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第3話 どうしよう!2つの敵がいっぺんに!?衝撃のエクセレ☆クロスシュート!

 今日の私はみらくるがーる★ぴきこ!いきなりショッピングモールの中に出現した『キルッキー』をやっつけなくちゃいけないの!

「今日のチョムチーは一味違うびん!めちゃくちゃにやってしまえびん!」

「うわわっ!」

 びんびん言う人が自慢するチョムチーはクマさんとトラさんを足したような大型だよ。パワーがすごいからなんとかしなきゃ!まずはエンジェルマジカルリボンで動きを封じよう。

「キューポ、お願いっ!」

「わかったっきゅー!」

 キューポのおなかに光の穴が現れて、そこからエンジェルマジカルリボンが飛び出し私の右手の中へスポッて収まったの。

「よーし、いっくよー!ぴきこりぼんず――」

 技を発動しようとしたその時、突然目の前に現れたのは、チュゴット!なんだかすごく慌てた様子だよ!

「チヒロ大変だもん!公園に『ダイデスデッド』が現れたもん!今ミランダが1人で戦ってるけど、このままじゃやられちゃうもん!」

「え、ええ~でも今目の前のこの敵もやっつけないと大変だよ。みんなのモールをめちゃくちゃにされちゃう」

「チヒロ、一体何を言ってるもん?」

「ぴきこ、さっきから何を1人でバタバタしてるっきゅ?」

 あれ、まただよ~。チュゴットとキューポはお互いの存在に気付いてないみたい。チュゴットなんて、私がぴきこに変身してること、目の前に『キルッキー』がいることも理解してないみたいで……。

「え、え~と~、そっちなんとかミランダ一人でやっつけられないかなぁ~」

「ダメだもん!今度の敵はミランダのことを念入りに研究してきて、ミランダの電撃が全然効かないもん。あいつを倒すにはエクセレン戦士が2人そろった時に出せる『エクセレ☆クロスシュート』しかないもん……」

「ええ~!」

 どうしよう、このままじゃミランダことユカの身が危ない……。でも私も今目の前の敵を放置したら……。ああ~せめて2つの勢力とも仲良く一緒に攻めてきたら、まだ戦いようがあったのに、なんで別々に地球を狙うのかな~。ん、一緒に……あ、そうだ!

「よ~し、いいこと思いついたっ!」

 さっそく私は大げさに胸を張って、自慢げな態度をとってみせた。

「ねえねえチョムチーさん、貴方パワーはすごいけどスピードは私より全然遅いよね?ちょっと動いただけで全然ついてこれないし」

「ちょっ、ちょむ!?」

「な、なにをぬかすびん!オレ様のチョムチーはパワーもスピードも最強だびん!」

「ほんとにー?じゃあ私の速さについてこれるのかな~!?」

 私は前傾姿勢でシュシュシュッっとすばやく動いて、チョムチーの足の間を正面から潜り抜けたの。チョムチーはたたらを踏んで一瞬私を見失ったみたい。

「生意気な~!ぴきこは後ろだびん!捕まえるびん!」

「ちょむー!」

「遅くて遅くてのろのろなチョムチーさん、ここまでおいで~」

「ちょむむー!」

 チョムチーを挑発して、すぐにチョムチーと私の追いかけっこが始まった。私がショッピングモールの窓を突き破って飛び降りると、チョムチーもモールの壁を突き破って追いかけてきたよ。

 ここまでは狙い通りだね!

「わわっ!壁が急に壊れたもん!!」

 チュゴットは突然のことにすごく驚いてるみたい。チョムチーが見えてないみたいだから、おそらく何もない所に突然大きな穴が開いたように見えたのね。

 モールと公園までの距離はおよそ100m。なんとかそこまでチョムチーを連れていければ、『ダイデスデッド』のモンスターとまとめてやっつけられるはず。今の所チョムチーは挑発に乗って上手い具合に追いかけてきてくれている。お願い、間に合って!


 ☆★☆★☆★


 ユカは幼稚園のころからずっと私と一緒だったの。あの頃私は何をやってもどんくさくて、男の子にもいじめられてた。でもそういう時は必ずユカに助けられてたんだ。

「ほらチヒロ、行くわよ」

 私はいつも、そんなユカの後ろを追いかけてた。

 ユカがいなかったら、私の人生、どうなっていたか分からないよ。


 ☆★☆★☆★


 あと公園まで50m。チョムチーは順調に私を追いかけてきてくれている。もうすぐ行くから待っててね、ユカ!

 公園が見えた。そう思った瞬間、何かが公園の方から飛んできた。

「あれはっ!?」

 鳥――?

 違う、ユカこと、エクセレ☆ミランダ!敵の攻撃を受けてここまで吹き飛ばされたみたい。

「ああっ、キャッチしないと!」

 ――どすんっ。

「いたっ」

 私はなんとかミランダを受け止められた。でもその衝撃でバランスを崩してミランダを抱えたまま後ろに転んじゃった。当然、後ろにはチョムチーが追いかけてきている。チョムチーは転んだ私を見てチャンスと思ったのか、腕を大きく振り上げて攻撃の準備をしてきた。足にはミランダが乗っていて動けない。

 

 まずい、やられちゃう!

 

 私は思わず目をつむっちゃった。

 せめてミランダだけでも守らないとって思って、ミランダに覆いかぶさったよ。

「危ないチヒロ!」

 ――パァンッ!

 私の体が地面を転がった。 

 目を開けると、ミランダが立った勢いのままの蹴り上げで、チョムチーの腕を弾き飛ばしてたの!

「もう一発!」

 ミランダは前方に宙返りしてからチョムチーの懐に入ると、今度はバック転してその勢いで蹴りを決めたよ!

「ミランダ・サマーソルトーーーッ!」

 すごい、チョムチーを上に吹っ飛ばしちゃった。

 そしてミランダは技の余韻で、空中で仰向けになった後、半回転して地面に綺麗に着地した。チョムチーは吹き飛んで近くの田んぼに落下したの。ばしゃあっ!という大きな音が辺りに響いた。

「すごい……」

 私は見とれちゃったの。敵に吹き飛ばされても動じず、すぐに体制を立て直してやるべきことを瞬時に判断できる――そんなミランダはまさに私が憧れる存在。その姿に、立ち振る舞いに、見とれちゃったの。

「ぴきこ、何してるっきゅー!?今がチョムチーを倒すチャンスだっきゅー!」

 は、これってチャンスだったのね!?大急ぎでエンジェルマジカルスティックを取り出して、いつもの技を決めなくちゃ。

「えんじぇりっく・ぴきこ・ぱにっしゅめんと!」

「ちょむむむーーーーーー!!」

 しゅわわわー。チョムチーが光の中に浄化されていく。なんとか倒せたみたい。やったあ!

「おのれぴきこよ!この次は必ず倒すびん!」

「ばいばーい!」

 ホッとしたのも束の間、自分への視線に気がついたの。 

「チヒロ……?」

 その視線は、もちろんミランダことユカ。自分の名前を呼ばれて、一瞬で我に返ったの。

「チヒロ、じゃなくてその恰好、エメリー?なんかそれとも違うわね。それに今の敵っていったいなんなの……?」

「えっとあの、私はチヒロじゃなくって、いやチヒロにしても通りすがりで……。あのその……」

 ミランダことユカには今の私の姿が普段のチヒロやエメリー以外のもの、つまりぴきことして見えてるみたい。動揺しちゃって、言いわけの言葉さえまともに出てこなかった。一体なんて説明すればよかったのかな……。

「あうう、これは……えーっと……」

「……ふーん、またなんか私に隠し事してるわね?」

「え、いやぁ……」

 まさにその通り、なので何も言葉に出来なかったの。

 ミランダは私の顔をじーっと見つめた。そしたらすぐに、クスッと笑ったの。

「まあ、いいわ。今は何も聞かないであげる。だって、チヒロが私に2回も隠し事するなんて、初めてなんだもの」

「ユカ……」

 そう言うミランダ――ううん、ユカの顔は寂しそうにも、嬉しそうにも見えたの。

「チヒロってば昔は何をやるにも私に頼ってくれたのになー。でもなんだか嬉しい。チヒロが成長したってことよね」

「そ、そんなこと……」

 そうなのかな……。本当は正直に話すべきなのかも。でも、ごめん。今は言わないでおくね。

「チヒロー!早く変身するもん!」

 そうだ、敵はもう一体いる。『ダイデスデッド』のモンスター、今回のは消防車に手足が生えたような大型!モンスターは私たちを襲おうと拳を振り回してきたの!

「ゴォー!ゴゴゴゴゴゴゴ!」

「うわぁ!」

「ここは私が食い止めるわ!早く変身を!」

「わかった!」

 そう、今はただこの敵を倒さなくちゃ!

「スーパーチェンジ!エクセレ☆エメリー!」

 まばゆい光の世界につつまれ、私はぴきこからエメリーに変身した。

「こ、これは!エクセレントカウンターが今まで見たこともないレベルになってるもん!今なら2人であの幻の技を出せるもん!」

 その時私とミランダは、何をしたらいいか考える前に理解したの。

「行くよ、ミランダ!」

「オーケー、エメリー!」

 私とミランダが目で合図すると、2人の体から溢れだした光が集まって球体になったの。

「「エクセレ☆クロスシューーーーート!!!」」

 私とミランダで、大きな大きな光の球を蹴りとばしたよ!彗星となった球はモンスターに直撃!

「ゴゴ……ゴォーーーン!!」

 ――ばうぅぅぅぅぅーーーーーーん!

「な、なんだと!オレの上級モンスターを一撃で倒しただと!?」

 大爆発が起こって跡形もなく蒸発したモンスター。『ダイデスデッド』の幹部の人もかなり驚いたんじゃないかな!私たちも驚いたけど!

「すごい威力ね……」

「うん……」

「すごいもん!まさかこんな簡単に幻の技を決めるなんてもん!」

「お、覚えてろよ!この借りは必ず返すからな!」

 幹部が逃げて行った。やった!私たちの勝利!


「チヒロ、今あなたが抱えてるものがなんなのか、私にはわからない。けど、本当に困ったときは言って。私はいつでもあなたを待ってるから」

「うん……」

「じゃあ帰りましょうか。今日はおごるわよ!」

「うん!」


 なんだかすごく大変だったけど。やっぱりユカは私のことをすごく気遣ってくれている。

 今日の敵だって、ユカがいなかったら絶対勝てなかった。

 やっぱりユカはとても大事な存在なんだって、改めて思った日になったんだよ。

 ユカがいてくれて、本当に良かった。

 

 でも、この時の私たちはまだ知らなかった。新しい2つの脅威がすぐそこまで迫っていることを――。


 

 ――公園の木の上。

「へぇーっ、あれがエメリーって子なんだー!弱っちそう♪」

 ――デパートの屋上。

「あれがぴきこさんですか。大したことなさそうですわね」



【今回のチヒロメモ】

・ミランダに変身したユカはぴきこを認識できるよ!

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