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6 芽吹き

そうだった

ボクは火炎竜の火炎に当たっちゃったんだ

すっかり思い出したよ

うまく飛んで逃げられたと思ったのにな


ボクの体が動かないのも

きっと焼け焦げて灰になったせいなんだ


でも、右手はあそこにあるし

左目でそれを見てる


この前雨のしずくをなめたから

舌もあったんだね


ここは、管制塔の瓦礫の下かしら

前にとても臭いにおいがしていたのは

火炎竜だったんだろう

今はもうしないから

火炎竜はいなくなったのかな

だったら、戦いはもう終わったのかな


さっきの鈴虫はどこへ行っちゃったのかな

仲間の虫にあえたろうか

会えたならいいなぁ


だんだん暗くなってきたよ

夜明け前の闇は一番濃いんだって

もうじき、お日さまが顔を出す

きっとね


戦いが終われば、またみんな

この国に戻ってくる

いつか、空港を片付けにくるかしら

そしたら、ボクを見つけてくれるかしら


あぁ、とてもくらい

ボクの目、まっくらなんだ


何だろう

右手の方がぼぅっと明るくなってるよ

朝になったのかな


何か、土が盛り上がってる

ちいさなものが外に出ようとしてる


がんばれ

がんばれ


ちいさな草の芽だね

なんて柔らかな緑色なんだろう

草の赤ちゃんだ


いっしょうけんめい、生まれてきたんだねぇ

でも、今は秋だろう

外はこれから寒くなるのに


そうだ

ボクの魔力をあげよう

きみをあたたかくしてあげるよ


せっかく生まれてきたんだもの

途中でしおれたらかわいそうだ


きっとまた雨が降るからね

甘いお水がやってくるからね

大きくなるんだよ


ボクは眠るよ


おやすみ


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