ななちゃんとたんぽぽの綿毛
かなちゃんに手を繋がれてお散歩しているななちゃんの目に留まった小さな黄色いお花。
「きいろの、おはなしゃん」
「タンポポって言うんだよ」
かなちゃんが、お花の名前をななちゃんに教えてあげている。
「たんぽぽしゃん」
「そうだよ~、かわいいね」
「はいでちゅ!」
たんぽぽを見るのが、毎日のお散歩の時のななちゃんのお楽しみになりました。
今日も、ななちゃんはたんぽぽを見るのを楽しみにしています。
「かなしゃん、たんぽぽしゃんみるでちゅ」
「咲いてるといいね」
「はいでちゅ」
いつものように仲良く手を繋いで、いつもの道を歩いています。
「ないでちゅ」
いつも咲いている場所に小さな黄色い花ではなく白いふわふわしたのがありました。
「たんぽぽしゃん、ないでちゅ」
ななちゃんのお目目から涙がこぼれそうです。
「なな、タンポポが綿毛になったんだよ」
かなちゃんは、そう言いながら綿毛を摘んで、ななちゃんに手渡しました。
「わたげしゃん?」
「そうだよ~、なな」
「はいでちゅ」
「綿毛にふぅ~って、してごらん」
「はいでちゅ」
かなちゃんに教えてもらった通り、大きく息を吸い込んで綿毛にふぅ~と息を吹き掛けました。その瞬間、綿毛が大空に向かって飛んでいきました。
「わたげしゃん!!」
「ななが、ふぅ~した綿毛が何処かの街でたんぽぽを咲かせると良いね」
「はいでちゅ」
かなちゃんに手を繋がれ、見えなくなるまで綿毛を見つめているななちゃん。
「ばいばいでちゅ」
見えなくなった綿毛にお別れの挨拶をして、かなちゃんと手を繋ぎたんぽぽの話をしながらお家へ帰る姿は、まるで、ふたつの綿毛のように見える。