表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一攫千金を夢見て旅立った兄が、病んで帰ってきた。結局ボチボチ冒険するのが幸せなんだよね  作者: 椎名 富比路
第四章 因縁の地下遺跡へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/47

第36話 VSデーモンプリンス

 まずは、デーモンプリンスを。操られているエルンスト王子を、倒さないと。


 だが、もうヒザが動かない。


 と思ったら、ヴィクが回復魔法を施してくれた。


「この、バカヒューゴ!」

 

 同時に、ソーニャさんに杖で小突かれる。


「あいた! こんなときになにするんだよ、ソーニャさんっ」


「こんなときだからよ! あたしが何も知らないと思ったの!? このバカ!」


 やはりソーニャさんは、ボクの異変に気づいていたか。


「まったく。【身体強化(レインフォース)】で上がった程度の身体速度に、我が神の治癒魔法が間に合わないとでも?」


「ついてこられるの? ボクの動きに」


「あのねえ、あたしだって、ボーゲンの弟子なのよ! 孫娘ってだけじゃないの。ボーゲンにできるなら、あたしにだって!」


 ボクは、ソーニャさんを見くびっていたかもしれない。


「ヴィクは? 大丈夫?」


「この、ヴィクドインヌ。鳥神サヴィニャックに仕えるプリーストですよ? 我が崇拝する神サヴィニャックに、不可能はありません」

 

 なんだか、二人とも頼もしい。


「相手だって、ギソが裏でバフを掛けているのです。こちらも、バフのマシマシでまいりましょう」 


「そうよ。一人でやっててもしょうがないでしょうが」


 二人の言うとおりだ。ボクはいつの間にか、自分だけで戦わなくちゃって思っていた。他人に、身を任せてもいいんだ。パーティなんだから。


「身体強化はあたしが唱えてあげるわ。あんたの中途半端なパワーアップより、幾分かマシなはずよ」


 ソーニャさんが、ボクにレインフォースをかけてくれた。


 すごい。身体能力も、魔法の持続時間も、ボクより高い。


「これで、アンタは武器への付与魔法に全力を注げるでしょ? やっちゃいなさいよ」


「この二人は、ウチがしっかりカバーしておくから。二人も守らなくちゃって、思わなくていいからねっ」


 キルシュが、二人の前で槍を構えている。ボクがしくじったら、キルシュが補助してくれるみたいだ。


「ありがとう。ソーニャさんとヴィクをお願い、キルシュ!」


「あいよ」


 キルシュが、セーコさんと合図をした。


「セーコ、いざとなったら煙幕。あと、敵の動きの見極めをお願いね」


「任せな。ヒューゴ、左!」


 さっそく、セーコさんから指摘が飛んだ。


 ボクは、デーモンプリンスの剣を弾き飛ばす。

 ソーニャさんがレインフォースで強化してくれたおかげで、ちっとも痛くない。自分だけで剣を受け止めていたら、腕が粉々になっていただろう。


「お返しだ!」


 受け流した拍子に、剣で敵のノドを突く。


 しかし、これは相手に止められてしまった。

 

「打ち込みが甘いよ、ヒューゴ! まだ、相手が応じだと思っていないかい?」


「はい! やらかしました!」


「反省は後! 前に立てているだけでも、アンタはすごいからね! かち上げが来るよ!」


 デーモンプリンスが、下からすくい上げるように剣を振るってくる。


「この動き、利用させてもらうよ。【ツバメ返し】!」


 相手の剣戟を受け止めつつ、振り下ろす力に変えた。


 さしものデーモンプリンスも、かわしきれなかったようである。肩に、深い傷が入った。


 とはいえ、まったく安心できない。相手はまだ、腕が死んでいなかった。


「浅かったか!」


「いや。ダメージは通っているよ。アンデッドだから、ムリヤリ動かされている」


「浄化魔法などは、効かないですよね?」


「ギソに操られている、だけだからね。ギソを探したほうが早い。今、やってる」


 セーコさんは、後ろからアドバイスをしているだけじゃない。ギソの気配を、王女やザスキアさんと探り合っているのだ。


「このフロアのどこかにいるのは、確実なのです。しかし、どこにいるのか……!?」


 エレオノル王女が、急に総毛立つ。


「ヒューゴさん、ザスキア!」


 ボクとザスキアさんに、エレオノル姫が合図を送った。


 ザスキアさんと、ボクはうなずき合う。


 狙うは、デーモンプリンスの足元だ。


 ボクは前、ザスキアさんが後ろから、足に向けて攻撃した。


 ザスキアさんの刀を、デーモンプリンスが跳躍して回避する。


 そのスキに、ボクが剣で王子の腹を突く。


「今です、姫!」


 ボクは、王子から飛び退く。


 エレオノル姫が、王子の足元を撃った。王子の影に、魔法の銃弾を浴びせる。


「ギュオ!?」

 

 目を押さえながら、ギソが王子の影から実体化した。


「やはり、そこにいましたか。ボボル・ギソ」


 ボボル・ギソは、空間を操る魔法使いだ。ならば、空間を捻じ曲げでどこかに潜んでいる可能性がある。まして王子に対して強力なバフをかけるなら、至近距離でなければならない。

 となれば、可能性は一つ。王子の影となって張り付いていればいい。


 王子の身体が、壊れた人形のように崩れ去る。


「見事だな、エレオノル。さすが王家の血を引く者だ。しかしお前は、自らの手で兄を葬ったことになるのだ」


 ギソが、不愉快な笑い声を上げた。


 しかし姫は、毅然とした態度をとる。


「構いません。わたくしは兄を殺したのではない。兄を天に返したのです」


「……王家の最強伝説も、今日で終わる。兄妹もろとも、あの世に送ってくれる!」


 いよいよ、ギソとの本格的な戦いが始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ