どうしても気になっちゃう話。
次の日、約束通り僕は彼女と図書館に来ていた。
「そう言えば……僕、君の名前を知らないや、何て呼べばいいかな?」
「私は雪野怜って言います。怜って呼んでくださいね、颯斗先輩!」
「わかった、じゃあよろしくね怜さん。」
……あれ?僕、怜に名前教えたっけ?まぁいっか。そんな疑問はすぐに消え、そこから数時間、勉強を教えた。時計を見るとすでに午後5時を過ぎている。
「そろそろ帰らないとまずいかな。」
「そうですね、今日は本当にありがとうございました。またよろしくお願いします!」
そう言って怜は帰っていった。それからというもの、僕たちは毎日一緒に勉強するようになった。正直初めは面倒くさいと思っていたが、だんだんと彼女のことが気になってきたのだ。
ある日のこと、いつものように二人で勉強しているときのことだった。ふと怜の方を見ると、問題集ではなく僕の方を向いていた。不思議に思い声をかける。
「どうかしたのか?」
すると怜は慌てた様子で、
「いえ、何でもありません!」
と言ったあと再び視線を落とした。しかしすぐに顔を上げて微笑みながら言う。
「やっぱり優しい人だなと思いまして。」
「何だよ急に……。」
恥ずかしくなり、思わず目をそらしてしまった。すると怜が近づいてきて耳元で囁くように言った。
「好きです。」
その瞬間、心臓が大きく跳ね上がった気がした。そのまま何も言えずにいると、
「冗談ですよ。」
と言ってクスッと笑った。……やられた。完全に遊ばれてるじゃないか。悔しかったが言い返す言葉もない。
その後も勉強を続けたが結局その日は何も起こらずに終わった。
あれ以来、怜のことを意識するようになってしまっている自分がいる。今まで感じたことの無い感情に戸惑いつつも、どこか心地よく思っている自分もいた。そして同時に不安も生まれた。果たしてこのままの関係で満足できるんだろうか?もし告白したらどんな反応をするのだろう?そもそも怜はどういった気持ちであんな事をしてきたのか……そんなことを考えているうちに眠れなくなってしまった。仕方が無いので気分転換も兼ねて散歩に出かけることにする。外は既に暗くなっており街灯の明かりだけが道を照らしていた。