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3.品出しは地獄のようでした。

今川焼き美味しいよね(敵を作っていくスタイル)

 レジ打ちの練習が終わり、品出しを教えることになった。

 難しいか? と言われたらそこまで難しいものでは無い。同じ商品を入れていくだけの簡単な作業。

 無理難題では無いんだろう。

 それに私もそこまで苦戦した覚えもないのだ。


 ただ……勇者を見るまでは……。



「バイトリーダー!これでいいのか!」

「うん、バイトリーダーって呼ばないでね。それと、全然出来てないね。なんで、アイスのところにポテチ入れたのかな? ポテチ冷やしても美味しくないよ?」


「いえ、1度カラッと揚げられているので熱いかなって」


「うん、商品に肩入れしないでね。初めて聞いたから。あと、闇の精霊さん店内でタバコは辞めてね」

「ふっ、愚問だな……これはi○OS。タバコでは無い。思い知れ、猿よりも低能なゴキブリ」



(i○OSは、タバコです。良い子は吸ったらダメです。ちなみに私は喫煙者です)


 モクモクと白い煙が天井を伝う。そして、何故か咳き込む草の精霊。


「しゃらくせぇ〜喫煙者には居場所はねってか!?」


「うん、江戸っ子なんだね。草の精霊さんは。キセルはダメだね。それと、咳き込むならタバコやめた方がいいよ。肺が黒くなるし」

(精霊に肺とかいう臓器があるか知らないけど)



 小一時間がすぎた頃には、お菓子とアイス、消耗品の補充が終わっていた。


「勇者くん。お疲れ様。疲れたろ少し裏で休憩してていいよ、僕はもう少しやることがあるから。お客さん来たらこのボタン押してね」


 監視カメラの横にある呼び出しベルを教え僕はウォークインに向かうことにした。



 今日の昼頃暑かったんだろうなぁ〜甘い系のジュースと炭酸飲料が軒並み売れていた。


 夏の寝苦しい夜にウォークインに入って作業するのは存外嫌いでは無い。ただ、ウォークインから出た後が余計に暑く感じる所は少々しんどいとは、思う。


 だが、まぁ。



 そんな夏の夜も嫌いじゃ……



 じじじぃ!?



 ベルの音とともに、「あつっ!?」という声が聞こえた。


(あぁ……お客さん来たんだろうな……そして何かが燃えたんだろうなぁ)



 外に出てみると、お客さんが3人くらい並んでいた。そして、闇の精霊アクアマリンが一人ひとりのお客さんに向かってなんか言ってた。


「しね、豚どもが!養豚場に送り返してやろうか!深夜のカプ麺はそんなに美味いか!! 夏場のプリンはデブの元!太れ?! 俺が美味しく調理して豚箱に押し込んでやる!」


 その地獄の様な空気の中。お客さんは誰一人として文句を言っていなかった。


 そう、みんなイヤホンしていたからだ。

 レジ打ちをして、何故か頭から血を流している勇者の光景にみな一様に口をあけポカーンとしていたからだ!

(ナイスだ勇者! なんかわからんがグッジョブだ勇者)



 急ぎ、中に入り商品をスキャンする。

 1番前のお客さんの目がキョロキョロしていたがそんなことお構い無しだ!レジさえ通してしまえばこちらのもの。こちらの事情など到底どうでも良くなるはず?!

 よし、いける! 行けるぞぼく?!!!!



「袋につめ……て……」

「つめて……?」


 勇者?何言おうとしてるの? やめて? 今いい感じなんだよ? 壊さないで? 僕のゾーンを。



「袋につめてやろうかこのやろぅ!!」



「はい、あうとぉーーーー」

(店長、たすけてぇ〜)



 その時、コツン、コツン……と足音が鳴る。

「バイトリーダーくん……私を呼んだかね?」


「真っ黒なスーツ。そして顔に龍の刺青……あなたは……」



「そうだ、私が店長だ。さぁ、勇者くん。そこをどきたまえ。私が袋に詰めよう」



「いや、店長。レジやって」


 僕の後ろであたふたする2人を尻目に僕はお客さんの会計を済ませ、ふと肩の荷を下ろした。


「店長……そして勇者くん……邪魔……しないで?」

「バイトリーダーくん!? 怖いよ」

「バイトリーダーさん……すませんでした」


 2人が頭を下げて謝っている異様な光景を目にしながら、僕は項垂れるのであった。





SCPにどハマりしました。

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