第2話 名もなき神
小説家になろうでこれを投稿していることを6か月も忘れていました。
ちゃんとします。
ここは天界【外殻】。名もなき神や力がそこまでない付喪神のようなものに宿る神が住まう区画である。
天界は4つに分けられ,神々は信仰度や能力に応じて住まう区画が分けられる。
先ほど言った【外殻】。天界の一番外側であり、神々が一番多い区画。人界や地界に一番近いところであり、天界を最初に守る砦でもある。
次に【中殻】。年月の経つ付喪神や概念が宿った神が住まう区画。ここの神々から名もちであり、力も【外殻】の者より強い。
3番目は【内殻】。ここの神々はけた違いが多い。かのヘルメスがいるオリュンポスの神々や人として英雄になり神に昇華したものが住んでいる。
最後4つめ【天上】ここは主神ゼウスとその妻しかいない区画というか家である。普段からここに居り、お目どりする際はこちらに足を運ぶことになる。
さて今回は【外殻】に住まう名もなき神の一人である彼の様子を見よう。
「はぁ、無理だろう普通に……」
そう彼は呟きながら歩いていた
すると
「おーい、何してんだぁ!そんなとぼとぼ歩いてそれでも神かよ」
そう聞こえてきた。彼は後ろを振り返ったが誰もおらず頭に?を浮かべていたが、声は下から聞こえていた。
「ん?あぁ、漆じゃないか。どうしたんだい」
話しかけてきたのは、漆と呼ばれるお椀であった。そうお椀である。ここは多く付喪神がおり、彼?には名前はないが、漆のお椀ということから漆と呼ばれている。
「いや、お前さんがずいぶんと分かりやすく沈んでるもんだからよ心配になってだな」
「そう?…そんなに考え込んでたかぁ…」
彼はため息を吐きながらそう言った。
「おう、でよどうしたんだい?お椀だけど、ここでは古株。伊達に800年生きてないぜ?良かったら話聞くぜ?」
そう漆は気のいい兄貴分のような振る舞いで彼に言う。
物が100年たつと付喪神になるとされており、大切にされてきたか雑に扱われてきたかでその性格は変わってくる。漆は100年間、ある世界の極道に大切に扱われ、ましてやその人物が男気のある兄貴分のような事だったことにより、漆もこのような性格になっていた。
「あぁ、君付喪神にしては長生きなんだね。そうか、じゃあ……聞いてもらってもいいかな?」
そう言って彼は漆に事の顛末を語り出した。
1から10まで語り尽くすこと約10分
「はぁえ〜。兄ちゃんはゼウス様に会うんけ、旅がしたいって言いに行くためにかぁ。」
「うん、そうなんだよ。でも俺は神としてはまだまだ浅いし、認めてもらえるか分からない。それにゼウス様の圧に耐えられるか分からないし……」
そう言ってさらにため息を吐く。ここで補足をしておくと、ゼウスのいる【天上】とヘルメスのいる【内殻】では、神圧と呼ばれる空気のようなものがあり、それだけでも1億年足らずの神だと歩くことさえできない。
つまり、彼は歩ける力はあるし話す力もあるということの自覚をしていないから、ここまで落ち込んでいるのだ。
「そうかぁ、でもよ兄ちゃん。その歳でゼウス様におめ通りできるのはすげえし俺ら【外殻】の住民の憧れだぜ?もっと胸張ってけ!」
「そうは言っても……俺なんかが…「おい!兄ちゃん!」はい?」
そう言って、突然大きな声を出す漆。
「兄ちゃんの夢は旅をすることだろう。しかも神としてじゃなくて人として、でもゼウス様が怖いから落ち込んでる……じゃあ兄ちゃんの夢はそれっぽっちって事だな。なんでやってもないのに諦めてんだ?なんで出来ないって決めつけてんだ?そんな軽い夢なのか?」
そう諭すように問いかける。そんな漆に対して彼は
「違う……俺の夢はそんな軽いもんじゃない。俺は旅がしたい。神という世界以外を見て自分がどういう人間か自分の立場や種族がどう見られているのか知りたい……。だから、そんなちっぽけな夢なんかじゃない」
そう力強く彼は答えた。
「じゃあ兄ちゃん……あとはもう分かるな?」
「うん、ゼウス様だろうが誰だろうがこの夢だけは譲れない。1億年足らずがなんだ。俺はできるやってやるよ。」
「そうだ!その意気だ兄ちゃん!!分かってんじゃねえか!」
そう決意し、漆は彼を褒めたたえるかのように背中をバンバンと叩いた
「ふぅ…なんかスッキリしたよ、ありがとうお椀の神よ。心から感謝する」
そう言って彼は深くお辞儀した。
「おうよ!何時でもそんだんに乗るぜ!それはそうと俺のことは漆って呼べ!今日から俺と兄ちゃんはダチだからな!」
「ダチ?その"ダチ”とはなんだ?」
いい兄貴分のようカッコつけだが、彼の疑問によってそれは打ち消されてしまった。
「はぁ、…兄ちゃん。ヘルメス様の気持ちも分かるぜ」
「え?何が?」
そう言ってお椀は彼の肩に上り手を置きポンポンと叩いた。
「兄ちゃん……勉強しような?」
次回は主神ゼウスのいる【天上】に行きます。