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1.面接に来たのはどら○えの勇者みたいな人でした。

初めまして。深夜テンションって怖いよね

 ここはしがないコンビニ。

 深夜0時を過ぎた。

 どうやら今日、面接を受けたいという者がいた。


「はぁ……先月入ったバイトくん……辞めたからって店長……次の人見つけてくるの早すぎると思うんだよね〜仕事教えるのもなかなか大変だって言うのに立て続けに辞められたら俺が辞めちゃうよほんとに」


 深夜のバイトというのはなかなかに暇だ。それプラスここはそこそこの田舎だ。こんな夜中に出歩く酔狂な輩はいないと思う。ここに行くくらいなら街中に行って酒でも飲んでいる方がよっぽどマシだと思う。



 バックヤードで休んでいると、扉が開く音とともに聞き慣れすぎた音楽が聞こえた。

(ちっ、こんな夜中に客かよ……これから面接って言う時に)



 やれやれと肩をすくめ、「いらっしゃいませー」と言おうとした。が、その言葉は結果的に出ることは無かった。



 入口に立っていた男があまりにも場違い過ぎたからだ。


「すみません。バイトの面接に来ました」



「あ、え、……あ━━うん。こんばんは勇者様」




 そこに居たのは。


 頭にはバンダナ、すこしぼさついた茶髪の髪の毛。

 青い服に黄色いズボン。背中にはなんか剣? があった。

 その目は鋭く頬に十字の傷がある。


 出で立ちから相当の猛者と思われる。

(いやいや、そうじゃなくて……なんだよあれ。どこぞのどら○えの主人公じゃねーか。いや、まてただのコスプレという線もある……まて、焦るな俺━━よし、コスプレの線でいこう。そうしよう)


「お、おう。君がゆぅ……じゃなくて面接希望している人かな?」


「はい!私が面接を希望している5代目勇者ハイラルです」


(???????)


「お、おう……勇者ね。おけおけ、ま、まあとりあえずぅ……バックヤードこよっか」



「はい!」


 うわぁ……威勢のあるいい声だなぁ……



 カシャンカシャン


(武器の音凄いなぁ……こんなふうに鳴るんだ)



 席に着いた勇者と、それに対面するように俺は座った。


「えーと、じゃぁ、まずは軽く自己紹介を頼もうかな?」


 勇者ハイラルくんは、鼻息を荒くし少し目を泳がせる。

「は、はい!わ、私は5代目勇者……」

「あぁーうん。そこはさっき聞いたからいいよ。大丈夫。高校どこ言ってたかなとか、前職は何してたかなってことを聞きたいんだよね。あと、長所とか?」


「は、ひいっ!」


 勇者もキョドるんだ……軽く裏声出てたし意外と可愛いのかな?



「えっと、前職は魔王らぷ○ーんを倒す旅にでていました。討伐が完了し街で凱旋を受けて2年が経った頃。街中の人から迫害を受けましてね。軽く異世界転生してきました。それと、高校?っていうのがよく分かりませんが多分私は天才です。あと長所はぎがぶ○○くが撃てることです」




「て、天才かぁ〜困ったなぁ〜あはははは」

(え、いまぎが○○く撃てるって言った?え、魔王ってなによ。やばいよこの子。あーでも天才かぁ……んー)


「こ、こら、光の精霊出てくるんじゃない。いま大切な所なんだって!」


 ハイラルの肩からなんか黄色い固まり出てきたんだけど。なにあれ。光の精霊とか言ってたし……精霊とかまずいるんだ。なんかケセランパサランみたいでなんかちょっとかわ……。


「愚かな人間。勇者様を合格にしろ。ぺっ」

(はい、前言撤回。ゴミクズだわこの精霊。唾吐きかけてきやがった。なんか熱いし)


「こら、光の精霊ランタン辞めないか。面接官の人が困っているじゃないか。水の精霊面接官さんを癒して上げて。早くしないとやけどをしてしまう」


「ぴょん!ぴょん!はいなの〜」


 勇者の頭から出てきたのは水色のスライムみたいなやつだ。

 その、スライムみたいなのがいきなり翠色?に輝き出してる。

「あ、あの……これは一体……?」

「安心してください。いま、ランタンが吐きかけた唾をコイルンに回復呪文で回復させようとしてる所なので安心してください」


(うん、何も安心できないんだけど。そしてなんかほんのり暖か〜い。これが回復魔法なのか……肩こりとかにも聞くのかな?あ、肩も暖かくなってきた。あぁ……幸せ……)

「ぴょん!ぴょん!!愚かな人間の肩が硬すぎて少し治してやったぴょん!これで仮は作ったから合格にしろゴミクズ!!」

(あらやだ、妖精ってこんなかんじなん?暴言マシーンなん?怖いんだけど)



「すみません、こいつら根は良い奴なんですけどちょっと口が悪くて」


「い、いえ。肩こりも治ったので嬉しいです。あははは」


「えーと、じゃあ。次の質問なんだけど。この仕事でどんなことを頑張りたいですか?」



「はい、魔王から街を救った英雄が働いてるとビラをまいて権威を復活させたいと思います!!」

「け、権威ですか?お客様の笑顔を増やすとかではなく?」

「はい!権威を復活させてお客さんを満足させます!」

(何をだよ……何に満足するんだその場合……怖いよ。この勇者にこの精霊だよ。落とそうかなぁ……)



「見える、見えるぞ愚かなる愚民よ……私の目は節穴では無い!!」


 声の聞こえる方に目を向ける。勇者の足元ら辺だろうか。なんかいる。まっく○くろすけみたいなのがいる。


「こ、こら闇の精霊アクアマリンダメじゃないか。人の心を勝手に読むなんて」


「主、コヤツ落とそうとしてます」

「なに!」

「主の間抜けな面が気に食わないそうです」


「待ってください。そんなこと思ってないです!むしろイケメンです!」

「え、おん……俺に惚れるなよ!」キラン!✧ 


(うざっ)



「主、今こいつ主褒めちぎりました。多分合格です」


(120%お前の主観だろそれ……)


「はい、次の質問です。バイトに入れるとしたらどれくらいの日にちでどれくらいの時間入れますか?」


「んーそうですね。回復魔法と時の力持ってますんで毎日出勤の21時間労働出来ますね」



「分かりました。採用で!」



 こうして、このバイト先に勇者が入る事になりました。



 続く

中華屋さんの唐揚げって謎の中毒あるよね。今日3個食べちゃった。

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