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2 焦土

あたり一面焼け野原

焦げた立ち枯れの木が何本か

そこに森があったことを示すのみ


ときおり、焼け落ちたらしい建物の

瓦礫の山が崩れ落ちて

乾いた音を立てる


踏み荒らされた大地のそこここに

草花か、作物か

枯れがれの緑の名残さえも

むしろいっそう無残に見える


倒れた壁の破片にはめ込まれた金属板が

半分とけてゆがんでいる

そこには


「クトラカン空港」


と読める

だか、そこには、空港のおもかげはなく

建物も管制塔も滑走路も

めちゃめちゃに崩れている

もちろん

生きているものの姿はひとつも見られない


クトラカンは

この大陸の中原にある小国だった

交易でなりたつ多民族国家

ゆるやかな王政を敷き

どの国とも友好関係を持とうと努力を重ね

交易路を確保することを外交の方針と掲げた

いつの頃か

列強の台頭と版図拡大政策に伴って

しだいにその姿勢は危ないものとなっていった


そして、この年、とうとう破局が来た


西から大陸を席巻してきた列強の一国が

中原制覇の足がかりに、クトラカンの同盟国を攻撃した

その混乱に、列強の別の国々も介入し

強国の勢力の危うい均衡の上になりたっていた

中原の弱小国家群は、自国の生き残りをかけて

泥沼の乱戦に投げ込まれていった


旗色を鮮明にせず、切り抜けようとしたクトラカンは

相対する勢力に四方から攻め込まれることとなった


戦端は、深夜王城への火球投下で開かれた

宣戦布告など、そこにはなく

クトラカンの外相は、国境の外に呼び出されて

交渉中のできごとだった


武装した大型の飛空艇が空をおおいつくし

閃光が暗闇を切り裂いた

大地には火炎竜が出現した


クトラカンの都は一夜にして戦場となった


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