庭付一戸建てモフモフ付きへの道 vol.4 ~金塊の眠る、伝説の泉?~
〜金塊の眠る、伝説の泉?〜
ところでさ、伝説の泉ってドコ?
皆、伝説伝説って言うけど、場所知らなくない?
「すみません。伝説の泉の場所、知りませんか?」
「あぁ、あっちの方って聞いてるよ。」
「ありがとうございます。」
あっちってドコ?
そんなことを、歩き疲れると弱音と共に考える日々。
とりあえず、ムゲンソウの茶でも飲むか。
そう、ムゲンソウは茶にもなるって昨日気づいた。
芝生に寝転んで空を見上げた。
あっちってどっち……
静かに眠りについた。
~まさかの偶然?それとも必然?~
冷たい。
頬に水滴が…あ、雨だ。
急いで起き上がり、近くの洞窟に避難した。
ふぅ、ずぶ濡れには慣らすに済んだ。
あれ?この洞窟?
僕がレベル11の頃、じっちゃんと来た洞窟だ。
確か、途中までで引き返したはず…。
「じっちゃん、先に進まないの?」
「セイジ、ここから先はお前がレベル36になったら進むんじゃ。」
そうだ!僕、今、レベル36!!進んでみるか…。
~伝説の泉は洞窟の中に~
確か、ここまではあの時来た。
でも、これより先に進む術が見つからない。
もう何周しただろう?
もしかして、この先なんて無いのか?いや、じっちゃんは確かに、この先に進めと!
茶も無くなりかけていた。
あ!!
思い出した!あの時、じっちゃんは天井にある文字を読んでいた。
天井を見上げてみた。あ!確かに、うっすらと文字が…でも、読めない。
そりゃそうか、あれから数えてレベル25も上がってるんだ、でも、何かで磨けば読めるかもしれない。
荷を下ろして、何かないか探した。
え?これ、もしかして、使える?
あの頃、高く感じた天井は、割と低く、ジャンプすれば届かなくもない。
ムゲンソウに茶を含ませ、手に持ちジャンプしてみた。届いた!
何度も何度もジャンプしては、茶を含ませ、またジャンプ。
あ!読める!
“MUGEN”
え?∞(無限)?え?茶??
まぁ、いい。とりあえず。
「MUGEN」
唱えてみた。
何処かで岩が動いた音がした。
そして、耳を澄ますと、
あ!水の音!!
音のする方に走った。
「あったーーーーー!」
これが、伝説の泉!!
あったよ!
思ったよりも、しょぼ…じゃなかった、小さいかな?
金塊は?そういえば、結界は?何をしたら泉の精霊に呪われるんだ?
その時、何かが光った。
石碑?!何か文字が刻まれている。
でも、また読めない。
石碑に触れてみた。
その時…岩が動いて閉じ込められた。
まずい!しかし、何もする術が無く、この泉全体が結界だと気づいた。
「くそ、もう、笑うしかないな。」
あはは…。乾いた笑い。その時!
「…モフ…」
え?今、モフって聞こえた?振り返るとそこには、モフモフが1匹。
「え?めっちゃかわいいーーーー!マジかー!癒しやな?」
エセ関西弁が出る位、ホッとした。
しかし、相変わらずピンチに違いないこの状況に、また笑った。
「モフ」
え?モフモフが2匹?
あはは。そんな訳ない。あはは。
「モフ、モフ」
え?モフモフが3匹…4匹??増殖しとる!!
え?何?何?何この状況!!
あ!!!まさか!
いや、きっとそうだ!
結界の中で泉の精霊に呪われるのは、
“笑うことだ!!”
じゃあ、このモフモフが精霊?!
まさか、そんな訳ないよな。ピンチ過ぎて可笑しくなってた、自分。
寧ろ、もう笑おう!爆笑だーーーー!!
アハハハハハハハハハハ!!
「モフモフモフモフボフボフボフボフ…。笑いおったな!そんなに可笑しいか、わしの姿が!!」
えーーーー?喋るの?え?え?誰?
しかも、更に増えてる!!もう何匹かわかんねーよ!
「いや、見た目は普通に可愛いだろ?」
「モフ?本当か?」
「1匹くらい家で飼っても良い位な。
まぁ、帰れたらだけどw」
あーあ。妻が待ってるんだけど、もう終わったな。茶もないし。
完全に諦めたその時…
「じゃあ、連れて帰るか?」
「え?」
「1匹連れて帰るなら、ここから出してやらんでもない。」
「え?ええのん?」
うっそーん!エセ関西弁が出るよね~?
こうして、モフモフを1匹連れて帰ることになった。
肝心なことを何か忘れてる気がするが…
つづく