表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王代行の理想郷  作者: 瀬川裕
第1章 魔王アスタロト
1/12

プロローグ

 俺は1人、家路を急ぐ。空は暗く、足下の雪とは対照的に広がっている。周囲は風の音しか聞こえない程静かで、月の光だけが俺を優しく照らしている。


「バイト帰りのしがない高校生にとっては……まあまあいい景色か」


 などと言いつつも、なんだかんだで俺はこの帰り道が好きだ。確かに自宅の方が暖かく、テレビもパソコンもあるが、それらの中にはこのような癒やしとなるものはない。両親にも疎まれていて、正直、居心地が悪い。


「そりゃまあ、こんな偏屈な息子は嫌だろうしなぁ……」


 何より両親からすれば、俺はそれなりに悪い趣味――俺自身はそうは思っていないが――を持っているらしく、忌み嫌われてもしかたない。だが、たとえ忌み嫌われようとも、この趣味だけは譲れない。


「とは言っても、大して知識はないしな……下手の横好きってやつなのかな」


 先ほどから独り言ばかりで、自分でも気持ち悪いとは思う。しかし、これもしかたのないことだ。いつもこの道を通るのは、俺だけだ――故に、油断していたのだろう。あるいは、おかしな考えごとに夢中になっていたせいか。何にせよこれは――


「あ……俺、死んだな……」


 そう、まさしく瀬戸際だ。目の前から、トラックが迫ってきている。もちろん考えている暇もなく、あと1秒も経たずに俺はひかれてしまうだろう。だから、俺は祈る――


(せめて、来世があれば……俺が理想とする世界でありますように!)


 そして、俺は意識を失った。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ