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帰宅中、いきなり可愛い女の子に声を掛けられる話。  作者: やる気になったら書く人
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彼女にネタバラシされる話。

「あれ……ここは?」

僕は何をしてたんだっけ……?なんだか頭がくらくらして、思考がうまくまとまらない。それどころか、体も全然動かず、身じろぎすることくらいしかできない。

「えっと……?そっか、昨日は怜の家に来て……それで……寝ちゃったんだっけ。」

あたりを見回すと、やはり怜の部屋だった。動こうにも動けないので、怜を呼んでみることにする。

「おーい、怜?居る?」

すると、すぐに扉が開いた。

「おはようございます、先輩。よく眠れましたか?」

「ああ、ぐっすりだったよ。それより、なんか動けないんだけど……」

そう言いながら、僕は身じろぎをする。

「そりゃそうですよ。颯斗君の体は、私がベットに拘束しちゃいましたからね。」

彼女は平然ととんでもないことを言った。

「いやいや、冗談だよね?」

「いえ、本当ですけど?」

彼女は悪びれもなく答える。

「なんでこんなことしたの?」

「私、颯斗君のことを守ってあげなきゃって思ったんです。」

「えっ?」

「ほら、同じクラスの人に脅されてましたよね?脅してこそいなくても、颯斗君はクラスの人から小谷俊平を行方不明にした犯人だって疑われていましたし。それにあの女……小谷俊平の妹もあなたに害をなすであろう人物です。」

怜が僕に詰め寄ってくる。彼女の瞳からは狂気があふれ出ていた。

「だから、守るためにこうしたんですよ?私は颯斗君を愛しています。誰よりも、何より貴方のことを大切に思っているんです。小谷俊平は何とか処理することはできましたが、そう何人も消すことはできません。」

怜の顔を見ると、頬は紅潮しており息遣いは荒い。明らかに普通ではない様子だった。

「怜、落ち着いてくれ!一体どうしてしまったんだよ!?」

「どうも何もありませんよ?私はただ颯斗君を守りたいだけです。」

「あと、小谷俊平を処理したってどういうことだ!?」

「そのままの意味ですよ。私の愛しい人に仇をなした害虫を駆除しただけです。もう一生会うことは無いでしょう。」

怜はにっこりと笑う。

「怜……どうして……?」

「まだ気付いてないんですね……まぁいいでしょう。教えて差し上げます。まず、私は颯斗君のことをずっと見てきたんです。入学式の時から、いえ、それよりももっと前から……私は颯斗君のことを知っていたんですよ?中学生の時、道に迷っていた私を優しく助けてくれて、一目惚れしちゃったんです。」

彼女は少し懐かしむように話す。

「そのあと颯斗君の年齢や学校なんかを調べたんです。それで、おんなじ高校に入学しました。だから実は、私が先輩に勉強を教えてって頼んだのは偶然じゃなかったんですよ。残念ながら私の事は完全に忘れていたようですが……まぁ今の私とあの頃の私は全然違うので無理もないですね。颯斗君好みの見た目になれるように頑張ったんですよ?」

そう言うと、怜は自分の髪をくるくるといじり始めた。

「そうだったのか……」

「えぇ、そうなんです。両想いになって、これからも一緒に居られると思った矢先、颯斗君が脅されているところを目撃してしまいました。それで思ったんです、颯斗君が私のことを助けてくれたように私も颯斗君のことを助けなきゃ!って。」

「それが、俊平の失踪事件なのか……」

「そうですよ? 」

怜は満足げな表情を浮かべている。

「かと言ってそこまでする必要はなかったんじゃ?」

「私よりあの男の肩を持つんですか?私よりもあんな脅してくるような男の人が好きなんですか?」

そう言って怜は僕に問い詰めてくる。

「いや……そういうわけじゃなくて……」

「そうですよね?私のことが好きなんですよね?愛しているんですよね?ならいいじゃないですか。他の人のことなんて。」

「それともう一つ、あの妹さんは危険です。あの女もまた颯斗君に危害を加える存在になりうるかもしれません。」

「それはさすがに考えすぎじゃないか?」

「いいえ、絶対にありえないとは言い切れません。だから、私と颯斗君の仲を引き裂くかもしれない邪魔者は消さないといけません。」

「いや、ちょっと待ってくれ!」

「待ちません。」

彼女が僕のことを狂うくらい愛してくれていることはよく分かった。だけど、それでも僕は。

「怜、お願いだ……もうこんなことはしないでくれ。」

「颯斗君……でも……私は颯斗君のために……」

「僕は大丈夫だよ。確かに最初は驚いたけど、怜の気持ちは伝わったから。僕は怜のことが好きだからこそ、これ以上罪を重ねさせるわけにはいかないんだ。」

僕は必死に訴えかける。すると、彼女は俯きながら答えた。

「分かりました……でも、これだけは約束してください。」

「私から離れないで。ずっとここで暮らしましょう?」

「えっ?」

「だって、私たちが離れる必要なんてどこにも無いじゃないですか。颯斗君は私と一緒に居たい、私は颯斗君を守りたい。ほら、何も問題ないですよね?」

「いや、でもそれだと学校に行けないし……。」

「そうですね……じゃあいっそのこと学校に行く必要がないようにしましょうか。」

「えっと……どうやって?」

「もし颯斗君が学校に行こうとするならば、この写真をばらまきます。」

そう言って怜は僕にスマホの画面を見せてくる。そこには半裸でベットに寝転がる僕と怜の姿があった。

「これ……いつの間に?」

「颯斗君がぐっすり眠ってる間に撮っちゃいました♪」

「こんなのがみんなに知られたら大変でしょう?私が無理やりされたとでも言えば、元々小谷の件で色々と怪しまれている先輩は虐められちゃう……先生にでも知られたら退学になっちゃうかもしれませんね。」

怜はにやりと笑いながら言う。

「いや……そんなことは……無いはず……」

「まぁ、そうならないためにも大人しくここにいればいいんですよ。」

彼女は僕を脅迫してくる。僕は……僕はそれに従わざるを得なかった。

「分かった……怜に従うよ。」

こうして、僕は監禁されることになったのだ。

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