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世界を救った物語

作者: ノリック

魔王「ふはははは!愚かな世界の民どもよ!聞こえるか!?」

民衆「なんだなんだ!?」

民衆「空から急に声が聞こえたぞ!?」

魔王「我が名は魔王!世界を闇に包む、暗黒の魔術を使う者なり!世界は我が魔術によって暗黒の世界へと変えられるのだ!ふはははは!私を倒したくば、世界に一人と言われる勇者とその仲間を私の城に呼べい!私は世界の中心にある島の、ちょっとシャレた山の城にいる。私を倒したくば、その城に来い!勇者たちよ!」

民衆「うわぁ!!魔王が現れたぁ!」

民衆「魔王がちょっとシャレた山なんて、なんかちょっとお茶目なこと言ってるけれど、誰か助けてくれぇ!勇者様~!」

民衆「助けてくれ~!」

勇者「はいはい、私が勇者ですよ。みなさん、安心してください。……はいてま……なんて冗談は言いませんから、大丈夫ですよ、大丈夫。みんな!私が来たからにはもう魔王を倒したも同然だ!安心してくれ!」

神父「私は神父さんです」

魔法使い「私は女の子魔法使いよ」

戦士「俺は力自慢の戦士だ!みんな、もう大丈夫だ!」

猫「ちなみに僕はマスコットの羽の生えた空飛ぶ猫だよ。世界のみんなよろしくね」

民衆「うわぁ~!なんか変なパーティーだけど、戦士がちょっとまともかも。……まぁいいや、とにかく勇者様が来てくれたぞ~!これでもう安心だ~!」

民衆「でもどうでもいいんだけれど、なんかみんなの声がさっきから耳元でうるさいんだけど?……なんでだ?」

女神「それは、魔王の魔法のせいよ」

女神「私は勇者たちを助ける女神。声がみんなに聞こえるのは、私がお答えするわ。魔王は、魔実という実を食べて、強力な魔法が使えるようになったの。昔いじめられていた嫌な記憶のせいで、禁断の魔法の実を食べたわ、もう、魔王ったら……。私が神聖な魔法を使って、魔王の力を封じるわ。私の力は世界にただ一人の勇者が魔王の半径一メートル以内にいないと使えないの。私は自分の力を使う時を待っています。だから、勇者、お願い!」

勇者「はいはーい、分かってますよ。世界にただ一人の勇者に、任せてください」

神父「神父もいるよ」

魔法使い「まだまだ若い女の子魔法使いよ」

戦士「変な奴らだけど、戦士がいるから大丈夫だ!」

猫「僕こんな人たちのパーティーなの?お守りはめんどくさいなぁ……」

民衆「うわぁ~、なんかすごく心配だけれど、勇者たちに任せるしかないか~!」

民衆「この騒がしい声を止めてくれぇ!勇者様頼んだよ~!」

民衆「ゆうしゃ!ゆうしゃ!」

 そして時は流れ……、

 ――一年後。

勇者「よし、ついに魔王のいる島に着いたぞ!みんな、準備はいいか!」

神父「ここまで苦しいんだかなんだか分からない、戦いのない日々だったのね」

魔法使い「まぁ~、いいんじゃない?戦いがない方が楽だし」

戦士「俺の歴戦のハンマーを振るう機会がないとは……悔しいぞ!」

猫「きみたち~、船を作るのに、一年もかけるんじゃないよ~。船ぐらいあるだろ、すぐ作れよ~。……まったく、羽の生えた僕なら、すぐに飛んでいけるのに……。まぁ、飛行機もないこの世界じゃ、しょうがないか」

民衆「うわぁ!勇者たち一年もいったいなにやってたんだぁ!」

民衆「みんなに声が聞こえるせいで、俺たちは×××のときや×××の時まで声が聞こえて、とっても恥ずかしかったんだぞぉ!恥ずかし~!」

勇者「まったく、うるさいなぁ。勇者だって万全じゃないよ。人間なんだよ、まったく」

神父「勇者なのに文句言ってるね」

魔法使い「ところでさぁ~、すごくない?おしゃれな山って言ってたけれど、ここ山なのにすごくカラフルで、すんごい形してるわよ」

戦士「おお!赤青黄色、緑紫オレンジ銀色金色!山の形も、まるで現代美術に出てくるデザイン画のようだ!」

猫「そんな山普通あるわけないよ、とんだ物語だ。――ところでさぁ~、この山の城の隣にある歩いて行ったら絶対に怪我しそうなあの崖にある木って、なんだ?僕なら飛んでいけるけど……」

女神「それは、魔実の木よ」

女神「みんな、女神よ。あれは、魔実の木。魔王はあの木になっている実を食べて、魔法が使えるようになったの」

勇者「ふ~ん、そうか」

魔法使い「あ~、そう」

民衆「うわぁ~!勇者たち、無関心!」

民衆「こんなんで魔王を倒せるのかぁ!?」

勇者「大丈夫、勇者に任せなさい!じゃあ、魔王の城にレッツゴー!」

民衆「うわぁ~!軽い!心配だぁ~!」

 魔王の間に着いた。

魔王「ふはははは、勇者たちよ、よく来たな、一年も待ちくたびれたぞ。いくら魔法を使えて魔法で遊んだり贅沢したりしていても、一年も一人は寂しかったぞ。……はぁ、昔いじめられていた僕にとって、こんな気持ちは久しぶりにすごく嫌だったな。……せっかく勇者を倒して、憂さ晴らししようと思ってたのに……」

神父「魔王がなんか言ってるのね」

魔法使い「うわぁ、魔王ちゃん、くら~い」

戦士「同情するぜ!魔王」

勇者「まぁ、いいや。さっさとことを終わらせちゃおう!おりゃあ、勇者の一撃!」

魔王「ふふふ」

 ドドドドドドッッッ!

 ドガァァーーッッーーーンンッッッッ!!!

民衆「なんだァ!」

民衆「勇者に隕石の攻撃が降ってきたぁ!」

勇者「おいおい、そりゃないよ……これじゃ勝てるわけないだろ……」

神父「勇者、もう諦めてるね」

魔法使い「これは、負けたね」

戦士「うおおおおお!燃えるぜ!戦士、こんな敵を相手にできるとは、光栄だぁ!」

猫「なんにゃ?戦士が異常に燃えてる……」

魔王「ふはははは!しかし、この魔王に勝てるかな!?」

 ズグガァァァァンンンッッッッ!!!

戦士の最強の一撃が、さく裂した。

魔王「なんじゃ、なんじゃなんじゃ!?」

魔法使い「わぁ~、すごいね。魔王の隕石の一撃並みに破壊力があるよ」

神父「戦士、怖いのね」

民衆「うわぁ!魔王強すぎだと思ったら、戦士も異常につええ!」

民衆「おおお!これは勇者一行勝てるかも!」

魔王「わ、わ、わわたしだって、魔法で強くなったんだもん!私だって、私だって……、うりゃあ、隕石のいちげき~~!」

 ………

神父「なにも起こらないね……」

女神「それは、私が解説するわ」

女神「は~い、女神よ。魔王は、魔実を食べて魔法を使えるようになったの。魔実を一年かけて消化しきったから、魔法を使えなくなったの。最後の戦いでミスするなんて、ドジな魔王……」

戦士「なにぃ!じゃあ俺の敵はどこなんだ!?せっかく一年も戦いを我慢してたっていうのに、俺の燃える闘魂はどこにぶつければいいんだぁ~~~!こうなったら、みんな敵だぁ~~!」

 ドグガァァァァンンンッッッッ!!!

 戦士のワガママな最強の一撃が、炸裂した。

民衆「うわぁ~!戦士が暴走しだしたぁ!」

民衆「やっぱり戦士も変な奴だったぁ~!」

魔法使い「あ~、最強の敵ができちゃったわ」

神父「戦士、怖いのね」

勇者「勇者は、魔王が敵だから、し~らない」

猫「なんて勇者なのにゃ」

女神「もう、しょうがないわね、女神よ。私の神聖魔法で、何とかしてあげるわ。うりゃ、戦士に一撃!」

 ズグリャアアアアアンンンンンッッッッッ!!!

 戦士は、ふっ飛ばされ……気絶した……。

魔法使い「うわぁ、女神のお姉ちゃん、容赦ないわ……」

神父「女神が、一番怖いのね……」

女神「うるさいわね。私は自分の魔法制御できないのよ。さぁ、勇者、最後は魔王よ!」

勇者「わっかりましたぁ~。魔王の半径一メートル以内に行けばいいのね」

魔王「うわぁ!私が悪かった!なんでもするから!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

女神「もう、魔王ったら、私が神聖魔法であなたの魔法を封じるだけだから」

勇者「はい、半径一メートル!」

魔王「ひいっ!」

女神「神聖魔法!魔王の魔法を私の力で超なんとかするの!はいっ!唱えた……」

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

民衆「……?」

魔法使い(なに?なにが起こったの!?)

神父(なんだか、喋れないのね)

勇者(なんだ!?どうしたんだ!?女神の魔法が唱えられたんじゃないのか!?)

魔王(魔王の私はなにもしてないからな~~!)

 空から、紙が落ちてきた。

〈ごめんね。魔王の魔法を永遠に封じようと思ったら、間違えて魔王の唱えた魔法を無効にしちゃったの。ついでに世界中に声が聞こえるっていう魔法を無効にして音のない世界にしちゃいました。ごめんね、テヘヘ!まぁ、魔王を一年間は魔法が使えなくしたし、みんな世界中に声が聞こえてて困ってたからいいんじゃない?ちなみに、私は張り切りすぎてあと百年は魔法が使えないから、この事態は自分たちで何とかしてね、女神より〉

勇者(なにいぃ!)

神父(なんて女神なのね)

魔法使い(あ~あ、女神のお姉ちゃん、やっちゃったわね……)

勇者(とにかく、王様に報告だ!)

 ここからは、カンペ、筆談による会話でお送りします。

大臣〈王様、という訳なんです〉

王様〈そうか、ううむ〉

大臣〈王様、どうしましょう?〉

王様〈うむ!わしに名案がある!〉

大臣〈それはどういった!?〉

王様〈魔王に魔実をもう一度食べさせて、魔法で救ってもらおう!〉

大臣〈そ、それは!?〉

王様〈大丈夫じゃ!魔王はいじめられて世界に反感を覚えたのじゃ。温かい手を差し伸べれば、きっと改心するはず!〉

大臣たち〈おお!〉

王様〈では勇者たち、頼んだぞ!〉

勇者〈はーい、っていう訳だから、魔王〉

魔王〈えっ!?でもいいの!?僕、みんなに悪いことしようとしたんだよ!?〉

勇者〈いいの、いいの。勇者と魔王の間柄じゃないか。昔から、勇者と魔王は切っても切れない間柄なんだ〉

魔王〈ありがとう、みんな!〉

 ――一年後。

勇者〈じゃあ、空飛ぶ猫、頼んだよ!〉

猫〈まったく、人使い……じゃないか、猫使いが荒いんだから……、はい、崖から魔実の実〉

魔王〈パクパク〉

勇者〈魔王、頼んだよ!〉

魔王〈ラリカルラリカルるるるるる!みんなに音がありますように!〉

民衆「……お」

民衆「おお!」

民衆「喋れる!喋れるぞ!」

民衆「なんだかまた世界中に声が聞こえるけど、喋れる!嬉しいなぁ!」

民衆「やったぁ!」

民衆「ありがとう、魔王!」

民衆「ありがとう!」

民衆「ありがとう!」

魔王「うわぁ~、みんなに感謝されるって、嬉しいなぁ!僕、生きててよかった!」

 こうして、世界を音のない世界から見事に救った魔王は、みんなに感謝されて、生涯幸せな人生を歩んだのだった。

                                    完


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