表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/42

気になる隣国のお医者様

 コンコンっとドアをノックする音が聞こえた。


「はい、どうぞ」

 言辞(ゲンジ)が返事をした。

 そして、ルナがドアに向かう。


「あら、お医者様。何の御用時?」

 ルナが、ドアを開けながら声をかけた。

 

「そろそろお(イト)ましようと思いまして。その前にリリィ様の御様子を見に参りました」

 

「これは、これは。この度は、突然に色々お世話になって、本当に申し訳ありませんでした」

 言辞(ゲンジ)が深々とお辞儀をして礼を言う。

 私も礼を言おうと起きあがろうとした。

「いやいや、リリィ様。そのままで」

 お医者様は、そう言って私が起きあがろうするのを静止した。

「では、寝たままで失礼します。別の用事で尋ねて来られたのに申し訳ない」

 私も言辞(ゲンジ)に続いて礼を言う。


「これが私の仕事ですから、お気になさらずに。皇国のお医者様には、連絡取れましたかな?」

「はい。直ぐに来て下さるとの事です」

「それは何より」


「いつか、この礼をしたい。先生は隣国のどちらにお住まいなのですか? 後でお礼に参りたいのです」

 と、私は尋ねた。


「えっ、えっと、それは大丈夫なんじゃないかな?」

 言辞(ゲンジ)が焦って、医者の先生の代わりに返事をする。

「どうして?」

 何だ?

 どうして言辞(ゲンジ)は焦っているのだ?


「いや、ほら。お医者様って忙しいからお邪魔かなって。そう思うでしょう?」

「うん。忙しいのは知ってるけど、礼をするだけなのに何時間もかからないから問題ないでしょう?」

「いや、でもさ。遠いし」

 言辞(ゲンジ)は、不自然に抵抗する。


 何か怪しい。


「……」

 私は、言辞(ゲンジ)の顔をじっと見た。


「ん? な、何かな?」

 と、焦る言辞(ゲンジ)


 そのやり取りをニコニコしながら見ていたお医者様は、こう言った。


「お二人とも。仲がよろしいですね」

「!」

 私達二人は、恥ずかしくなって小さくなった。


「あ、いや、その。礼をしに行きたいだけなのに、()()()が変なこと言うから。すいません」

 私は、慌てた。

「いや。だって、その……」

 まだ、渋る言辞(ゲンジ)


言辞(ゲンジ)様、リリィ様。いつでも来てください。」

「あ、でも……」

 と言う言辞(ゲンジ)

言辞(ゲンジ)様。うちの家内も先生のファンなんです。会えると知ったら喜ぶと思いますので、どうかおいで下さい。どうでしょうか?」

「は、はい」


 ん――?

 何だ、この二人は?


「えっと。そ、そうですね。お伺いします。よし、行こう」

 何かの覚悟を、うちの旦那様は決めた様だ。

 

「これから、ひと騒動あるのですかね?」

 医者の先生は尋ねた。

「僕からは何とも。リリィは、どう思うんだい?」

「うん。覚悟しておいた方がが良いかな。堂々と帝国の暗殺組織の奴を送り込んできたんだ。失敗するとわかっていて」

「そうですか。では、こちらに来られるのは、事が片付いてからという事になりそうですね。かなり先になるのですね」

 と、先生。

「ですが、そうならば、私の家内の方が先にこちらへ来るかもしれませんな」

「ええ? な、何で?」

 慌てる言辞(ゲンジ)

「だって、家内は言辞(ゲンジ)先生の()()()ですから」

 そう言って、意味ありげな笑顔をしながら先生は席を立った。


「では、この辺で失礼します」

「あ、門の外まで送ります。リリィちょっと良いね」

「うん。先生、お世話になりました。失礼ですが、ここで見送りさせてもらいます」

 

「はい。リリィ様も、お大事に」

 

 それにしても、あのお医者様もなかなだな。

 巻き添えになったというのに、慌てる様子が無い。

 最前線で負傷者を治療していたのは本当の様だ。


 私の傷を見ても、手早く治療した。

 流石に、地元の医者から道具などは取り寄せさせたらしいが。


 あのお医者様、言辞(ゲンジ)とどんな関係なんだろう?

 奥様も、ただの()()()ではないような。

 

(でも、家に来てくださいって言ってたか、悪いことを隠している風には思えないしなぁ)

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑を押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!

執筆の励みになります。ぜひよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ