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7 あかつきの大地に
それから、いくばくかの時がすぎたある日
夜明け前の薄闇に、子どもたちは丘を越えて
廃墟の谷に下りてきた
手に手に、シャベルやスコップを持ち
シャベルのないものは、板切れを持ち
子どもたちは、瓦礫の焼け野原を歩いていく
「このあたりじゃない?」
「いや、もう少し先のはずだ」
子どもたちは建物の残骸を越えて
立ちつくす
先頭のひとりが指をさす
「ねっ!見て、あれ!」
焼け野に指す朝日の最初の光の線
萌え出たばかりの浅緑の葉に
白く咲き乱れるシロツメクサの一群
それは赤茶けた土くれの上を
くっきりと
小さい猫人の姿をかたちどって
秋の風に春の夢を紡いでいる
「銀鈴、ぼくたち、迎えに来たよ」
子どもたちは駆け寄っていく