、なんだか体が軽く感じる。


「いったい何が起こって……って何この声!?」


 僕の口から鈴を転がすような、可愛らしい声が響く。確かに僕の声は高い方だった。しかしそれは男子の中ではの話で、こんなにキーは高くなかった。


 それに服装も公立高校の学ランを着ていたはずなのに、黒い軍服のような服に変わっている。あとズボンも黒く軍服チックなのだが、太ももが半分以上露出するぐらいの長さしかない(ホットパンツというのだが夢莉はその名称を知らない)。だがローファーだったはずの靴が、要所要所が金属で補強されたロングブーツに変わっているためそこまで足の露出はない。さらに体を覆い隠すように外套を羽織っており、腕には籠手が着けられている。


 さてずっと気にしないふりをしてきたが、胸元にほのかなふくらみがある。今ここで確かめることはできないが、股の部分が随分とすっきりしているような気がする。

 声が女みたいに高い、胸にふくらみがある、お股すっきり……。総評、女になってね? もしかしてさっきの繭のせいなのか。でもそんな魔法みたいなことあるわけ……魔法? え、あれ、でもそうだとしたら説明がつくかも。この世界で魔法を操れる唯一の存在、魔法少女になってしまったのかも。そう、あの人と同じ魔法少女に。


――ブモォォォォォォォォォッ!!!


 ワンチャンどこかに行ってないかな、なんて心の隅で思っていたのに、律義に待っていてくれたようだ。そんな誠実さ求めてないよ!

 でも本当に魔法少女になっているのなら、あのイノシシも怖くない。現代兵器の効かない魔獣にも、魔法少女の魔法と武器なら倒すことができる。武器……武器?

 ………………ねぇ武器が見当たらないんだけど。


 だがそんなことお構いなしにイノシシは迫ってくる。狭い路地、左右に避ける幅はない。もう目前までイノシシは来ている。


「もうどうとでもなれ!」


 やけくそ気味に拳を握り、イノシシの鼻先を殴りつけた。イノシシの勢いを殺しきれず表通りまで弾き飛ばされた。だがイノシシの鼻には拳の跡が付き、明らかに拉げている。ダメージは確実に入っている。


 これなら本当に勝てるかも。もう一発、と地面に手を突き立ち上がろうとした。が右腕を動かそうとしたら、激痛が走る。右腕にあまり力が入らず、ブランと垂れ下がっている。骨が折れている。重たいけがはそれだけで、あとは擦り傷程度だった。


 いつまでも地面とハグしているわけにもいけない。なんとか右腕をかばいながら体を起こす。だが利き腕がこの状態ではもう戦うことはおろか、逃げることも難しそうだ。

 でも骨が折れるほどの強力な一撃、イノシシもまともには動けまい。


 と思っていたのに、イノシシは依然として立っている。目を赤く爛々と光らせ、息を荒らげながら一心不乱にこちらに向かってくる。あの一撃はイノシシを無力化するどころか、ただ興奮させただけだった。


 イノシシはどんどん近づいてくる。その圧力に負け後ずさるが、イノシシの進行スピードと比べると微々たるものだ。

 そしてついにイノシシが目と鼻の先に到着した。イノシシが大きく口を開く。


 僕食べられちゃうんだ。あの日のパパとママみたいに。


 僕は目を閉じた。このまま見ていれば恐怖に負けて、来るはずもない助けを求めてしまいそうで。

 見えるから怖いんだ。聞こえるから怖いんだ。目を閉じ耳をふさげば、ほらもう怖くない。あとは嵐が過ぎ去るのをじっと我慢すればいい。


 どうせ僕なんかを助けてくれる人なんて、誰もいないのだから。


 しかし待てども待てども僕の命が尽きる気配がない。それどころかイノシシの荒々しい気配もお感じなくなった。

 恐る恐る目を開くと、そこには縦に割れたイノシシの姿があった。そのイノシシの死体もすぐに光の粒子となって消滅する。


「あなた大丈夫ですか?」

「っひゃあ!!!」

「あ、ごめんなさい。驚かせるつもりじゃなくて……」


 突然話しかけられた僕は驚き、それに話しかけた人はオロオロする。傍から見たらさぞかしおかしな光景になっているであろう。


「とりあえず僕は大丈夫です。えーっと、あなたは?」

「わたしは魔法管理局所属の魔法少女リスタルです。そういうあなたも魔法少女ですよね?」


 リスタルが差し出してくれた手を、()()で握り立ち上がった。


「えッ!?」

「やっぱりそうですか。極限状態下に置かれたことによる突発的覚醒かな」


 やっぱり僕魔法少女になってたんだ。本職からお墨付きもらった。でもなんか小声でブツブツつぶやき始めて怖い。僕どこかおかしいのかな。


「魔法管理局まで同行してもらいます!」

書きだめていたものが尽きたので次話は遅くなるかもです。

あとTwitterで宣伝用アカウントを作りました。進捗や投稿情報をつぶやこうと思っています。

https://twitter.com/show_3565

アカウント名 SHOW「黒腕の魔法少女」連載中@show_3565

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