大鎌/光剣
その白色の死神は、一息を吐き切るのと同時に対戦相手の懐に飛び込んだ。
両手で握り締めるのは自分の肌や毛髪と同じ色をした武器。白い死神と呼ばれる所以――一メートル以上はある細長い棒状の魔剣を横薙ぎに振るう。が、アヤはこれを身を屈めて回避。カナタの魔剣は宙を斬るに留まった。
この回避はカナタにすれば予測の範囲内。横をすり抜けるアヤの素早い身のこなしをしっかりと視界の内に捉え、かわされた斬撃の勢いをそのまま利用するようにして回転――相手と自分の身体が交差した直後を追撃。が、アヤはここでバックステップ。カナタによる二度目の斬撃も空を斬るに終わった。
――なるほど。目と身のこなしは確かなようですね。
魔剣を構え直しながらカナタは思った。外から見ただけも無駄のない良い筋肉がついているようことを理解できたアヤだが、その実状も見た目通りだったというわけだ。
当然、カナタにしても開始直後の数度の斬撃だけで簡単に勝利できるとは思っていない。いや、仮にそうなったとして、それならばむしろ自分の方から魔導戦部を後にするだろう。魔導戦の大会と言えばやはり団体戦が花形。それは風潮にしかすぎないのかもしれないが、しかしカナタにとっても一つの重要なことだ。要は足手まといはいらなかった。そんな人間と一緒にチームを組むくらいならば自分から脱退した方がマシだ。
だが、そんな心配はどうやら杞憂で終わりそうだ。カナタはそう確信した。
気になるのは、と彼女は考える。
――あの人の魔剣や魔法が見えないことですね。どうやら遠距離火力型の魔法ではないようですが……。
チラリ、とアヤの方に目を向ける。今度は観察の意を込めて。アヤが先程から握りしめているのは三十センチほどの小さな円筒状の物体だ。おそらくあれが彼女の魔剣であるということは簡単に推測できたが、しかしその形状は理解に苦しむものだった。
その選手の筋肉量や剣技の力量に合わせてではあるが、魔導戦のルール上、当ててしまえば勝利できるのだから、ごく一部(例えば変身魔法の使い手や小回りの利く高機動接近戦型)の選手を除けば魔剣はより長く、より大きくするのがセオリーだ。だがしかし、現在自分の相手をしている人間はそのセオリーのむしろ逆をいくような武器の選択をしている。それはなぜだ?
疑問はまだあった。試合開始直前のアヤから放たれた殺人的なまでの重圧感――それが現在は全くと言って良いほど感じ取れないのだ。それはカナタの錯覚や勘違いなどではない。明らかな落差があった。むしろ現在のアヤの纏う雰囲気は静かすぎるくらいで、それは不気味とさえも思えてしまうものだ。
だがその程度のことで狼狽えるカナタではなかった。魔剣の特性や自分の魔法を隠しているのは彼女も同じだ。ましてやカナタの不可視の瞳を初見で打ち破ることなどほぼ不可能。過去に破られたことのない技というわけではないが、しかし初対戦でとなると、それはたった一人しか存在していなかった。
――そうだ。私の魔法が破られることはない! 不可視の瞳は無敵の魔法!
カナタは改めて魔剣を握る手に力を込めた。握り手の丁度真ん中に埋め込まれた魔石がにわかに光を帯び始める。
魔剣を仄かに発光させながら、カナタは再びアヤへ鋭く斬りかかった。
大きく振りかぶり横薙ぎに――右から左へと第一撃と同じ角度での斬撃。アヤはそれを右後方へステップすることで回避。すかさずカナタが追撃。持ち手を返して今度は左から右へ。
「……!?」
ここで落ち着き放っていたアヤの顔が、初めて驚愕で僅かに歪んだ。
同じパターンでの斬撃かと思われたカナタの攻撃が、しかしその意に反して同じではなかった。いや、攻撃の角度や速度は変化していなかったかもしれない。変わったのはカナタの持つ魔剣の形状だった。
アヤの元に迫りくる魔剣――長い棒状だったそれは、先端が大きく開き、巨大な鎌が出現していたのだ。
棒の先端部に内蔵されていた刃が姿を現した。ただそれだけのことなのだが、しかしそれだけでカナタの持つ魔剣の攻撃範囲は大きく変化することになる。その感覚的変化は一太刀を競う魔導戦では重要な意味を含んでいた。
不意をついた一撃――さしものアヤも反応が僅かに遅れた。その左腕にカナタの大鎌が鋭くめり込み、衝撃により発生した鈍い痛覚がアヤを襲った。
カナタは勝利を確信し、アヤは苦痛に僅かに表情を歪めた。
だが、しかし――
「なっ……!?」
状況は終了しなかった。
今度はカナタが驚きで目を丸くした。その理由は単純至極。カナタの斬撃は、アヤに命中していなかった。いや、命中はしていた。だがその魔剣と対戦相手との間には障害物が差し込まれていたのだ。
「ラッキー……!」
アヤがニヤリと笑みを浮かべて呟く。彼女の手からは既に円筒状の魔剣は消えていた。いや、正確に言うならば移動していた。自らの肉体に迫る凶刃との間へ。
「クッ……」
カナタが瞬時の判断の元飛び退いた。そしてその瞬間宙を舞い、地面への落下を始めていたアヤの魔剣だったが、彼女は空中で器用にそれをキャッチしてみせた。
アヤがしたことは簡単だ。カナタの魔剣が変形したことに不意をつかれた彼女は、自らの魔剣を宙に放ったのだ。丁度相手の斬撃と自分の身体の間に入るように。カナタの斬撃は空中に投げ出されたアヤの魔剣を巻き込み、命中する。だがしかし魔導戦のルールにおいてはあくまで直接相手の身体に斬撃を加えなければ勝利にはならない。結果的に一瞬の判断が“生存”という幸運を生み出した。
それはカナタにしてみれば――いや、大抵の魔導戦選手にとってはとても信じられない選択だった。自らに刃が迫る時、通常ならばむしろ魔剣をより強く握りしめるはずである。しかしアヤはそれをしなかった。逆に手放した。よほど戦闘慣れしているのか、それとも天性の直感か。
だが、幸運だったのはアヤだけではない。カナタが下した飛び退くという直感的判断もまた、彼女を助けることになっていたのだ。もしもその判断があと一秒でも遅れていたら、魔剣をキャッチしたアヤによる斬撃がカナタを捉えていただろう。
「それが、あなたの“魔法”ですか」
アヤを視界の中心に捉えたカナタは、対戦相手の持つ“魔剣”を見てそう呟いた。
光の剣――アヤの握る円筒状の物体から、煌々と輝きを放つ光の刃が発生していた。その威力は未知数。しかし明らかに並大抵の出力系魔法を上回っている。それがカナタには長年の戦闘による経験と直感により理解することができた。
アヤは先程発生させた光の剣を正眼に構える。それを目にしたカナタは、彼女にとってそれがどれだけ厄介な魔法であるか、その本質をようやく理解することができた。
通常の魔剣や、あるいは剣道の試合に使うような竹刀であったならばこれほどの奇妙な感覚に襲われることはなかっただろう。アヤの構えた非物質の魔剣は、長さも太さも不規則極まりなく、その攻撃範囲の想定が異常に難しかったのである。
カナタの持つ大鎌型の魔剣も一種の近接奇襲のための形態ではあるが、今彼女が相手にしている魔剣はそれ以上、単純そうに見えて全く予想のつかないものだった。例えば現在は直剣の形態をしているが、それが伸びたり太さを増したりしないと言い切れるだろうか。奇妙に折れ曲がることがないと断言できるだろうか。持ち主の――アヤの魔力調整一つでその形態を変化させるとするならば、接近戦は限りなく未知数かつ不利な戦闘距離である。
そう判断したカナタは、瞬時に後方に飛んだ。まず距離を取らなくては。元より相手の有利な距離で戦うつもりなど、彼女の積み重ねられた戦術論にはないことだ。
後方に飛んだカナタの動きに合わせてアヤも同じだけ前に出た。剣の切っ先をぴったりとカナタに合わせたまま。すり足で、しかしそれもまた異様な速度で。
剣道経験者――!
カナタは対戦相手の性質を直感した。あの足の動きは魔導戦にはない。彼女の脳内にあるあらゆる格闘技の足さばきと照合するまでもなく、明かな剣道経験を感じさせる動き――それもある種達人の域に達したすり足。通常の陸上競技の速度ならばいざ知らず、互いに剣を構え対峙した状況ならばこれ以上に強力な動きはない。カナタとアヤの距離は一瞬の内に縮まった。
ここで一転――カナタが後ずさる足を止め、前に出た。二人の距離はおよそ五メートル。そしてそれは皮肉にも、カナタが何度も何度も繰り返し脳内でシミュレートしてきた状況にまるで合致していた。
かつて自分を破った少女――小さく高速で動く、まるで彗星のような対戦相手。今目前にある状況との相違点はせいぜい魔剣の特性と相手の身体の大きさだけだ。
カナタは自らの中にある魔力の感覚を切り替える。“注入”から“放出”へ。そしてその感覚の変化は頭で考えるよりも先に魔剣の術式に到達し、彼女の持つ大鎌の形をさらに換装させた。
それはあくまで小さな変化だった。大鎌の持ち手――その底の部分が開いたのだ。
横に大きく振りかぶった姿勢――その大鎌の底というのは対戦相手にとってまさに盲点。いかに高速で反応しようとも、決して回避することのできない攻撃。
――不可視の瞳!
カナタが心中で唱えるのと同時に、大鎌の底から勢いよく球体が射出された。それこそまさに彼女の得意とする戦法。小型の魔剣を遠隔操作することによって生み出す一撃必殺の奥義。ムイと戦った時のように時間をかけるつもりはない。一度の攻撃で仕留める。
が、彼女の想像した通りの結果が生まれることはなかった。
「――!?」
球体型魔剣を射出した刹那、カナタに動揺走る。今までまるで静かな雰囲気を纏っていたアヤから、瞬時の内に圧倒的なまでの殺気が一気に放出された。それはカナタの長い魔導戦人生において一度も経験したことがない、対峙しただけで飲み込まれそうになるほど大きな暗黒の気配――よって彼女がその次に起きた事象を理解するのに、およそ二秒のタイムラグを必要とした。
事象――勢いよく発射された鋼鉄の魔弾。完全に相手の不意をついたはずの一撃。だがしかし、アヤの身体は動いた。決して反射などではない。反射と呼ぶにはあまりに次元が違いすぎる速度――それは一種の未来視に等しいかもしれない。アヤは不可視の瞳が発射される直前、突進する身体を僅かに右へ逸らし、必要最低限の動きで高速接近する魔弾を回避したのだ。
左肩を今にも掠めそうな距離で通過していく鉄球――しかしアヤの動きはこれだけで留まらなかった。回避と同時に手首の動きだけで光剣の切っ先を左肩へ。そして通過していく魔弾を彼女の高火力の魔剣が捉えた。球型魔剣を発射したカナタにしてみれば、この一連の無駄のない動きは、相手が不意の一撃を回避したのに加えてすれ違いざまに攻撃を無力化したように見えた。
アヤは左肩の切っ先をそのままの勢いでカナタへ――大鎌を今にも袈裟斬りの要領で振り下ろそうとしている対戦相手の喉元へ向け、ぴったりと停止してみせた。
二秒のタイムラグ――我に帰ったカナタは自身へ向けられる光の刃を認識し、攻撃の途中で停めてしまっていた大鎌を振り下ろしながら、後方へ緊急回避。同時に大鎌内に貯蔵されていた残り十四の鉄球を、一斉放出。
アヤは大きく振られた魔剣を、身を屈めてやり過ごす。大鎌が宙を舞うポニーテールを掠めるのを実感しながら、改めて眼前の白い少女の周囲に展開された鉄球を捉えた。
「なるほど、それがあなたの“魔法”ってわけね」
「さっきのタイミングで私を斬らなかったのは、私の魔法を見極めるためですか」
「まあねー。これから一緒のチームでやっていくんだもん。それくらいは知っておかなきゃ」
そう言って余裕そうな表情を浮かべるアヤだったが、自然とカナタの魔剣を握る手には力が入っていた。
彼女にも少なからずプライドというものがある。いくらこれまでの魔導戦の試合が父親に強要されていたものだったとしても、勝ちを積み重ねてこられたのは自らの努力の賜物である。ムイとの――本物の天才との戦闘を経てその自尊心が幾分擦り減ったとはいえ、これまでしてきた努力を否定するわけにはいかない。
カナタは頭の中で三つの魔弾に命令を与えた。一つは右から、もう一つは左、そして最後の一つはアヤの後方から攻撃を仕掛けるように。同時三方向からの攻撃ならば、例え相手に予測されたとしても回避のしようがないだろう。その判断の元、三つの鋼鉄の弾丸はイメージ通りの軌道を描き、展開――アヤの左右後方から一斉に襲い掛かった。
アヤは一つ静かに息を吸う。そして自身の中の感覚を切り替える。光の剣に集中する時が攻撃の感覚ならば、今度は相手の攻撃に対応する防御の感覚へ。対峙しているカナタには、その感覚の変化がはっきりと見て取れた。先程の急激な殺気の発生は、この感覚の換装が原因なのか。
三つの鉄球はほぼ同時にアヤを襲う。だがしかし、そこに若干のズレが生じるのは当然のことだ。そして感覚を解放したアヤにとって、そのズレから発生する隙をつくのは容易なことだった。
まず最接近したのは左側の鉄球――アヤは左手に握った光剣を横に薙ぎ払う。丁度左の太腿に命中するかと思われた魔弾は、強力無比な光の刃と衝突し音を立てる間もなく消失する。
次に迫ったのは右の鉄球。これをアヤは光剣を肩越しに背中に向けることで防御――一弾目と同様に魔弾は消失。
最後に到達する後方の球型魔剣を捌くのは最も簡単だった。右側からの攻撃を防いだアヤは、さながら鎌のようにしなる剣筋で光の刃を振り上げた。鋭い光に巻き込まれた鉄球はやはり、一、二発目の弾丸と同じようにいともたやすくその存在を消失させた。
斬れぬものなど存在しない。それがアヤの誇る超火力近接魔法――光の剣。本人の剣術と相まってこれほど強力な武器になるのか。それは試合を見ている人間全てが驚愕すべき事実だった。
そしてその驚愕は現在進行形で戦闘を繰り広げるカナタにとっても例外ではない。彼女の脳内には、一体どのような理屈で相手が自分の攻撃を予測し捉えたのか、それがまったくもって理解不能だった。
かつて技を破ったムイに関して言えば、パターンを読まれてしまうほどの回数を見せてしまっていたのだから仕方がないとしても、現在相手にしているアヤにはせいぜい最初の不意打ちの一回しか技を見せていない。それではパターンを読むのは不可能だし、直感で三方向の攻撃順を予測するというのは、それこそ困難なことだろう。
自分では気づかない攻撃の癖があるのだろうか。それともあの相手は光の剣を発生させる他に、何か未来視系の固有魔法を持っているのだろうか。あらゆる疑念と可能性が、カナタの脳裏をよぎる。
「多方向からの同時攻撃……それも、その一つ一つが魔剣だから、一発でも命中すれば即勝利、か。うん、やっぱり強力な魔法だ。もっとチームに入って欲しくなったよ」
「そういうあなたの魔法は光の刃を形成する魔法――なんですよね?」
「そうだよ? シンプルで良いでしょ」
相変わらず朗らかな笑みを浮かべるアヤに対して、カナタの疑念はますます大きくなっていった。一体どうして彼女はここまで余裕なのだろう。やはりまだ何か隠された能力があるのだろうか。
「さっきから私の攻撃をかわしてばかりいますが、そんなに予測しやすいですか」
「うーん、いや、予測なんて大したものじゃないけど。私ってそこまで頭良くないし」
「じゃあ、どうして……!?」
静かに声を荒げるカナタに対して、アヤは優しい声でこう答えた。光の剣を再度構えながら。
「気になるなら試してみればいいんじゃないかな?」
「……馬鹿にしないでください!」
――不可視の瞳!
カナタが叫ぶの同時に、周囲に展開していた球型魔剣が一斉にアヤに向かって飛翔した。それこそ先程の攻撃とは打って変わって完全にランダムな軌道をたどりながら。
アヤは一つ息を吐くと、同時に光剣を上段で構える。そして再度目を大きく見開くと、意識下の“気”を瞬時に解放させる。
“気”を解放したアヤにとって、ランダムに接近する球型魔剣などもはや問題ではない。迫りくる速度、角度、軌道、それら全ての要素が予測ではなく全て感覚で性格に認識できてしまう。彼女にその技術を教えた人物は、それを“魔気”と呼んだ。
鉄球の動きを認識できてしまえば、対処は簡単だ。身体を動かして回避、あるいは切れぬもののない魔剣で迎撃――高速で迫るカナタの魔弾は、僅か一分でそのほぼ全てが撃墜されてしまった。
「そんな……バカな……!?」
カナタにしてみれば到底信じられる状況ではなかった。絶対の自信を誇っていた自らの技が、初めて見せる相手に見切られてしまったのだ。あるいは選手としての命を失っているに等しい。
こんなレベルの相手が、高校生にはたくさんいるのか。もしかしたらムイ以上の実力を持っているかもしれない――そんな相手と対峙して、カナタはそう思った。新たな世界に足を踏み入れたということを実感した。
迫る刃――もはやカナタに残された抵抗の選択肢はない。接近戦での不意打ちが通用しなかった以上、不可視の瞳を突破され、相手の攻撃範囲に入ってしまったらもはやできることは斬られることを待つだけだった。そして――
光の刃が、カナタを捉えた。
魔導着に覆われた腹部に熱と衝撃が走り、一瞬にして耐久値を奪い去った。試合終了――カナタの敗北である。
「負け……ました」
驚愕と疲労によってがっくりと膝をついたカナタが呟きを漏らす。
アヤがにこやかな顔を浮かべてカナタを振り返る。
「よしっ、じゃあ、今日から雨宮さんは私たちの仲間だ! よろしくね、雨宮さん」
そう言って差し出される右手。太陽のような笑みと能天気とさえいえるポジティブさ――思わず、かつて自らを救ってくれた少女と重ねてしまう。そうだ、あの時、ムイさんもこんな調子で――
そう思いながら差し出された右手に応えようとした瞬間――
「いやぁ、見事な試合でしたねー」
つい先程まで緊迫した空気に包まれていた空間――そんなものなどいともせず、間延びした声がアヤの背後からした。それは聞き覚えのある、カナタがずっと探し求めていた少女の声だ。
アヤがゆっくりと振り返る。
そこに立っていたのは、真新しい制服の上にダボダボのジャージを羽織った小さな少女。両手に白色の短剣を持ち、眠たげな表情を浮かべている彼女は、まさにカナタが求めていた人物だった。
「あ、どうも、こんちゃーす。一年の霧野夢衣、入部希望っす」