握る拳とその行方⑨
この話には性的・暴力的表現があります。苦手な方はこの話を読まず次話に行くことをお勧めします。
またこの話を飛ばす方のためにあらすじを書いておきます。
ハイエースされてしまった主人公、しかしなぜ誘拐されたのか理解できなかった。だがだんだんと男たちが自分をどういう目で見ているのかを理解する。そして恐怖が許容量を突破してしまい――
「やああああああああああああ(着装)」
それから更新がとてつもなく遅れてしまい申し訳ございませんでした<(_ _)>
言い訳のしようもございません
引きずり込まれるのがあまりに手際が良く、一瞬だったために抵抗という抵抗ができずいともたやすく車に乗せられてしまった。
僕は後部座席に座らされて、さらに左右に太った男とスキンヘッドの男が挟み込むように座っている。もしかしたら知っている人かもしれないと思い、その人物の顔を見るが当然のことながら知っている人ではない。だって魔法少女になる前の僕を知っている人でも、今の僕を衛藤夢莉だと認識できる人は絶対にいない。多少前の僕の面影は残っているが、それ以前の問題として性別が変わってしまっている。
だから以前の知り合いは今の僕が僕であると分からないし、それにやっぱりこの人たちは知らない人だ。
ならばこの人たちはなぜ僕をこの車に乗せたのだろうか。
この車は明らかに異常であった。車内には異様な、様々な臭いが混じりあい鼻が曲がってしまいそうな臭気を漂わせている。さらに足元に置かれている箱には何に使うのかよくわからない道具がたくさん入っている。唯一普通だったのは、車のスピーカーから流れるラジオぐらいだ。
だがこうやって周りを見たせいで、狭く密閉された空間で見知らぬ大人の男性に囲まれているこの状況を理解してしまった。
「ねえ。もう〇ってもいい? 〇っていいよね!」
「ギャハハ、おめぇは目的地に着くまで我慢できねぇのかよ」
「おいおいロリコン野郎、ここでおっぱじめやがんじゃねぇぞ。また車の中を丸ごと洗わなくちゃいけなくなるだろうが!」
運転席に座っている顔にピアスを付けた男と助手席の黒いマスクの男が何か言っていたが、それを聞くだけの余裕はなかった。見知らぬ大人に囲まれているこの状況が、否応にも一番つらかった日々の記憶を想起させ、僕の精神を蝕んでいく。
もしかしてまた僕は殴られたり蹴られたりするのかな。痛いのは嫌なんだけどな。今回は速めに気絶できたらいいな。意識さえ失えば傷は残るけど、つらいことが体感的に短くて済む。痛いのは嫌だけど仕方ないよね。
――だって僕が全部悪いんだから。
「じゃあ〇〇しなかったらいいよね」
「いいけど……〇りすぎんなよ。目的地に着いたら撮影もやるんだから」
突然太った男が歓喜の声を上げ、突然僕の体を自分の方に引き寄せ抱き着いてきた。
「……ッ!?」
何が起こったのか分からず一瞬ポカンとしてしまった。だが痛みを感じるほどの力で回された腕、呼吸をするたびに鼻孔に入ってくる獣のような臭い、そして体全体で感じる僕じゃない誰かの体温。押さえきれないほどの恐怖がこみあげてくる。
「やだッ! 離してッ!!!」
必死に手足を振り回して男を振りほどこうとするが、力が違いすぎるのか思うように手足を動かせず逃げ出すことができない。なんで、なんで振りほどけないの。前はこの程度だったら振りほどくことができたのに。
「ほーら、暴れないの。大人しくしないと痛い目に会っちゃうよ?」
暴れれば暴れるほど男の拘束が強くなっていく。それでもなお手足をめちゃくちゃに動かしまくり、何とか逃れようとする。
だけどそれがいけなかった。
「ッてぇな、おい!!」
動かしていた足がたまたま太った男の反対側に座っていたスキンヘッドの男に当たってしまった。恐る恐るその男の顔を見ると、こめかみに青筋を浮かべており、怒りの形相をしている。
「おいデブ変われ。俺が〇る」
スキンヘッドはそう言うと僕の胸倉をつかみ、太った男から無理やり引きはがした。そのことに太った男は文句をいうどころか、やすやすと引き渡した。
「えっ、なになにもう〇っちゃうの? それならカメラ回すね」
マスクの男が何か言っているようだが、そちらに意識を回す余裕はすでになかった。そもそもがパニックを起こしたばかりであり、それが完全に落ち着く前にこの状況に置かれているのだ。限界はすでに通り越している。
もうどうしたらいいのか分からない。なんでこんなことになってしまっているのかも分からない。分からないわからないワカラナイ。どうしてこんなことになっているのだろう。
「まずはさっきのお礼からしなくちゃな」
スキンヘッドが拳を振り上げるのが見えた。その次の瞬間、右頬に強い衝撃を感じ、首の骨が折れたのではと思うほどに勢いよく首が左側を向いた。さらに右頬に激痛が走り抜ける。
殴られた、もう慣れっこなはずのこの痛み、でもなぜか耐えることができない。あまりの痛みに目の端から涙が流れ落ち、口からは情けない声は零れ落ちる。
「ああ、いいねその顔。サイッコーに滾るわ」
もうダメだった。先ほどまでの何としてでも逃げようという気概は殴られたことによって完全に萎えてしまった。抵抗することができない僕はもう恐怖に囚われ、体を震わせるしかない。
またさらに殴られることに身構えていると、なぜかスキンヘッドは僕を一度シートに降ろした。あれ、もう殴らないの。なぜ降ろされたのか疑問に思いその男の顔を見る。
見なければよかった。
男の目は獣欲にまみれ息遣いが荒く、僕が見ていることに気付くと、ニヤァと厭らしい笑みを浮かべおもむろに僕の服へと手を伸ばし、無理やり僕の服を脱がそうとする。
「まだわかってねぇみてえだが、これからてめぇの〇に〇っこむんだぜ。どうだ最高だろ?」
ようやくこの男たちが何をやろうとしているのか理解した。今の僕は女だったのだ。前が男だろうとこの男たちは知る由がないし、そもそもが関係のない話だ。この男たちは僕を〇すためにこの車に乗せたのだ。
ようやく男たちの思惑を理解したが……遅すぎた。
男の性的な目で見られるという今までに感じたことが無い種類の恐怖が瞬く間に僕を支配していく。やだやだやだやだやだやだ。なんでなんでなんでッ。
「やああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
さあ主人公の貞操はどうなってしまうのか(ネタばれ・守られます)
さすがに読者からブーイングが起きそうだから、ね?
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