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7 風は流れる断崖の岸
その後三日の戦闘の果て
世界の片隅で、歴史ある小さな国がひとつ滅びた
大陸の大国三国に同時に攻められて
緑陰の国が数日にせよ持ち堪えたことを
敵国も称賛したけれど
最後まで抵抗した罪により
女王は虜囚となり
生き残った高官はすべて処刑
だがその中には
補給部次官霜姫の名はみられなかった
かつて
大地の女神に愛された
緑豊かな国があったという
人々は平和を愛し
その国は不戦を国是と奉じ
農耕と芸能にいそしみ
旅人は足を止め
大地の恵みを堪能した
年年歳歳花相似たり
歳歳年年人同じからず
今はもうその国はない