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第5話 ダブルで脅威!ライバルは2人!? (後編)

 私ことエメリーと仲間のミランダは、『ダイデスデッド』の強敵ネフェリーと戦いを続けていたの。一時はなんとか優勢になったけど、また少しずつ押し返されてきて少しも気が抜けない状況だよ。

「このーっ!いいかげんくたばれーっ!」

「冗談じゃないわ!」

「は、早く倒さないと~」

 その一方で、『キルッキー』の新しい敵も出てきたみたいで、キューポが早くそっちに向かってと、私を急かしているの。

「チヒロ……?どうしちゃったっきゅ?もう地球がどうなってもいいんだっきゅ?そんなの僕の知ってるチヒロじゃないっきゅ……」

 も~、そんなこと言われたって無理なものは無理なんだってば~。そう、今の私にできることは、できるだけ早く目の前の敵を倒して、もう一つの敵に駆けつけること。

「チヒロ~~!いいかげんにするっきゅ~~!!」

 痺れを切らしたキューポは私をポカポカと叩いてきた。わわっ、結構痛い!

 気が削がれたせいか、カラミティフォースの威力もちょっと落ちてる気がするの。このままじゃやられちゃう……!

 さすがに私もこう思うしかなかった、誰か助けて――って。


「お困りのようだねお嬢さん。自分だけが何故こんな理不尽な思いをと、困っている顔だ。」

「誰……?」


 空耳……?ううん、確かに誰かの声が聞こえたの。右から聞こえたような、それとも上の方のような。位置は分からないけど、確かに聞こえたの。

「誰なの?」

 目の前の敵に集中してるから、声が聞こえた方に顔を向けることはできない。けど、藁もつかむような気持ちで、声の方に問いかけてみたよ。

「よくぞ聞いてくれた。私の名はビューティリリィ。エクセレ☆エメリー、いや柏木チヒロよ。私はキミのことなら大概は知っている。この場は私とミランダ任せて、みらくるがーる★ぴきことしての使命をまっとうしなさい」

 え、どうしてぴきこのことを知ってるの?

 そんな疑問を抱いてる間に――。

 ――どどーん!

 空がピカって光ったかと思うと雷が落ちてきて、ネフェリーが爆発したの!

 「何!?何が起こったの!?」

 ミランダも驚いてる。その間にネフェリーのビームは掻き消えて、私達のカラミティフォースがネフェリーがいた所に到達したよ。

 ――どどどーん!!

 さらなる爆発が起こったの。なんかよく分からないけど、勝っちゃった!?

「ふざけやがって……!」

 そうでもないみたい……。ネフェリーはボロボロで全身傷だらけになりながらも、立ちあがってきた。

「あれで生きてるの……!?ウソでしょ……」

「お前ら……。絶対に殺してやる!許さん!!許さねええええええええ!!!」

「チヒロ君、この場は私とミランダに任せてもう一人の敵がいるところに向かいたまえ!」

「え、え?」

「ちょっと貴方、いきなり現れてなんなのよ!」

「今は何も考えず私に従ってくれないか!!」

 戸惑う私とミランダを、一瞬でハッとさせる大声だったの。でも確かに、今はこの人の言う通りにするしかなさそうだね。

「ごめんミランダ!後は任せるね!」

「ちょ、ちょっとエメリー!?」

 私は振り返らずに駆けだした。ミランダのことはすごく心配だけど、今は信じるしかない。


 ★☆★☆


「ようやく来ましたのね、みらくるがーる★ぴきこ。ちょっと遅すぎじゃありませんの?」

「ごめん!ちょっとどうしても外せない用事があって……。それよりあなたは誰?」

 もう一人の敵。街を壊してたのは私と同じくらいの女の子だった。でも着ている服は明るく元気な感じのぴきこの衣装に対して、とても暗くて冷たい感じ。

「わたくしは『キルッキー』の特殊部隊隊長、シャドウガール★ゲッカー。ぴきこ、貴方は私と戦わなくてはなりませんわ。もし負けたらちょっと軽く、この街の全てを破壊いたします」

『ダイデスデッド』のネフェリーと同じようなのが『キルッキー』にもいたんだね。ネフェリーはミランダと2人がかりで追い詰めたけど、今度は私1人……。うう~、勝てるかなぁ~。

「イクリプスボール!漆黒の舞!」

 早速ゲッカーが黒くてバチバチした球体を次々飛ばしてきたので、私はエンジェルマジカルスティックで全て斬り落としたよ。

「ぴきぴきぴっきー五月雨斬り!」

 多分私にしかわからないぴきことエメリーの違い。ぴきこは、エメリーに比べると技の自由度が高くて、咄嗟に思いついた技を出せちゃうの。エメリーはあらかじめ用意された技しか使えないけど、ぴきこより技の威力があるかな。小回りが利くぴきこ、一撃必殺のエメリーって感じだね。

「意外とスピードがありますわね。それにとても戦い慣れていますわ」

「えへへぇ、どうもぉ~……」

「だがしかし!わたくしほどではありませんわ!闇の多重カレイドスコープ!」

 わわっ、急にゲッカーが分身して何人にも見えるよ。これって幻術?それとも超スピードで動いてるのかな?

「落ち着くっきゅー!本物のゲッカーは1人だけだっきゅー!」

「果たしてそうでしょうか?行きますわよ、イクリプスボール!多重漆黒の舞!」

 わわわっ、さっきの黒くてバチバチした球体が前だけじゃなく、後ろからも横からも上からも斜めからも飛んできたよ!

「うわーっ!」

 ――しゅしゅしゅ、ばばばばばーっ!!

 とてもよけられなくて、私は球体をほとんどくらっちゃった。痛い、痺れる……。

「ぴきこー!だいじょぶかっきゅー!?」

「うん、なんとか……」

 ぴきこの方が、エメリーより打たれ強いのかもしれないね。あれだけの攻撃を受けて痛かったけど、怪我はしなかったみたい。

「さてもう一度いきますわよ。イクリプスボール!多重漆黒の舞!」

 来る!またあの球体が周りにいっぱい現れたよ。

「きゅー!ぴきこ逃げるんだっきゅー!」

「ううん私、逃げないよ!」

 というか、逃げられないよ!逃げられないから、全部斬り落としちゃおう!

「いっくよー!ぴきぴきとるねーど!」

私はエンジェルマジカルスティックを持ったまま、その場でフィギュアスケートの選手みたいに回転を始めたの。くるくるーって。

「ぴきぴきぴっきー竜巻斬り!」

「これは!?」

 回転する私が放った斬撃が、敵を切り裂く衝撃波になって四方八方に飛び散ったの!球体なんてまるでゴム風船みたいに軽く刻んじゃうよ!

「バカな!?わたくしの技が破られた!?きゃーーー!」

 ありゃりゃ、威力がありすぎちゃったかなぁ。ゲッカーは吹き飛んでビルの壁に叩きつけられてそのまま下に落ちたよ。かなりの大ダメージを与えたみたい。

やっぱり見た目が女の子だから、傷つけるのに抵抗があるね。さっきのネフェリーだって、やっぱり戦いづらかった。

「ぴっきー、今がチャンスだっきゅー!とどめを刺すんだっきゅー!」

 うーん、ちょっと気が引けるなあ。結構ダメージを与えたみたいだし、もう戦う必要は無いと思う。

 私は倒れているゲッカーのそばに近寄っていって、手を差し伸べたよ。

「ぴっきー!?」

「なんのつもりですの……?」

 自分の頭で言いたいことを整理して、コクンと息をのんだ。

「もう私達は戦う必要なんてないと思うの。話し合おうよ!」

 ゲッカーは、しばらく固まっていたけど、やがて微笑んで。

「貴方、そういうキャラでしたのね……。まったく……」

 差し出した右手を、握り返してくれた。

「まったくもって甘いですこと!」

 ゲッカーは私の右手を強く引っ張り、自分の胸元に私の体を引き入れると、左手であの球体を放ってきた。これはいわゆるゼロ距離攻撃!

「うわっ!」

「ぴきこ!!」

 今度は私がビルの壁に叩きつけられた。これは、痛いなんて痛さじゃない。一瞬上も下も分からなくなった。今も分かってるか怪しい。息ができない。今自分がどうなっているのかわからない。

「形成逆転ですわね」

 ゲッカーが私に近づいてくる。まずい、まずいよこれ……。

「だからとどめを刺しとくべきだったんだっきゅー!僕はこうなるんじゃないかと思ってたっきゅー!」

 そう、キューポの言う通りだった。私が甘かった。でも、あの子にとどめってことは、殺しちゃうってことでしょ。そんなこと、私にできたのかな……。


 ううん、できないよ。


 でもその結果、私が死んじゃうのかな。いやだよ、死にたくないな。

 敵が近づいてくる。体が動かない。もう逃げられない。

「立ちなさい、ぴっきー。癒しの黒雲!」

 私の周りに黒い雲が現れ、あっという間に包み込まれちゃった。

 ああこれで死んじゃうのか……。そう覚悟したんだけれど、黒い雲を浴びた途端体が軽くなったの。

 これって、回復魔法?

「えっ……?」

「今のは貴方に戦いの厳しさを思い知らせるための一撃。こんな不意打ちで貴方に勝ったところで何の意味もありませんわ。正面から叩き潰してこそわたくしの価値が証明されるというもの」

「あ、ありがとう」

「礼には及びませんわ。次同じことをしたら死を覚悟なさい!」

 なんだかよく分からないけど、助かったみたい。さっきまでの痛みが嘘みたいに消えた。

 でも、まだ戦いは終わってないんだよね。私は戦う構えを見せたよ。

 私はゲッカーの眼を見たまま、一歩も退かない。

 ゲッカーも私を見たまま、一歩も退かない。

 そんなやりとりがしばらく続いたら、ゲッカーが突然私から顔を背けて。

「フン、興が削がれましたわ。この決着は次まで預けておきますわよ」

「帰っちゃうの?」

「ぴっきー、油断するなっきゅー!また不意打ちしてくるかもっきゅー!」

「そこの小動物!」

「きゅー!?」

「見損なわないでくださいまし。わたくし、そんな卑怯なマネはしませんことよ」

 確かに、ゲッカーがその気ならさっきの時点で私はやられてたよ。

「キューポ、そんなこと言っちゃ悪いよ。いくら敵だからって」

「きゅー……。ぴきこは甘いっきゅー……」


 こうして、強敵だったゲッカーは帰って行ったよ。


 ★☆★☆


 それから私が急いでもう一つの現場に戻ると、変身を解いたユカとさっき助けてくれた人だけが残っていたの。

「あの、さっきの敵は……?」

「逃げ帰ったよ。君達の最初の攻撃でだいぶダメージが溜まっていたおかげだね」

 さっきの謎の女の人が答えた。

「そうですか、良かったぁ」

 ようやく、ホッとした。これでとりあえずの問題は解決だね。

「ちょっとちょっとチヒロ!これってどういうことなの!?それに、その恰好は一体……?確か前にもそれ着てたわよね?もーっ、なにがどうなってるのよーっ」

 ユカがすごい剣幕で私に詰め寄ってきた。そう言えば私、まだぴきこに変身したままだったよ! 

 あ、あー……なんて言ったらいいのかなあ……。問題解決したと思ったら、また新しい問題が生まれたよ~~~。

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