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「落ち着いて聞いてくれる? 信じられない事だと思うけど…。」
「うん。」
「私…どうやらパラレルワールドから来たみたいなの。」
「え? パラレルワールド?」
「そっちの世界では私たちは付き合ってないし、ほとんど話したこともない。」
「嘘だ! そんなことある訳無い! 俺たちが付き合ってないなんて、ある訳無いじゃないか! 今までだって一緒に暮らしていたのに!」
「だから、それはこっちの世界の私なんだよ。」
「そんな…。」
「こっちの世界の私は…神崎君と一緒に暮らしているの? 今、どこにいるの?」
「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! 嘘だ!」
「私だって信じられないよ。神崎君がそう思うのも無理ない…。」
神崎君はその場にうずくまって肩を震わせて泣いた。
「でも…もし真子の話が本当なら…受け入れたくは無いけど…辻褄は合う…」
「話してくれないかな、こっちの世界であったこと。」
神崎君は今までの経緯を話してくれた。
やはり私のいる世界とは違っていた。
そしてこちらの世界の私は、今日殺害されたと言うのだ!
「…嘘。」
「俺だって信じたくない。でもテレビでも言ってた。それに真子の実家から担架で運ばれる真子の遺体も…見てしまった。」
「パパとママも…誰かに殺されたんだよね…。」
「ニュースでそう言っていた。」
パパとママが…。
胸が苦しくなってきた。
自分が殺されたと聞くより辛い。
「俺からも…聞いていい?」
「うん。」
「真子はどうしてこっちの世界に来ることになったの?」
「それは…ちょっと長い話になるんだけど…」




