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成田空港
浩太はスーツケースを受け取るとスマホを通常モードに戻した。
そのとたん、画面に入れた覚えの無いナビゲーションアプリが現れた。
「初メマシテ、浩太サン!」
は、何?
このアプリ…。
「初メマシテッ! 浩太サン!」
「は、初めまして…って俺、何でスマホに語りかけてんだ…」
「挨拶ナンテ シテイル暇 アリマセンヨッ!」
「お前がしつこく挨拶してきたんじゃねーのかよ!」
「急イデ穂香サンノ マンション ヘ 行ッテ下サイ!」
「言われなくても行く予定だよ。とりあえず自分ちに帰ってから荷物整理しなきゃ…」
「ソンナ暇無イッテ 言ッテルデショ! 穂香サンハ 今、ストーカー カラ 襲ワレテ イマス!」
「はぁ?」
「急イデ! 急イデ!」
「で、駆け付けて来てくれたの?」
「しょうがないから俺、奮発してタクシーに飛び乗ったんだよ。」
「うわ~、ごめんね! 高かったでしょ?」
「でも良かった。穂香を助けられて。」
ナビめ、私の車から消えたと思ったら、浩太のスマホに侵入していたとはスパムのようだな!
「ナビがさ、タクシーに乗ってる間に今までの一部始終を白状しててさ。」
私は穴があったら入りたい気分だった。
浩太の思いも知らずに婚活に励んできた過去を消し去りたかった!




