庭付一戸建てモフモフ付きへの道 vol.3
〜通知は突然に〜
メガバンクさんから、書簡が届いた。
『外交国との貿易摩擦による、変動金利上昇のお知らせ。』
え?金利上昇??貿易摩擦??なにそれ、呪文?
素直に妻に状況を話した。
「仕方ないわね。」
あ、冷静。本当、仕方ないよね。僕、頑張ったよね?
「行くしかないわね。」
「え?まさか……」
僕は息をのんだ。
やはり、それしかないのか。
「あの泉?」
返ってくる言葉はわかっていたけど、確認せずにはいられなかった。
「そう。あの泉に眠る金塊を——」
だよねーーー。やっぱそうなる。
〜金塊の眠る、伝説の泉〜
じっちゃんから聞いた話によると、あの泉には金塊が眠っている。
でも、結界が張られていて、その中で“なにか”をしてしまうと、
泉の精霊に呪われるんだとか。
だから、決して近づくなと。
妻も、人づてにその話を聞いていた。
でも、夢のマイホームを手放すわけにはいかない!!
意を決して、二人で出発!
──のはずだった。少なくとも僕は。
朝、目を覚ますと、妻にムゲンソウを渡された。
「これで……生きて還ってきて……」
涙ぐむ妻には、言いづらかった。
え?僕、一人?
僕、一人で行くの??
こうして、僕は“一人”で、旅立った。
まさか、モフモフに出会うとは知らずに…。
つづく